休憩終了まで残り三分
「【池】か。池というよりも、小さな森らしいな。あそこは純粋に実力、戦闘能力重視じゃなかったか?」
爺さんはグビグビと酒を進めていく。
異界【池】の特徴。【池】はコアが池にあるだけで、異界化しているのはそれを取り囲む森だ。【森】と呼ばないのは、別に【森】の異界が存在して、レベルも【池】以上だからだ。
異界の広さはあるが、トラップはなし。空気も通常。宝物は木や果物、薬草等。調合に使う物が多く、依頼も多い。
レベル4の異界とされる理由は、異形が多種類いる事だ。弱い異形ではあるが、種が違えば、対策が変わってくる。
今のところは木、虫、霊、魚、ゾンビ等の異形が目撃されている。それが同時、連続で襲い掛かってくる事が厄介。
「進化してなければ、それで間違いない。何が原因で変化するか分からないからな。回数なのか、それとも破壊の仕方なのか。それでも異変らしき物は見受けられなかった」
昨日、【池】に入ったハンターがいて、中を映像で確認出来た。異形が生まれはしていたが、前と変化はなし。進化した時の異常さはすぐに分かる。それによってレベルが変化する事も。
「攻撃よりも防御寄りか? まぁ……俺が決める事じゃないが。パーティー次第でもあるぞ」
「それも決まってないんだよ。【池】の人数制限は緩いからな。パーティーでも五人は行けるはず。彼女の性格からしたら、攻撃主体……突っ込むタイプだと思っている」
多種の異形がいるなら、防御も重要だろう。数も多ければ、不意を付かれる事も。攻撃を受ける可能性は十分ある。
とはいえ、ネスティスは【無法者】のパーティーになる事を希望している。それを考えると、防御よりも攻撃特化を目指すだろうな。
猪突猛進な性格。俺が言った事をすぐに実行しようとする。魔法ギルド然り、盗賊ギルド然りだ。
「お前達と同じタイプか。【犠牲】の奴がいたから、出来た芸当なんだがな。情報を元にイメージしたが……明日にでも、お前が本人を連れて来い。体型もそうだが、手を見たいぞ」
「はぁ!? ……そういう事か。俺が連れて来るのは……仕方ないか。彼女に合わせた装備だからな」
俺が爺さんに与えた情報だけでは足りなかったらしい。能力やスキルを文字や数字だけで見ても分からない事もある。
それに手の大きさ、握力、体型も。爺さんが用意するのが武器であれば、それを握る強さを知る必要があるからだ。
「だからといって、絶対に連れて来れるとは限らないからな。時間も俺の仕事終わりになるぞ」
ネスティスの元に協会本部からの依頼が届くと、所長が言っていた。それに対しての相談に来る可能性が高い。
その時に爺さんの元へ行かせる事も出来るが、俺も一緒なんだよな。理由は分からないでもない。
問題は明日に相談に来なかった場合だ。勇者の異界探索はそこから三日以内。明後日に相談に来たら……
装備を考えるにも時間は必要なわけで、俺が盗賊ギルドまで、ネスティスに会いに行く必要が出てくる。
出来るなら、俺が勇者に会いに行くのは避けたいんだが……
「時間……ヤバい!! 休憩終わり三分前だ!! あんな事があった後だ……罰が増やされる可能性が。爺さん、一気に移動出来る道具はないか」
「ん? あるにはあるが、お前の貧相な体だと色んな骨が折れるぞ」
「そっちの方がヤバいだろ!? スマン!! この話の続きは明日だ……明日にこれたらだ!!」
そんなやり取りで休憩時間が終了。遅れた分だけ、罰を増やされそうな気がする。
俺は爺さんとの話の途中で離れる事に。
最悪なのは中層に繋がる階段。多分、協会に着いたとしても、普通に倒れているかもしれない。




