反転
「だからといって、俺達を認識出来るかは別の話だな」
ドンドンが俺達を認識して、攻撃を止めるのか。虫型の異形がそうさせない可能性もあるが、コアキーパーとの同化だけでなく、コング兄弟を襲ったのが依頼者、ハンターの二人だった場合、俺達も敵と判断するかもしれない。
「あんな姿をしている以上、帰る事は出来ない。倒すしかない」
ドンドンを元の姿に戻すのは、【道化師】の俺でも無理な話だ。
「止まった」
動きを止めたのは【黒猫】。コアがある場所に到着したんだろう。問題があるとすれば、【黒猫】の攻撃でコアを壊せるかどうか。
コアにも種類がある。管のような物が繋がっている物であれば、それを断ち切る事で停止する物。
台座に嵌められている物は、コアの色によって、属性もあったりする。
属性の相性の良い攻撃をするか、純粋な力で破壊するか。
連続攻撃による耐久度を減らす方法もある。【黒猫】がするのはそれだろうが、コアキーパーが戻るまでに出来るかどうか。
ネスティスの【剣刃】なら、【黒猫】の攻撃よりも威力があるはず。
俺がコアキーパー……ドンドンよりも先に到着出来れば……
コアも【閲覧】可能であり、弱点を見れる時もある。それが無理な場合は……アレをするしかない。
「戻ってきた!? ……どういう事だ?」
コアが攻撃を受けた事で、コアキーパーがそれに気付き、急スピードで戻って来るのは納得出来る。
だが、反転したのは【黒猫】の方だ。
コアの破壊に成功したわけじゃない。そんな短時間で済むわけもないし、コアが破壊された事は異界内にいれば分かる。
異界内全体が揺れ、悲鳴みたいな音が広がっていく。それが一切ない。
【黒猫】の攻撃がコアに全く通じないのなら、ネスティスが来るのを待てばいい。戻る必要はないはず。
コアが反撃として、異形をその場で大量に投入したのか? それでも、すぐには逃げる事はしないはず。人数差があってもだ。
ネスティスが向かってるのだから尚更。少しでも減らして、彼女の負担を無くす。同化体だとしても、二人は一度は倒している。
それに【黒猫】の移動速度がコアに向かう時以上に上がっている。それも深層に降りる時の動きをせず、直進している。
「……別の場所に移動しようとしてるのか? でなければ、ネスティスと合流してもおかしくない」
MAPで【黒猫】を示す光と俺との距離が半分以下になっている。そこまで行けば、ネスティスも合流しているはず。
【黒猫】が俺の位置を把握してなくても、大声を出せば届く距離にはいると考え、何かを伝えるははずでもある。
という事は、【黒猫】はここではなく、地盤沈下により出来た深層を進んでいるという事だ。




