パーティーバランス
「護衛は【コング三兄弟】。一人はランク5であり、残りのは二人はランク2。三人共に職業は格闘家だ。ランク5がいる事で、依頼は達成出来ると踏んだようだな。戦闘だけなら問題ないが……」
下級のゴブリン相手であれば、ランク5の格闘家がいれば問題ないはず。ただし、足手まといがいると話は別だ。護衛となると、依頼主を守る事も考えないと駄目だ。
他がランク2だと厳しい。まして、兄弟だと尚更だ。弟達を敵から庇い、動けなくなると詰んでしまう。
それにパーティーは一つの職業じゃなく、フォロー出来るよう、様々な職業の仲間を増やした方がいい。
罠を解除する盗賊。回復役の神官。物理が効かない相手に魔法使い等。
どの異界に行くのかを選べるが、状況の変化についていけなくなる。
【無法者】は職業がそれぞれ違うだけじゃなく、俺以外はランク8になってる。
ソロで様々な異界に行くためには、それぐらいは必要という事だ。低ランクのハンターを連れて行くのは、下手すればソロよりも難しいかもしれない。
「パーティーを組むのもバランスが必要って事ですか?」
「そういう事だ。君が組むパーティーの人数だが、三人。君を含めての三人で向かってもらう。もし、ハンター以外の人間が異界に入っていたとしたら、人数制限に引っ掛かる恐れもある」
ハンター証を手に入れた商人や学者が仲間を連れている可能性もゼロじゃない。ハンターでなくとも、無断で異界に入る事は可能だからだ。
それもあって、所長もパーティーを最小限の人数にしたんだろう。
「君が組むハンターもこちらで用意している。時間もそこまでないだろう。出来るなら、拒否はして欲しくない」
所長は救助者の写真を手元に戻し、勇者のために選んだハンターのプロフィール表を出した。
当然、俺もそれが気になっている。所長の事だから、それに合ったメンバーを選んでいるはずだ。
一人は救助者の事を考えて、回復系の職業は確実にいる必要のはず。他は勇者の活躍を見せるための支援系? もしくは防御系か?
ランク5のハンターがいながらも遭難したと考えるなら、高ランクハンターを連れて行くのもありかもしれない。
「一人目は【黒猫】という二つ名を持つ盗賊だ。彼女のハンターランクは7。戦闘や回復の両方を得意とする。勿論、盗賊としての能力も優秀だ」
【黒猫】は俺も知っている。映像で見ただけでなく、【道化師】の状態で会った事がある。
とはいえ、互いに素顔は分かってない。俺も【黒猫】も仮面を着けていて、正体がバレないようにしている。声は耳に入る程度で、会話もしてないんだが……
所長がネスティスに見せたプロフィール写真もそれだ。
当然、所長は【黒猫】の正体は知っている。
【黒猫】は所長が【影】だった時の右腕的存在。だからこそ、俺が【影】と会う時は、いつも彼の側にいた。ある意味、護衛という立場でもあったんだと思う。
けど、彼女は【影】がハンターを引退すると同時に姿を消した。一緒に引退したんだと思う。
理由も何となく予想は出来た。彼女が護衛だとしたら、【影】の身を守れなかったからだろう。
彼が片目、片足を失ったのは、彼女が側にいなかったから。回復魔法が間に合わなかったから。
回復魔法にも限界はある。死者を蘇らせる事は不可能。毒や麻痺も強すぎる物には効果がなく、病気にも意味をなさない。
今の回復魔法のスキルがそこまでであって、これからは分からない。
彼女はその責任を感じて、ハンターを引退した。それを所長の頼みによって、復帰する事になったのか。




