救助不可
「……尻尾。一番後ろはアレね。タイプ的には同じよ。今は彼が主軸に動いてたようだけど」
コアキーパーの全ての体が俺達の隠れている場所から遠ざかる。あの大きさだと往復するのに然程時間は掛からないだろう。
戻る時も体を振り向かせる必要もない。
「だな。尾には虫型の顔があった。体を無理に動かして、方向転換する必要もない」
「……急ぐわよ。ネスティスも出来る限りでついて来て」
【黒猫】は銀の箱から小型ランタンを取り出し、ネスティスに渡す。離れた時用のためだ。彼女はそれだけスピードを出すという事だ。
「あ、あの!!」
ネスティスもそれを受け取る。急ぐ理由は十二分に分かっているのだが、アレが気になっているんだろう。
「俺や【黒猫】も気付いている。だが、アレはどうしようもないぞ。一緒に倒すしか方法がない。救ってやれない」
「……分かりました」
ネスティスも気持ちを切り替えて、【黒猫】を追いかける。
あの二人が本気を出せば、俺がそれについて行くのは到底無理な話だ。
俺は自分が出せる速さでコアがある場所まで急ぐ。
二人がコア破壊をするなら、到着する前にコアキーパー対策を考えないと。
「アレを見る限り、意識は交代制か? 共有はしてなく、コアキーパーだけが知る形かだな」
アレとは、ネスティスが見た物であり、ドンドンが探し回っている者達だ。
ドンドンの弟達はコアキーパーにすでに喰われ、呑み込まれていた。もしくは、ドンドンのように何者かに組み込まれたのか。
コアキーパーが通り過ぎる中、その横腹に人の顔があり、それを俺達は写真で見ていた。
ドンドンの弟だ。
弟が一人で行動しているとは思えず、もう一人も同じになっていてもおかしくない。
反対側にもう一人の弟の顔があると俺は思っている。
ドンドンは弟達がコアキーパーに組み込まれている事を知らない。それを知ったところで、どうしようもない事は確かだ。
それでも、ネスティスは助けたいと思ったのだろう。
銀の箱が協会に戻らなかったのは、コアキーパーの中にあるのかもしれない。死ぬ直前に組み込まれた事で、証も彼等の死を認識してない可能性もある。
異形の人数制限も、彼等が異形と認識され、数えられていないのかもしれない。
「コング兄弟達が捕まったのなら、依頼者の二人が逃げ出せるとは思えない」
彼等もコアキーパーの一部になっているのか。別の異形と同化されているのか。
「同化体は人数制限の数に入らないとしたら、依頼者が犯人なのか」
異形とハンターを体を素材にするのなら、依頼者のハンターを無視するわけがない。
コング兄弟達よりも弱くても、実験の数を増やせるはず。ゴブリンの失敗作が多く捨てられているのが良い例だ。




