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 それからしばらくしてクリスティーヌが出かけて行った。騎士ディオン・ミレーとのお茶会らしい。好きなところに好きなだけ出かければいい。と思って、ふと気づく。


 クリスティーヌはただ王子と繋がって私を処刑したんじゃないのかもしれない。そもそも、あの子が王子に取り入るようになったきっかけは何だったかしら。接点は騎士ミレーだったのかもしれないわね。私が処刑された後のことはできれば考えたくないけど、クリスティーヌが排除したかったのは私だけじゃないのかも。


 最優先事項としては、あのルビーの首飾りよね。クリスティーヌがつけているのを見たのは、夜の庭で個人練習をしていたあのとき一度きり。ということは、普段はクリスティーヌの部屋にあるに違いないわ。


 侍女のコラリーではなく、口の堅い無口な子を選んで調べさせましょうか。


「コラリー。ねえ、フルールを連れてきて」


 フルールは忍耐力もある。私がたまに癇癪を起したときも、我慢して職務を全うしてくれる職人気質の侍女。痩せぎすで少しばかり貧相に見られることもあるけど、見た目とは裏腹に甘党でかなり若い。


「お嬢さま、急にどうされましたか?」


「相談があるのよ。私の侍女を務めて一年ほどかしら?」


「はいお嬢さま」


「クリスティーヌのことはどう思う?」


「どう? と言われましても」


「正直に言って?」


「自分の気持ちを正直に言わない方がいいこともあると教わりましたので」


「そうよね? 私も自分の気持ちは正直に言わないことが多くなったわ。どうしてか分かるかしら?」


「いいえ」


「あら、本当? じゃあ、あなたを私の侍女から外してもいいのよ? クリスティーヌのところへ行きなさい」


「それは少し困りますアミシアお嬢さま」


「困るのは少しね?」


「はい」


 フルールはクリスティーヌがいい子ぶってることに気づいている数少ない人物。


 この子はうちに来た初日に私が八つ当たりしてしまったときもじっと、我慢していた強い子。関係はあまりよくなかったけど、今は私も怒鳴ったりしないし、わりと良好な関係を築いていると思う。


「あなたが嫌いなわけじゃないんだけど、お願いがあるの。クリスティーヌが最近、妙な動きをしているわ」


 嘘だけど今後必ず動き出すわ。早ければ今日にも騎士ミレーに取り入るでしょうし。


「クリスティーヌさまのところに偵察に行くのですね」


「やだ、どうしてそう大げさに言うのよ。私はあなたにやましいことを頼んだりしないわ。ただ、情報収集したいの」


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