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超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜  作者: ネリムZ
黒巫女召喚士とその仲間達のクラン劇
158/173

参戦組の超越者

 空間が歪み、怨念が私を呑み込もうと騒いでいる。

 うるさい。

 空間が赤く見え、様々な色が見える。

 魔力の流れ、空気の流れ、命の流れ、今の私に死角はない。


「ぁぁ」


 地を蹴り翼を広げフランへと接近する。

 強化されたのは五感だ。

 だが、今見えている色の変化によって、魔法陣なく発動する魔法は躱せる。

 横に動いたりの回避行動はしない。

 仲間に迷惑に成らない場所まで行き、直進する。

 魔法が離れようが躱すし、目の前に魔法が現れようが、現れる前に見えるから躱せる。

 四方八方から魔法が来ようが、今の私には意味が無い。

 ただ、難点をあげるなら、本当に気持ち悪い。

 吐き気が永遠と私の中を駆け回り、怨念が騒ぎ仲間の声もかき消される。

 意識が徐々に薄れて行き暴れるだけの存在に成ってしまう。

 制限時間は2分と言ったところか。

 それ以上になると私の意識が飛ぶ。

 飛んだら最後、ここに居る生物全て破壊しないと終わらない。

 いや、その場合フランかレミリアによって私はやられる。


 フランへと接近して見る。

 十字架の中を。

 高速で駆け巡る気味悪い魔力の流れ、そしてフランの体が無い事に。

 少し語弊があるな。

 見えている部分以外にフランの体がないのだ。

 つまり、十字架の中にフランの体が見えない事になる。

 しかし、こんな至近距離で油断する訳にも行かない。


 魔法が出る場所を瞬時に察知、レーヴァテインを振るい霧散させ、四獣刀を振るう。


「チッ!」


 流石に魔法の展開が速いので飛び立ち躱し、ある程度距離を取ってから再び接近する。

 さっきのレーザーによって四獣刀の耐久値的にあと4回って所か。

 四獣刀で魔法を切ったら四獣刀がぶっ壊れそうだな。


 壊す。


 十字架へと接近して再び切り付ける。

 四獣刀は成る可く温存しながらレーヴァテインをメインに使う。

 それを分かっているかのように魔法が展開されるので、十字架の所に長いする事が出来ない。


『死ねぇ!』


 壊す壊す。


「まずい」


 そろそろ、経つ。

 切らないと。だけど、それでフランを助けられるのか。


 そんな考えが悪かった。


 壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す。


 リマちゃんの中に破壊衝動が駆け巡る。

 巡って巡って、そして染まる。

 四獣刀とレーヴァテインを十字に構えて、『フラン』に振るわれる。

 魔法は放たれない。あたかもそれを待っていたかのように。


 二チャリ、そうフランが笑う。

 四獣刀とレーヴァテインが振り下ろされる寸前、それを防ぐ刀が現れた。


「マーリン、遅いと思って来たのに何かなコレ?」

「レイシア! 黒ちゃん!」

「別に妾は来たくて来た訳じゃないんだけどなぁ」


 それを否定しないレイシア。

 つまり、本心から言っているのだろう。

 だが、その呆れ顔の師匠は顔を顰める。


「モフリ、それは使うなと言ったぞ?」

「ああぁ!」

「全く」


 リマちゃんが師匠へと刃を向けて接近する。

 師匠は拳を握り頭に振り下ろす。妖術を付与して。

 地面に落下した私は意識を取り戻した。


「つつ。何がどうなって?」


 視界は未だに赤いが、少しだけ薄く成っている気がする。

 フランの方を見ると師匠とレイシアがいた。

 フランはピクっとしてから魔法を放って高速で後ろにバックする。

 魔法を諸に受けた2人は普通に立っている。


「で、モフリよ」

「リマちゃんです!」


 ここ、重要。テストに出ないよ。


「リマちゃんよ。どうして使った?」


 あ、これあれだ。ちゃんまで名前と思っているパターンだ。


「じゃないと魔法が躱せないからだよ。解除する予定だったけど、雑念が入った」

「まぁ。抑制術使って意識が保てるならいいが、で、あれはなんだ?」

「それは、私の妹よ」

「「マーリンに家族居たのか! 言えよ!」」

「仕方ないじゃない! 2人にも家族居ないと思ってたし! それに、あの時も居なかったから、もう居ないと思ってたのよ」

「そうか、で、どうしてああなっている?」

「分かんない! でも良かった。2人が来てくれて。お願い。私の家族を助けるのを、手伝って」

「いいよ。ね?」

「仕方あるまい。2人には居ない弟子も出張っとるしな」

「嫌味な奴だなぁ全く。リマちゃんこれ」


 そう言ってレイシアは私に刀を投げて来る。

 クルクルと刀が回転して地面に突き刺さる。


「その刀、もう使えないでしょ?」


 ふと気づき、四獣刀を見ると綺麗に刀身が無くなっていた。

 これは私の使い方ではなく、記憶的にレイシアが剣を受け止めた際に切れている。


「メル!」

「まだ資材が来てないので修復は出来ませんよ!」

「まぁ、レイシアから借りる刀で何とかしてみる!」


 向かったこの無い武器を土壇場で使うなんて、面白いじゃん。

 レーヴァテインは合体したモフリで何回か使っていたが、今回は違う。

 練習無しの本当に土壇場だ。


幻夢断げんむだち、幻等を斬る事に特化している」


 幻、か。

 だけど今の状態で幻覚に惑わされる事は無いと思うが、いや、そうであって欲しい。

 さて、超越者3人と共にレイドとは、心強い事だな。


「サトシ!」

「な、なんだ!」


 そうか、この人達を知らない人達から見たら急に参戦して来た魔法使いに新たな2人が来たんだもんな。

 ま、いいや。


「師匠フランをアレから取り出す方法ってないですか?」

「あれならレイシアでも行けると思うが、マーリンでも出来るだろ?」

「今後の事も考えてレミリアって呼んで、これから」

「「えーマーリンの方がカッコイイのに」」


 レイシアって名前知ってたの?


「私じゃ分離魔法を使っても切り離せる自信ないよ? この世から分離させちゃう。あの十字架はともかく、私の魔法じゃあの子を傷つけちゃう」

「だから手加減して訳か」

「レイシアも出来るだろうけど、対象を傷つけないってなるとレイシアじゃ不安だな」

「喧嘩なら買うぞ?」

「残念だったな完売しているんだよ。しゃーない。モフリの限界突破との借りがあるからな。レイシア、妾の半径20メートル以内にあいつを入れてくれ」

「了解。リマちゃん、まーーレミリア行くよ! あとそこの天使君」

「あ、はい」


 4人で飛び立ち、師匠は地面に立った状態で術式を構築し始める。

 レイシアがどのくらいの力で戦うか分からないが、まずは師匠の所に近づける事を考えないとな。


「レイシア、あれを斬らずに師匠の下に連れてける?」

「リマちゃん、モフリと違って敬語を使わないね。問題ないよ。70パーセントの力出さないとあの十字架は切れない。そして、そんな力使ったらここら一帯が大変だ」

「もしもあの十字架だけが戦いに来たら」

「その場合は、皆で倒そうか」


 あくまでも、1人で勝つようなマネはしないと。

 いや、出来ないのか。ま、その方が良いんだけど。

作「おかしいですね。今回でちょっとした切り替え地点の筈だったんですけど」


ユミル様「大方予想通り」


アラネ「うむ。ユミルに同意じゃ」←語尾にするかも?


サエ「これ、結構シリアスな場面でもやるのな」


リマ「フランはわたしゃの嫁ぇぇぇ!」


作「何言ってんの?」

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