探し物はなんですか?
「……ないわね。やっぱり……あれだわ」
【殺戮】はコアには目もくれず、ドンドンが燃え尽きた場所で止まった。
そこには何も残ってない。百足の異形の一部すらもない。それは【ファイアボール】を放った本人が分かってそうだが……
「一体何を探してるんだ? アレでまともに残ってる物は流石にないだろ?」
俺は立ち上がり、【殺戮】がいる場所まで歩み寄る。当然、【黒猫】とネスティスもついて来る。
「ジェフ……イズン支部の所長に頼まれたんだろ?」
【殺戮】の場合、人の名前を覚えないから、ジェフというよりも所長と言った方が分かりやすい。
「? ……思い出したわ。彼の事ね。何も頼まれてないわよ。単にレ……主が何処にいるのかを教えて貰っただけ。そうしたら、勇者と【黒猫】の二人とパーティーを組んで、依頼を受けてると聞いたのよ」
「ジェフが……」
所長が【殺戮】を呼んだわけじゃなく、単に彼女が俺に会いに来ただけ。依頼にするわけじゃなく、会いに行くついでという形で利用したわけだ。
【黒猫】もジェフの名前が出たら、納得するしかないだろうな。【殺戮】は最初から【廃坑】にいたわけじゃない。
「俺に用があったのか? ……って、【修正】だよな」
【殺戮】が魔法をマスターして、別の魔法にするつもりなのか。それ以外にも魔法の設定を変化させたくて来たのは間違いない。
「それは第二で、一番の理由は主に会う事だから。主成分を注入しないと。一日は【無法者】メンバーのホームで休むつもりだから。主も付き合いなさいよ」
「はぁ……助けてもらった立場だし、今回だけだぞ」
イズン帝国内に【無法者】の本拠地、ホームがある。俺が住んでいるところとは別。それもメンバーが別行動になってからだ。
「……じゃなくて!! 他にも理由があるだろ? 所長に頼まれたんじゃなかったら、何を探してたんだ?」
「ハンターの証よ。ハンターの証は私の魔法で壊れない事は知ってるでしょ。協会に戻ってきてないのよね?」
「そうね。私達が向かう前に、その報告はないわ。救助依頼が出たのもそのためよ」
それを【黒猫】が答える。【黒猫】の正体が美人秘書なら、俺も実情を知っているからだが……
「私は主に聞いてるのよ。……お前には聞いてないわ。そもそも、協会の事を知ってるのもおかしな話よね?」
「「うっ!?」」
【殺戮】は【黒猫】の名前が出てこない……のは置いといて、彼女の言う事は間違ってなく、【黒猫】だけじゃなく、俺にも突き刺さる。
俺達が協会で働いている事が、ネスティスにバレてしまう。
「【黒猫】は所長の右腕だからな。自分の代わりに向かわせるわけで、情報を渡しているだけだろ」
所長は元盗賊ギルドマスター。盗賊の情報収集力は【殺戮】も流石に知っている。




