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超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜  作者: ネリムZ
黒巫女召喚士とその仲間達のクラン劇
172/173

混沌足る黒巫女召喚士のズッ友

 フランが後ろに手を伸ばす。


「【ブレイク】」


 パリン、とオウガの背中が割れる。


「『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』」


 互いに大きな叫びをあげる。

 オウガの体が徐々に灰に成って消えて行く。

 ベルゼブブのオウガも同じように灰になって消えて行く。


「お、わった?」


 誰かがそう呟いた。

 終わった、か。

 確かに、そうだと良いな。


「はぁ。はぁ。リマ、ちゃん」

「ああ。分かってる」


 周りが喜んでいる中、私、超越者組、我がギルメン達。

 そして、サトシにフェン、エルフにリクト、アルは警戒を止めない。

 フランの【ブレイク】はオウガのHPの1割を減らす。

 HPバーが見えなくても、まだ残り1割が存在する。


「⋯⋯」

「? フラン? おい、フラン!」


 フランがガックリと気絶している。

 私はフランを下ろして、ゆっくりと床に寝かせる。

 大丈夫、まだ生きている。


 私の両手がふんわりと光を放つ。

 そして、床から大量の深紅色の何かが上って行く。

 天井までそれが上り、どんどん形を成して行く。


『アララララララ!』


 目があるのか無いのか、あるのは大きな角だけだった。

 そして、頭上に両手と同じ色の光が円形を成していた。

 やる事は分かった。


「フラン、安心してろ。終わらせて来る! さぁ、最終戦闘ファイナルバトルだ!」


 私は翼を広げてオウガの脳天目掛けて飛び立つ。


『アララララララ!』


 上から大量の魔法が降り注ぐ。

 横に動いたりと、器用に飛んでそれを避ける。

 しかし、飛ぶ度に頭の中に何かが流れ込んで来る。

 それは様々な人の記憶を切り貼りして新たに作った記憶だった。

 フランが憎い、フランが悪、そんな洗脳的な記憶が流れ込んで来る。


 私じゃなかったらすぐにやられていただろうな。

 全く、洗脳系の魔法でもここまでリアルな洗脳はナシだろ。

 リアリティを求めるのは良いけど、リアル過ぎると嫌われるぞ。


「⋯⋯ッ!」


 全面の色が変わる。

 躱せない。


「飛龍天眼! 風天の海龍!」

「【コピーアイ】【ペーストアイ】【ギガンティックバーニング】!」


 右から青色の風の龍が来て、左からはレーザーが来た。

 その2つが私を渦のように包み込む。

 すると、私の視界に映る色が変わって行く。

 魔法が、顕現しない。


「行くよリマちゃん! 私が先を切り開く、一撃に全てを込めて!」

「分かった!」


 渦を足場にしてレイシアが登って来る。

 上から飛んで来る魔法はレイシアが切り飛ばし、横からの魔法は師匠達の妖術と魔法で防いでいる。


『アララララララ!』


 その中から深紅の大きな手が出て来た。


「【カオススピードムーブ】」


 加速してさらに上に上り、何とか躱す。

 レイシアも負けじとどんどん登って行く。

 今更だが、今のレイシアの髪色は銀髪だった。

 感情が落ち着いて、金髪では無くなったらしい。


俯瞰聖奈乃ふかんみなの流、4枚刃!」


 レイシアが高速で剣を動かして、大量の斬撃を放って行く。

 さっきの『4枚刃』とは一体なんなのか。

 しっかし、レイシアのお陰でまっすぐ進めるが、レイシアの奥に見える大量の色。

 消えたり顕現したりする。


「さぁ、後は君の番だ」

「サンキュー。頑張って来るは!」


 さらに加速してオウガの顔まで上昇した。

 さて、これで戦闘終了(ゲームセット)だ。


『アララララララ、ま、て』

「あん?」

『アララララララ、い、い、の、か。こ、の、ま、ま、わ、れ、を、こ、ろ、せ、ば、ふ、ら、ん、も、た、だ、で、は、す、ま、な、い』

「⋯⋯」

『アララララララ、か、な、し、く、は、な、い、か? わ、れ、を⋯⋯』

「黙れよ」

『アララララララ?』

「関係ねぇよ。フランはこうなると分かった上で、私に託したんだ。黙って、死んどけぇ!」

『アラララララ! アララララララララ!』


 魔法を放たれようが関係ない!

 そのまま一直線に進むだけだ!


 私は魔法を受けながら直線飛行した。

 そして、右手をオウガの光っている部分に突き刺した。

 オウガの体に亀裂が高速で入って行く。


 バリ、バリバリ。


 オウガの体がどんどん砕けて行く。

 砕けた部分が地面に落下して行くが、途中で消える。


 HPゼロ、これで私達の勝ちだ。


『最後に忠告してやる』

「あぁん?」

『今のお前らは世界に嫌われている! 世界の異物共が! 分かるか! お前らの敵はすぐそこに居る! それがこの世界だ! 覚悟しておけ! 貴様、そして貴様の仲間全ての命がこの世界に狙われている事を!』

「何を言っている?」

『あは、ははははは! あはははははは! ああーあはははははははははははは! 始まるぞ! 世界誕生の戦争が! 再び! あははは! ははははは!』

「⋯⋯」

『我は死ぬ! 地獄にも天界にも行けず! 魂が完全に朽ち果てる! 貴様に教えてやる! 貴様は確実に後悔する! この選択を! この結果を! そして知る事になる! 世界の真実を! 全てが変わり、狂って行くこの世界を! さらばだ』


「はは。おもろい事言うな。私も教えてやんよ。──どんな敵がかかって来ようが、それが神だろうが、世界だろうが、大切なモノは絶対にこの手で、この命で守る! 貴様はそれを永遠に見れないだろうが、ただ、一つだけ言ってやる! 私は、どんな選択をしようが、後悔する事は絶対にない!」


 オウガが最後にグシャリと笑い、塵となった。

 最後はあっさりと亡くなったオウガ。

 こいつの洗脳で入って来た記憶はどんどん消えて行く。


 私はゆっくりと降りて、フランの傍に近づく。

 フランの傍にはレミリアが居り、フランを抱えていた。

 特に他の人が近くに寄って来る事はなかった。

 ありがたい。

 今は、誰にも邪魔されたくない。


 悪いなモフリその他諸々よ。この役目は、この私がやる。


「フラン! 起きてフラン!」


 レミリアがフランを揺すり叫ぶ!

 唸ってから、ゆっくりと目を開けて行くフラン。

 その顔は苦しそうでも、それでもとても晴れやかで清々しい顔で、そんな顔で笑顔を見せてくれた。


「お姉ちゃん。色々、勘違い、してて、ごめん、なさい」

「ううん! 私も何も言わずに、勘違いされる事やってごめん! 私のせいで、フランがあんなに目に会ってたのに、助けてあげれなくてごめん! こんな、お姉ちゃんを許して、くれる?」

「うん。リマ、ちゃん」

「なんだ」


 私はフランへと近づいて屈む。

 フランの顔がしっかりと見えるように。

 混沌の感覚を解除して、見た目をきちんと直して。

 私も笑顔を見せる。

 笑って別れるとフランが決めたのなら、私も笑う。


「ありがとう。楽しかった。短い時間、それでも、私は楽しかった。報われた、幸せだった。もう、取り返しの付かない事をしてしまった、けど。精算出来たら、また、友達に成ってくれる?」

「当たり前だ」


 薄く成って行くフランの体を抱き寄せる。

 レミリアからフランを奪い取り、抱き寄せる。


「フラン、私は、私達は貴女がどんな事になろうとも、どんな見た目になろうとも、1度たりともこの絆は切らせない。私達はズッ友だ」

「あり、がとう。大好き」

「ああ。私は愛してるよ。フラン」


 私の胸の中で、ゆっくりと消えて行くフラン。

 安らかな顔で静かな笑顔を見せて、フランは消えた。

 きっとフランは地獄に行くだろう。

 それ程の事をしてしまったのだ。


「⋯⋯また、会おうな」

作「レベル上げも忘れてのんびりと遊んだ2人。特に喧嘩をする事もなく、ただ2人ののんびりとした時間を楽しんだ。しかし、そんなゆったりとした時間が2人はとても好きだった」


ユミル様「ナレーション?」


作「そうですね。うぅ、フランちゃん」

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