対象変更
「無茶苦茶ね。【犠牲】の苦労が目に浮かぶわ」
【黒猫】は【打つ】と【吐く】という言葉から、攻撃方法を予測。
相手が【黒猫】に接近しない事から、両方が遠距離攻撃だと予測。百足は顔だけという事もあり、何かの液を撒き散らす。
ドンドンに関しては格闘家のスキルから、遠距離攻撃のスキルを放つ。
そのスキルは【真空三段突き】。正拳突きを放つ事で衝撃波を生み出し、離れた相手に攻撃を届かせる。
最初は【真空突き】の一発だけだが、ドンドンは使い続けた事で【真空三段突き】まで昇華されたんだろう。
【黒猫】がそれを回避出来たのは一撃目があらぬ方向に向けられ、【真空突き】だと分かったからだ。
その理由は明白だ。直前に対象が変更された事で、相手の居場所を把握しきれなかったから。
それは百足も同じ。紫の液をネスティスに向けて吐くのが、【黒猫】に変更した事で撒き散らす形に。
百足が吐いたのは粘着液。ブヨブヨしたスライムのような液体が、形をそのままに残っている。
それで動きを封じて、ドンドンが仕留める。
これが撒き散らす形になったのは痛い。スライム液を踏めば、動きが鈍り、回避に影響を及ぼしてしまう。
百足がこれに気付くかどうか。スライム液をどうにか排除しなければならない。
これが失敗した場合だ。
「【剣刃】!!」
ネスティスの【剣刃】。刀を鞘に戻して、もう一撃を放つ準備をしていた。
鞘に戻して、抜刀すれば威力が上がるのは証明済み。それも百足の体を斬る事にも成功。当たる箇所が良ければ、完全に分断は出来る。
ネスティスの攻撃が通じた時点で、次の行動は決まっていた。
【黒猫】を囮にして、ネスティスが【剣刃】の準備をする。
勿論、俺がドンドンと百足の攻撃目標を書き換えるのが前提条件。
俺の【修正】に、【黒猫】の回避も成功。攻撃により、体の向きが【黒猫】へ。
更に言えば、相手は何が起きたのか分からず、動揺しているはず。
そこに二発目の【剣刃】。どれだけのスピードが出るのかも、ネスティスは把握したはず。真横からの位置により、当てやすくもある。
狙うのは弱点となる百足の顔……と言いたいところだが、直前で移動する可能性が十分ある。
だとすれば、斬るのはドンドンの体の真下。百足とドンドンを切り離す。
「よし!! 奴等は【剣刃】に気付いてない。ドンドンの体に届くぞ……ネスティス!! 距離を取れ!! 【黒猫】は【ポイズンダガー】で牽制。体に当てても問題ない」
【開眼】で、ドンドン達の変化が文章化された。
ドンドン達には見えてないはずの【剣刃】を後退して、皮一つで済ませた。




