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孫と爺さん

「遅れて来て済ま……何やってるんだ?」


 爺さんの家に着き、中に入ってみると予想外の、予想の斜め上の光景が広がっているんだが!!


「あっ!! 師匠。待ってしました。今はおじいちゃんの肩を揉んでいるんですよ」


「ちっ!! 早く来すぎだ。折角、嬢ちゃんがマッサージしてくれてたのによ。名残り惜しいが仕方ない。コイツが来た以上、終いだな」


 ネスティスと爺さんの肩を揉んでいた。それは孫とお祖父ちゃんの関係のようだから。


 彼女が媚を売ったり、打算的な事を考えての行動だとしたら、爺さんはそれを見抜いただろう。見抜いていて欲しいんだが……心を許す何かがあったのか? 


「そうなの? また来る事があったら、続きをしても構わないよ。腰を叩くのもやってあげるからね」


「ふん……そんな事を言ってくれる奴はいなかった。その時は頼む。色々と奮発してやるからよ」


 二人はすっかり仲良くなっているし。俺達よりも優しくなってるんじゃないか?


「……何だ? その驚いた顔は。お前と違って、彼女は素直で良い子だったからな」


 爺さんは若干照れたように、ネスティスを褒める。昨日の酒が残ってる様子もないんだが?


「ありがとうございます!! おじいちゃんとお話するのは楽しかったです」


「……話?」


 ネスティスと爺さんが話す内容といえば、【無法者】の事か? とはいえ、俺から【無法者】の話だと決めつけて聞くのはおかしい。


「はい!! 鍛冶の話は勿論、装備の扱いについてとか。勉強になりました」


「それを気にするハンターは滅多にいないからな。女ながらに、初対面で体に触れる事を嫌がらなかったのも好印象だ」


「……という事は、身体検査は」


「八割方終わっているぞ。肩揉みも握力を調べた後、嬢ちゃんから提案してくれた事だからな」


 装備のためとはいえ、初対面の相手に体を調べられるのは嫌だろう。それが医者なら仕方ないが、職人の爺さんだ。


 それを少しの抵抗も見せず、ネスティスは了承したんだろう。俺の紹介とはいえ、なかなか出来る事じゃないと思う。


 普通の子なら、俺が一緒にいても説得が必要なぐらいじゃないか?


「別に嫌がる事でもないですよ。私に親が……おじいちゃんがいたら、こんな人だったらといいなとは思ったから」


 ネスティスは素直に事実を答えたまでだ。俺もその事は聞いていた。


 彼女には両親、家族はいない。孤児院に住んでいる。だからこそ、ギルドに住み込みで勉強も出来ていたわけだ。


 それを爺さんにも話したのかもしれないか。


「嬢ちゃんから協会本部からの依頼内容、どの異界に行くのかも聞いている。パーティーメンバーが誰になったのかもだ」


「はい。師匠の時間を無駄にするわけにもいきませんからね」


「ふん……お前が師匠と呼ばれるのには違和感しかないがな。嬢ちゃんが早めに来てくれて、助かった。職人にとって、正しい情報が必要だからな」


 情報というのは、俺の異界予想の事を言ってる気がする。ランク4の異界と聞いていたんだから、仕方ないだろ?


 というか、ネスティスが俺を師匠と呼ぶ事に爺さんが違和感を感じた以上に、俺が今の状況に違和感があるんだが!!

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