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 私を見つめる視線に気づいた。何か言いたそうに長躯を丸めているミレーさま。


「そ、その舞踏会なんですけど。実は僕も参加するんですが、アミシアさまはどうされるおつもりなんでしょうか?」


「どうって?」


 ミレーさまの思いつめた顔。あなたはクリスティーヌの婚約者でしょ? そんなに心が揺らいでいいのかしら? まあ、なびくなら社交界でみんなの前でなびいてくれると助かるわ。その方がクリスティーヌに恥をかかせられるし。まあ、私はやんわり好みじゃないんですって伝えてあげるから安心してくれていいのよ。


「今すぐ返事はできないわね」


 当然参加するつもりだけど、じらしてみた。分かりやすくミレーさまはドギマギする。


「この舞踏会。当然クリスティーヌにも招待状が届くと思うのです。聖女ですもの。ミレーさまだってお手紙を出すのでしょう? 私は聖女さまより目立ってはいけないと思うのです」


「いやいやいやいや、アミシアさま。そんなことは決して。それに僕はアミシアお嬢さまと踊りたいです」


 へぇ。どういうことなのかしらねえ。


「婚約が流れるように決まってしまって正直、僕もどうしていいのか。伯爵家との付き合いは長いですし、もちろんクリスティーヌさまは美しい。だけど、僕はあの清らかな心を受け止めるには相応しくは……」


「あら、つまり私は清らかではない俗っぽい女性ということかしら?」


「滅相もありませんよ! いや、アミシアさまはなんというか、人を惹きつける何かをお持ちだ。リュカ王子が認めるほどの」


 ふーん。リュカ王子がねえ。それで親友のあなたも私に心を奪われたと? まあいいけど。クリスティーヌといっしょにいても、あなた食いつぶされるだけでしょうし。


「お褒め頂けるのは嬉しいです。ダンスの方は期待しないで下さいね。あまり得意な方ではないので。王子には後日手紙を差し上げますとお伝えください」


 もう、社交界デビューか。今のところ、順調にここまで来てるけど。ダンスの練習もしないとね。チャンスをつかまなきゃ。もう魔族だからどうのこうの言っている暇はないわ。私は私を出し切って行くしかないのよ。


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