予想が外れました
「本部からの依頼となれば、俺が文句を言えるはずもないさ。どこの異界になるかは分かっているのか? 何時からなのかも」
本部が明後日にはネスティスを探索に行かせるはずだと所長は言っていたからな。
だが、昨日の時点で異界【池】のコアが修復された情報は来ていない。その状態で依頼は出せるものなのか。修復前に伝えるのは、他のハンターに禁止令でも出すつもりなのかもしれないが……
「はい。出発は準備を整え次第、すぐにでも……らしいです。異界は帝国内にある【廃坑】、【ロダン廃坑】という名前ですね」
「【廃坑】!? 【旧道】じゃなくて……【池】でもない。【廃坑】か……」
まさかの予想が外れるなんて。準備を整え次第と聞いた時点で、嫌な予感はしていた。
【旧道】もレベル4で、ハンター達を説得して、勇者に手柄を与えるつもりなのか? とも思った……が!! 【廃坑】と来たか。所長が手に入れた情報と違うんだが!?
「師匠が驚くという事は……ヤバい場所なんですか!?」
俺の言い方が悪かったのか、彼女を不安に……させてなかった。興味津々のようで、体が前のめりになってる。
「まぁ……最初に行く異界としたら、危険ではある。異界レベル3の場所だ」
【廃坑】は異界レベル3。レベル3の中では一番の難関。レベル4に近くはあるが、それでも差はある。流石にソロで行かせるのは無理だが、人数さえいれば、安堵出来るぐらいではある。
異界【廃坑】。炭坑の初期、異界化した事により、放棄された場所。【池】よりも範囲は狭く、異形も小鬼型、下級ゴブリンのみ。
下級と行っても、集団行動をしていて、連携を取ってくる。外ではない事から、戦闘になった時の狭さに苦戦するだろう。
初の実戦がゴブリンになるのは良い事でもあり、悪い事でもある。
良い事とは、ゴブリンは人型の部類に入り、攻撃も分かりやすく、戦闘のイメージはしやすい。
逆に巨大な動物、未知な形をした異形であれば、動きを把握しづらいだろうと思う。
そこは他のハンターの映像を見るなり、勉強するしかない。俺も死にたくないから、避けるためにも必死で覚えたからな。
悪い事は……ゴブリンがエロい事だ。【廃坑】の小鬼の異形がゴブリンと呼ばれるようになったのも、伝承に残っている話にそっくりだったから。
ゴブリンは男しか存在しないらしく、子供を作るには多種の女を襲うしかない。
つまり、ゴブリンは女性メインを襲う。女性のみで構成されたパーティーであった時の勢いは相当だったらしい。
という事で、ゴブリンが登場する異界は女性だけで行くのは危険。人気もない。
流石にそこへ女の子……ネスティス一人では行かせられない。ある意味でレベル4ではあるけど、本部も何故そこを選んだ?
「出てくる異形はゴブリン。集団で行動。一気に攻撃を仕掛けてくる事もある。不意討ちしてくるぐらいの知恵はある。【危険察知】系のスキルが生きるところではあったな」
「ゴブリンですか!? 女の敵だという話がチラホラ。私が鉄槌を与えてやります」
ネスティスにそこまでの嫌悪感はなさそうだ。自信満々にやっつけるみたいな事を言ってくる。
「それはやられる奴のフラグだから……警戒を怠るのは駄目だ。ソロじゃなく、パーティーで行くんだぞ。女性だけのパーティーも駄目だ」
【廃坑】は何人まで入れたんだったか? 勇者が探索するなら、他のハンターが入るのを止めさせるか。だとしたら、五人とは組めそうだが……
それだけのメンバーがいるかどうか。所長が短時間で目星は付けていると信じたい。




