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スピード勝負

 そのデンデンの体も無惨な形に。筋肉がバラバラに。振り払いの威力をモロに受けた結果だろう。


「……すぐに体力を回復させて、【黒猫】さんを助けに行きますから」


 ネスティスは【黒猫】とアイアンの戦闘を見た。彼女の目には【黒猫】が劣勢に感じたようだ。


 アイアンの気迫が違う。鬼気迫る雰囲気がある。


 デンデンがネスティスに倒された仇というわけじゃない。


 敗北の結果。末路。どうなるのかがアイアンにも分かってしまった。


 彼に敗北は許されず、攻撃スピード、回避を上げていく。


【黒猫】も回避だけでなく、ナイフでアイアンの防御をいなしているだけで、攻撃に移行出来ていない。


「大丈夫だ。ネスティスは回復に集中しろ。【黒猫】が弟を倒したところで、奴が残ってる。ドンドンの攻撃は身を知って、分かったはずだぞ」


 ドンドンが俺に攻撃すれば、耐性があっても一撃で終わってしまう。


 ネスティスと【黒猫】が万全な状態で挑んだとしても、厳しい戦闘になるのは間違いないのだが、それがすでに出来ない状況だ。彼女が少しでも回復しなければ、勝機はない。


「けど……【黒猫】さんの【ポイズンダガー】が相手に効いてないですよ」


【黒猫】がアイアンの拳をナイフで捌いている事で、多少なりとも拳や腕に傷が生まれている。


 そこから【ポイズンダガー】の効果が出れば、逆転する事も可能だが、その兆しが一向に現れない。


【ポイズンダガー】の毒は【麻痺】に固定したまま。一度二度で入らなくても、十も越えれば効果が見えてくるもの。


 それが見れないのはアイアンの体は麻痺を無効化になっている。


 ドンドンが一度受けた事により、耐性が生まれた。アイアンの体はドンドンの一部でもあるからだ。


「毒さえ効かなければ、アイアンの相手ではない。デンデンと同じ間違いを犯さなければ、お前は勝てる。スピードもお前が上だ」


 ドンドンは連結部を気にするように注意すると共に、自身にも言い聞かせているようだ。


「安心しろ。【黒猫】はスピードは更に上がる。彼女の攻撃は毒に頼るんじゃなくて、スピード。攻撃回数だ」


 ドンドンは【黒猫】とアイアンの戦闘を見誤っている。


 アイアンがスピードを上げるのは、簡単に【黒猫】が追い付くからだ。回避ではなく、いなすのはアイアンが更に速さを出した時だけ。


【黒猫】が未だに致命傷を受けていない理由もそれだ。


「本気を出すための準備運動。足を温めていただけ。【黒猫】が弟の速さを追い越すぞ」


 ネスティスは俺の言葉を聞いて、【黒猫】の動きに注目する。


 その時、アイアンは【黒猫】の動きを捉え、正拳突きが腹を突き破った。

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