ハンターの証消失事件
「ハンターの証消失事件の内容は? それが【犠牲】に頼まれた事なのか?」
「そうよ。異界探索中、ハンターの遺体を発見した場合、近くの協会に証があるのかを確認とか。死亡報告もだったかな」
ネスティスが本部から受けた依頼も【犠牲】の頼み事に該当する。
「アイツの場合、ハンターの死体が異界に吸収される前に見つけたのが、そもそもの発端らしいわ」
【無法者】メンバーは単独で帝国とは別の国を旅して、異界探索をしている。
【犠牲】はハンターランク八で、依頼がなくても高レベルの異界に入る事は出来る。相性が悪くても、そこはお構いなしなのは【犠牲】が一番だと思ってる。
「それで遺品を協会に持ち帰ったらしいわ」
遺体を運ばなかったのは、【犠牲】が単独行動というのもある。流石にそれを証の中に入れる事は無理な話であり、移動の邪魔になる。
「そんな事は普通にありえる事でしょ。その時にハンターの証が協会に戻ってなかったわけ?」
ハンターの証の故障だとしても、遺体の側にあれば、【殺戮】や【死天使】と違って、【犠牲】なら持ち帰るはず。
それも無く、協会にも転移されてなかったという事か。
「そんな簡単な話じゃないわ。だからこそ、本部は他の協会に広めてないわけよ」
「今回と同じ事と起きたわけじゃないのか?」
単にハンターの証が消えたわけじゃない?
異形の同化の件を考えると、何か起きていてもおかしくないのかもしれない。
「死者は生きていた……なんて、【死天使】が喜びそうな話よね」
「死者が蘇るなんて、そんなわけないわ。【犠牲】は死体を発見して、運ばなかったんでしょ?」
遺体が無ければ、復活させようがない。まして、蘇生魔法は発見、開発はされてない。【死天使】が求めてる魔法だ。
「そうね。けど、協会の受付はそのハンターを見て、報告も受けたらしいわ。証が戻らないのも、そのハンターが生きてると思っていたから」
「それは……【犠牲】が別のハンターと見間違いを」
「したとしても、ハンターが死んでいる事は確かよね? 再度確認にしたら、銀の箱の映像が送られないようになってたそうよ」
「盗賊も変装する事はするけど、そこまで完璧にするのは無理だわ。しかも、証も所持していたのなら尚更ね」
協会の受付も馬鹿じゃない。身分確認はするはず。それを通り抜けるというのは、盗賊でも出来ない。【黒猫】でも無理なら、大半は出来ないと考えるべきだ。
「だったら、変装というよりも変身か? もしくは、銀の箱を俺達以上に熟知していたか」
銀の箱の機能は未知的だ。生死関わらず、所持者の変更。主を別人に見せる事も出来る可能性もある。
「下手したら、コング兄弟達に依頼したハンターも、すでに入れ替わっていた可能性もあるのか」
本部は救助依頼ではなく、ハンターの証消失事件の確認するため、ネスティスを選んだのか?
勇者という餌を与えたら、相手がどう行動するのかを見るために。
コング兄弟達の証は消えて、残りのハンター途中でいなくなっている。
異形同士の同化、ハンターも材料にする実験。それに銀の箱の操作。
これは異界から俺達みたいな存在が来たと考えるべきなのかもしれない。




