様々な区画あり
「ふぅ……助かった。後でフレアに隠れて、お礼を言わないと駄目だな。いや……変に怪しまれるか」
フレアの足止めをしてくれた受付嬢にお礼をするか悩んだが、止める事にした。逆に俺が怪しい店に行ったと思われてしまう。
「行く場所があそこだからな。フレアは他に言い回りそうだ。二人の秘密とかにするのは嫌だしな」
俺が行こうとしてるのはレストランや居酒屋、小料理店が並ぶ飲食区じゃない。
早弁したのも、書類が大量にあった事によるストレス発散でもない……少しはあるか。
俺が向かうのは職人区。
帝都は様々な区画に分かれている。飲食区、商店区、職人区。商売系の区はこの三つで、その中心部に異界探索協会がある。
他にも貴族、平民、スラムと住む場所も区で分かれていたりもする。それは上層、中層、下層で別々になっている。勿論、上層側が貴族だ。
ギルドも関連のある区にあったり、専用の区があったりもする。例を言えば、貴族区には教会という神官達のギルド。スラムに盗賊ギルドがある。
平民区は戦士系のギルド。上層や下層に素早く移動可能にするため、平民区に置かれている。
専用区は職人区がそれだと言えるだろう。鍛冶士や調合士のギルドが固まっている。魔法ギルドもこの場所にあったりする。
「あそこに行くのも久し振りだな。手土産でも持っていくべきか。商店区を通る事だしな」
商店区を通り抜けて、下層に行くと職人区に辿り着ける。中層が一番広く、異界探索協会、商店区、飲食区もそこにある。
居住区とそれらの区は帝都の中央にある大通りで分断され、東側が居住区、西側が商店区となっている。
職人区のある下層に行っても、スラムにある盗賊ギルドは反対側であり、ネスティスに会うためじゃない。
「魔法ギルドに立ち寄る……には時間が足りないか」
俺が職人区に行くのは、ネスティスが魔法ギルドで世話になったお礼をするためでもない。親でもあるまいし、単なる相談役だ。
とはいえだ……危険な場所に行かされるのは俺のせいでもある。せめて、役立つ道具の一つでも渡しておくべきだろうな。
「酒だな。アルコール度の高さもそうだが、匂いがキツイのを選ばないと駄目か。ついでにアレも……それをしたら、舐められそうか。ネスティスも修業中はあの場にいたわけだし…大丈夫か」
俺は商店区に安酒をGET。質よりも量。安酒は独特な匂いにより、好みが分かれる。それを大量に手に入れた。
そして、中層の商店区から職人区のある下層へ。そこまでに結構な階段の長さがあるのだが、理由はちゃんとある。
「時間短縮に滑り台を利用するか。下り坂も地味に足に来るからな」
階段と共に滑り台も用意されている。それは人ではなく、物の運搬用。
商店区が仕入れた材料を、職人区に運ぶ際、人を使うには金も時間も掛かるため、時間短縮のために作られた。ちゃんと最後には物が壊れないようにマットが置かれている。
勿論、酒だけを滑り台に乗せるのではなく、俺自身も一緒に滑る。結構な下り坂なので、良い子の皆は真似しないように。
「おっとっとっとっ……到着。アイツ等とは違って、体が鈍ってる俺だとこうなるよな。ネスティスは綺麗に着地してそうだ」
【無法者】メンバーだったら、滑り台から途中でジャンプして、地上に着地する。ネスティスもそれぐらいは出来そうだ。
俺はというと……最後まで滑り、マットが役に立ちました。




