基礎魔法
【殺戮】の言う通り、彼女が使ったのは【ファイアボール】という魔法使いでいう基礎魔法。属性違いで、ネスティスの【アイスブレス】と同じ位置に当たる。
それを数え切れない程使用した事で威力や詠唱を極限まで高めただけ。
【殺戮】が有言実行するなら、【ファイアボール】だけでドンドンを倒すつもりだ。
「アレが【ファイアボール】だと……だが!! それを見た以上、それ以上の数で攻撃すれば問題ない。私の手……足はあるのだからな。一つの魔法で倒せると言った事を後悔するがいい」
ドンドンは【ファイアボール】の威力に驚くが、放たれるのは三つまで。
スキルは安易に変更出来ない。先程の【ファイアボール】が四連続までなら、三つ目で止める事は出来ず、四発目がドンドンに向けられていたはず。
ドンドンからすれば、三連続以上の攻撃をすれば、【殺戮】に攻撃が届くと思っていても無理はない。
「【道化師】様!!」
ネスティスが叫ぶ。俺に【殺戮】の【ファイアボール】を【修正】するように言ってるのかもしれない。
「いいわよ。先に攻撃を仕掛ければいいわ。私はこの場から動かないし、【ファイアボール】しか使わないから」
【殺戮】は更にドンドンを挑発。この場から動かない事と【ファイアボール】しか使わない事も宣言。
俺はミザリーとドンドンを【開眼】で確認する。
ドンドンは✕✕に【指示】をすると文章化された。
✕✕という表示されるのは、俺が知らない事を意味している。
弟達が復活する事はないが、百足の異形が復活するのか。アレ以上の連続攻撃をどうするのか。
これを【修正】するわけにもいかない。
ミザリーは【待機】状態。【ファイアボール】の準備もしていない。ドンドンの出方を見てから、使用するつもりだ。
「大丈夫だ。【無法者】メンバーは伊達じゃない」
俺が【修正】する必要はない。【殺戮】の【ファイアボール】で対応出来る。
「行け行け行け!! 放て放て放て!!」
ドンドンは異形部分、百足の足を拳代わりにして、あるだけの【真空正拳突き】もどきの攻撃を放つ。威力が低いとしても、その数は二十以上。しかも、速さは十分ある。
先程の【ファイアボール】の三連続では、全部を防御出来ず、取りこぼしが出てくる。
それは同じ【ファイアボール】であればの話だ。
「【ファイア】」
【殺戮】が声に出したのは【ファイア】だけ。詠唱だけでなく、【ファイアボール】の名前も最後まで言わない。
加えて、詠唱を短縮、威力を上げるための魔法使いの武器、杖さえも装備していない。
それにも理由があった。彼女の右手が独特な形になっている。親指を立て、人差し指を相手に向けている。




