右手にペン、左手に消しゴム
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「本当に貴方の事を信じていいのよね」
「当然だ。こんな状況で嘘なんか言わない。これを知ってるのは【無法者】メンバーぐらいだ。ネスティスも頼むぞ。【剣刃】で狙うのは虫型の頭だ。アレが生命線だと予想する。方向転換出来ないはずだから、無防備な状態でこっちにそれを向けてるはずだ。気をつけるとすれば」
「光の強さですね。何とかやってみます。教えて貰ったやり方で【剣刃】の威力を上げてみせます」
ドンドンがこちらに到着するまで残り僅か。銀の箱の追尾機能で、崖に目の前に来ているのが分かる。
俺達の周囲は地面に置いた小型ランタンの明かりのみで、崖から下を見ても、暗闇に等しい。
上を見ても、ドンドンの姿は見えない。
【黒猫】の【ライト】は消している。俺達の存在を少しでも分からなくするためもあるのだが……
「来るぞ」
「【ライト】!!」
【黒猫】は【ライト】をこのタイミングで使用する。
【ライト】は本来【MP2】を使用して、【光の玉】で【自身の周囲】を照らす。効果は【一時間】継続させる。
「キシャー!!」
突然の光にドンドン……ではなく、百足型の異形が叫びを上げた。そこまでの光を直視した事がなかったのだろう。
俺は【ライト】のスキルを右手にペンを、左手に消しゴムを持ち、【修正】する。
これが編集者の特殊スキル。【閲覧】、【開眼】相手のスキルを見て、改造する。
それも限界を越えるわけではなく、調整する形だ。
【強力な光】で【全体】を照らす。効果は【十分】継続させる。それも【MP10】消費させる。
MP消費量増加、効果時間減少のデメリットがある代わりに、全体化のメリットを生み出す。
一定の間だけじゃなく、元のスキルに戻すには、再度【修正】する必要が出てくる。
ただし、この状態での熟練度を上げれば、【修正】しても使用可能。二つの【ライト】を使い分ける事が出来る。
「剣刃!!」
ネスティスは叫ぶ事で気合を入れ、抜刀しての【剣刃】を放つ。
【卑怯】の言葉通り、【剣刃】の速さが上がり、その分威力も高まっている。
だが、相手の落下速度や【剣刃】の速度上昇、何より百足の体が丸まった事で、狙った場所に当たらなかった。
「すみません」
「十分だ。ドンドンと百足の体が分断出来れば良い。後一押しすれば……」
【剣刃】はドンドンの体の少し下、百足の体には直撃した。完全に分断は出来なかったが、半分までは切れている。
もう一度同じ箇所に攻撃出来れば、ドンドンは移動出来なくなる。勿論、同等の威力は必要になる。
「嘘でしょ。アレを瞬時に回復するわけ?」
【黒猫】はドンドンの姿を見て、驚愕した。千切れそうだった体がすぐに引っ付いたからだ。




