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「さあ、いよいよ開封ね!」


 と、自分の身長より高い箱に歩み寄るクリスティーヌ。


 どうか、魔道具や呪いの品やギロチンが出てきませんようにと祈ることしかできない。プレゼントの封にハサミが入れられる。


「おお、これは」とお父さま。


「え、これって。まさか……く、くま?」


 私は抱腹絶倒しそうになるのを必死でこらえた。だって、だってこれはあまりにも滑稽なプレゼントだわ。


 クリスティーヌに至っては、


「げっ……うそでしょ」


 ミレーからクリスティーヌへの贈り物は宝石つきの巨大なくまのぬいぐるみだった。つまり、私のもらったのとサイズ違い。婚約する予定ということで大きくしただけのようね。大人三人がかりで搬入して、中身がこれって。どこに飾ったものかと従者たちが色めく。


 クリスティーヌはうつむいて拳を握り締める始末。頭からちょっと角が生えてる。このままだと本性がばれちゃうわよ。


 クリスティーヌが私を一瞥すると、頭の角を引っ込めた。角を見ても動揺しなかった私に挑発的な笑みを浮かべてくる。いざとなったら私を殺すの? ねえ、あなたは私を始末することを思い描いているんでしょうけど、知ってる? それは私も同じなのよ。今度は私があなたを処刑台に送ってあげる。


 私は笑顔を振りまいてミレーさまにそっと寄り添う。


「さすがミレーさま。私たち子供の気持ちをよく理解してくださってますね?」


 聖女さまにはくまのぬいぐるみがお似合いってことよね? 悲しくて泣けてくるんじゃない? 普段からかわいいこぶってるからこうなるのよ?


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