移動開始
「この事を話したら、食いつきそうだな。だが、巻き込まれたくないし……」
同化の異形の事を【死天使】に話したら、【廃坑】のコアを破壊していた場合、怒りそうだ。失敗しても、彼女と探索の続きをさせられるだろう。
ネスティスの映像は全国に流れるし、それを見た時点で、急いで来そうではある。
「何をするつもり?」
「【無法者】メンバーに話すと言っただろ? 実物を知りたがるはずだからな。ネスティスもこれは映像に残さないようにしてくれ」
流石に【死天使】がネスティスの映像を見て、間に合うわけもない。本部が全国に流しているのかも分かってない。
駄々を捏ねられるのを考慮する必要がある。
俺は銀の箱にゴブリンの顔だけ同化した虫型を収納する事に。これなら三つ分を空ける事で何とか出来る。
「うわぁ……貴方がそれをするなら、私もするしかないでしょ。心底嫌だけど」
【黒猫】もゴブリン顔がメインの方を持ち帰る事に。本部ではなく、所長のためだろう。
俺の銀の箱よりも機能が低いため、それだけで満杯になりそうだが……
「何!! 地響き!? 異界自体が揺れてるような……」
ネスティスは急な振動に驚いた。
【廃坑】内が揺れている。地面だけでなく、壁も。何かが動く音も聴こえてくる。
トロッコが動くにしても、響くのは音だけだ。
「コアキーパーが動き出したの!? 同化した異形が倒された事に反応した……とは考えられないけど」
コアキーパーがスライムではなく、虫型だと予想はしている。だが、同化の虫の異形がコアキーパーの子供とは思えない。
失敗作が多いだけでなく、人、もしくは知識を持つ生物だと考えたばかりだ。
「ここで待ち構えますか?」
コアキーパーがこの場所に辿り着く前に戦闘準備をするのか。
「いや……急いで近道に行き、隠れよう。コアキーパーの体では通れないはずだ。そこでどんな相手なのかを確認した方がいい。あちらから来るのは好都合だ」
ネスティスの【剣刃】や【アイスブレス】の一撃で倒せる程、コアキーパーは甘くない。ダメージは出せても、それを何処までは続けられるのか。
入口付近より、分岐点からは通路が狭くなっている。もし、コアキーパーの大きさが通路を埋める程であれば、【黒猫】やネスティスの回避重視のスタイルは危険だ。
避け続けられるか以前に、体当たりされたら、俺達全員突き飛ばされるか、踏み潰されるだろう。
「動きは遅そうです」
揺れは遅い。トロッコのような速度はないのだろう。俺達に気付いたわけじゃないのかもしれない。
分岐点前まで逃げる選択肢もある。ここよりも広く、まだ戦いやすい。
だが、ネスティスはもう一つの提案を出してきた。




