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 扉からそうっと離れたとき、扉が軋んだ。気づかれずにそうっと引き返したかったのに!


「誰だ?」


 え、どうしよう。


 慌てて走って柱の陰に隠れた。


 開かずの間から出て来たお父さまはさっきまで泣いていたとは思えないほど精悍な顔つきになっている。これは、怒られるわ! 見回しても、誰もいないことに震えているお父さま。怒り狂っている?


「……アミシアか?」


 声音は優しかった。以前なら「お母様ってどんな人?」と聞くだけで怒る人なのに。今ならお父さまは違う態度を取るかもしれない。隠れていたら駄目ね。勇気を出して聞かないと。


「はい、私ですお父さま」


 恐る恐る歩み寄るとお父さまの目に涙の跡があるのがくっきりと見てとれた。お父さまは複雑に表情を歪める。見てはいけないものを見てしまったわよね。


「部屋に戻ります」


 お父さまは私を引き留めなかったけれど、


「アミシア……。お前の魔法に懐かしさを感じてな。お前は母さんとちっとも似つかないと思い込んでいたんだが……」


 と、なにか匂わせるようなことを呟いた。


 ちらりと振り返ると、お父さまは喋り過ぎたと思ったのか扉に鍵を閉めているところだった。鍵に羽根の紋章があるのが月光で見えた。どこかで見たことのあるような紋章だわ。暗くて怖くてほとんど忘れていたけど、幼い頃に閉じ込められた書斎で見た記憶があるような?


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