実験
「……コアキーパーは生まれてなかったんじゃないか? 異界が復活する前に実験に使われていた気がする」
「……何を言ってるのよ。ドンドンと同化したアレを見たでしょ。あの大きさは明らかにコアキーパーだとしか思えないわよ」
「もし、あの卵から出てきたのが虫型の異形で、異界が生み出した物でなければ、どうなる? それが成長した姿がアレに過ぎなかったら?」
虫型の一体は成長を確認して、他は幼虫の状態で同化実験に利用した。
「俺の銀の箱の機能で、コアキーパーに追尾機能が付ける事が出来たんだが、奴は異界の外に出ようともした。【黒猫】が壊れたとはいえ、コアを攻撃したにも関わらず、戻る事はしなかったのもある」
俺は銀の箱の追尾機能を二人に打ち明けた。コアキーパーとしての行動として、矛盾がある事を教えるには必要だからだ。
「コアキーパーが外に!? 私が攻撃した時に戻らなかったのも確かにおかしいわね。ドンドンにも意識が少しは残ってたし、ゴブリンもそうだったし」
コアキーパーにも意識は残っていたのなら、コアを守護するのが一番の目的のはず。
「進化もしてなかったのかもしれない。あんな風にエネルギーを吸われていたら、進化も無理だ。異界じゃなく、何者かによって広げられた。工房が作られたのも影響があったとかな」
ネスティスと俺が感じ取ったのも、異界の進化による拡大かと考えたが、実際は何者かの工房が異界に作られていた。
【黒猫】が調べた場所も、地下で入口の方に移動していたのもある。
その場所で異形となる卵を作っていたのだとすれば、異界扱いになってもおかしくないはず。
これに関しては、ネスティスの映像から協会を見ており、本部も後で調べに来るだろう。
この実験自体が本部の仕業……という可能性は低くなったが。
「もう少し調べたいところが、その前にやる事がある」
「コアキーパー……じゃないかもしれないんですよね。やる事は……彼を倒す事」
地響きと共にドンドンが近付いてくる音が聴こえている。
ドンドンを倒さなければ、俺達が安心して調べる事もだが、無事に戻る事は出来ない。
「……やるしかないわね。狭い場所に移動して、あそこに繋がる道を壊すわけにもいかないし」
工房がある場所に移動するにしても、ドンドンを撃破するのは無理であり、そこに閉じ込められる。
体当たりでもされて、埋められてしまったら話にもならない。
「戦える広さも十分あるけど」
高さは当然ながらあり、広さも以前と同じ。通路で戦闘するよりも断然良い。
問題があるとすれば、明かりの広さだ。
【黒猫】の【ライト】でも全体は見通せない。ドンドンの攻撃方法が分かってない以上、動きを確実に見る必要がある。
「【黒猫】……話がある。ネスティスもだ」




