外へ
「コアが地盤沈下で落ちたのは分かるんだが、移動するのは知らないぞ」
【異界】が進化したとしても、コアの場所は同じ。地盤沈下による移動は分かるとして、コア自体が動くなんて事はなかった。
【黒猫】が向かった先、コアがあった場所に何かがあったのは確かだ。
彼女がコアを攻撃したとして、コアキーパーに反応がないのもおかしい。
「コアキーパーが異界から出るなんて事もなかったが……異形自体がそうだ」
コアキーパーが分岐点を越えた。その先にあるのは【廃坑】の入口であり、異界の外だ。
異形が異界の外に出た事は俺の知る限りで一度もない。
異界の進化によって、異界自体が拡大されるからだ。
勿論、出ている可能性はある。銀の箱、証が映像を記録するのも異界内のみ。
異界外では記録されない。こちら側に隠れている事もありえるかもしれないが……
今回のコアキーパーに関しては、ドンドンが組み込まれている。
弟を探しているのもあり、異界の外に出るという意識が反映されてもおかしくない。
外に出たら、協会は大騒ぎになる。周囲の被害もそうだが、コアを破壊しても安心というわけじゃなくなってしまう。
コアが完全に再生する前から、異形は出てくる。常に監視が必要になり、ハンターの数を増やさなければならないだろう。
今から戻るのも無理だ。コアキーパーが異界から出ようとしてるのは俺しか知らず、俺だけではどうしようもない。
「コアキーパーが外に……出ないのか?」
いや……コアキーパーは【廃坑】の外へ、一度は出たはず。MAPからコアキーパーを示す光が消え掛かっていたからだ。
コアキーパーの体は長く、全てが出た時に光は完全に消える事になっていたんだと思う。
俺が異界から出なくても、相手が出れば、追尾機能も外れるはず。今も続いているのは、途中までしか出なかった。
もしくは、出れなかったのか。
ハンターにも異界による相性があるように、異形もこっちの空気が合わない。拒否反応が起きたのかもしれない。
「そこは一安心だが、今からが問題だな」
コアキーパーは何度も挑戦する事はせず、こちらに移動を開始した。
動きは遅いが、確実にコアがある場所まで戻ってくる。
俺もようやくコアがあった場所には到着したが、予想通り地面が崩れ、巨大な穴が出来ている。
底を覗いてみるが、僅かな明かりが暗闇に等しいぐらい。
その明かりもネスティスが持つ小型ランタンかもしれない。
【黒猫】も下にいる事は確定。MAP上で重なる時があったが、彼女の姿は見えなかった。
それだけじゃなく、救助対象の依頼者二人も未だに見つかってない。




