色液弾
ドン!! ドン!! ドドン!!
色液弾を放つ銃声が鳴り響く。音を大きくしたのは分かりやすくするためか。
ネスティスの連撃を盾で受けるにしても、その音が響いている。その音に掻き消されないためでもあるのだろう。
そこまでのお膳立てをされて、ネスティスも気付かないはずもない。
何処から色液弾が来るのか。連続ではなく、リズムは外して発射している。更には三、四発目だけは同時にしてある。
彼女は色液弾が来る方向を確認せず、一発目を爺さんの大盾を足蹴りして、後方へ回避。
一発目は右から。目ではなく、耳で確認したんだろう。【身のこなし】の効果も発揮されたわけだ。
ほんの僅かな間があっての二発目。それは左から。最初の音が聴き取れたのなら、ニ発目も左からだとは分かるかもしれない。
だが、それは一発目の回避直後。同じ場所に放たれたと、彼女が勘違いしてもおかしくはないだろう。
だが、残念な事にそれを俺は読み切っている。【身のこなし】が発動するのが見て取れた。
あそこで回避可能なのは後方。そこを狙い撃った。
それに彼女が気付くのか。パッシブスキルはAPを消費しないが、回避直後に別の回避をするのは厳しい。
剣で斬り落とす。それが一番の防御方法だろう。
ジャンプするという選択肢もある。だが、色液弾がまだ残っていると考えれば、空中で的になるしかなくなる。
彼女も左から色液弾が来る事。それも移動した位置だと、顔を向けた事によって気付く。
回避するには間に合わず、防御するしかない。
剣で色液弾を落とす。彼女の【身のこなし】による反応があれば、可能だったのかもしれない。
しかし、そんな簡単な事じゃなかった。
彼女の利き腕は右手であり、左からの攻撃を剣で防御するのに反応が遅れる。
それだけじゃない。【身のこなし】には難点がある。回避や攻撃速度が良くなるが、防御になると発動しなくなる。
剣を振るにしても、防御と意識しての行動。それが関係するとは誰も考えた事はない。スキルに疑問を持つ事もしない。
「おっ!! 偉いな。俺の言葉を気にして、凹むなり、気力を無くしでもしたら、異界なんて到底無理だ。判断力もやっぱりある」
ネスティスは無理に体を捻り、剣で落とす事をしなかった。ミスをすれば、真正面から色液弾を体に受けてしまう。
だから、彼女は左腕だけを犠牲に。左腕を盾代わりにしたのだ。
俺が色液弾に当たるのを危険と意識させながも、当たるように誘導した。
攻撃を受けた事で気持ちが途切れないのは評価すべきところだな。
しかも、色液弾を受けた左腕を使わないように意識しているのか、力を入れないようにダランとされている。
「次は同時に弾が発射される。一度当たったからといって、受ける事を気にしないのか。それと……利用出来るのかだな」
三、四発目は前後からの同時。いや、ほぼと補足しておく。
三発目の前。それは爺さんの持つ大盾からだ。
大盾から来るとは予想外だろうし、他と比べて距離も近い。
更に色液弾を操作するのは俺だけと、ネスティスに擦り込みも入れている。
身体検査でここまでするかと思うだろうが、レベル4の異界だと、当たり前に必要になってくる。
……俺には無理なんだけど。




