黒巫女召喚士と十字架の魔女その6
ネマは両手、2本の尻尾、背中から生えるもう2本の刃、合計6本でアイビスと戦っていた。
高速の同時6連撃をナイフで捌き、避けるアイビス。
しかし、手数の多さ故に徐々にダメージを受け始める。
バックステップで逃げようともすぐに射程圏内へとネマが接近し再び連撃を繰り出す。
逃げる事が不可能の連撃。
今のネマに体力と言う概念は存在しない。
スタミナが数値化されていないこの世界で、このネマの混沌とした空間の中で、体力と言う概念は既に誰にも無い。
簡潔に言えば、疲れ知らずの兵隊だ。
対する相手もスケルトン、疲れなど知らないが。
「上弦の太刀」
アイビスの両肩を狙い両手の刀を切り上げ、刃の向きを変える。
逆手持ちのような形になっている。
「下弦の太刀」
元来た道を戻るかのように振り下げる刀。
アイビスは両肩を激しく斬られたが、まだ繋がっている。
回復する術を持たないアイビスはそれでも戦う。
アイビスにこの戦場から去ると言う考えはない。
スケルトン、量産型アンデッドの1つとされている。
この廃城に大量に出現しているスケルトンも同じだ。
母体となった死体はあっても、意思はそこには無い。
無いのだ。
しかし、ネームドモンスターであるアイビスは違った。
種族の中でたった一体の個体となっている。
ネームドモンスターはとても希少で数が少ない。
例えばベルゼブブ、ベルゼブブは大元のストーリーに関わりがあり、唯一無二の存在。
ベルゼブブは種族名でもあり固有名でもある。
アイビスは固有名、フランはベルゼブブと同類となっている。
そして、ネームドモンスターはただのモンスターとは違う。隠しボスと同列に扱われる、ユニークモンスターである。
何かしらのシナリオがあるユニークモンスター。
アイビスの場合はフランだろう。
その背景に何があるのかは分からない。しかし、ネマは見えている。
だからこそ、自ら戦うと決めたのだ。
サエでもアイビスとは戦えた。寧ろ総合ステータスや武器によってサエの方がアイビスを倒しやすいだろう。
しかし、それだけでは倒せないと踏んだのだ。
『心の檻』、アイビスはそれに囚われている。
その事に気づいているネマはアイビスをそこから解放すると見た瞬間に決めた。
戦う、殺すと言う意思は無くてもフランの為に戦うし殺す。
或る意味ロボットのような存在かもしれないが感情はきちんとある。
「被殻の太刀」
刀を6本同じ方向から薙ぎ払う。
大きく跳躍して躱すアイビスだが、既に上に新たな刃が来ており、地面に向かってアイビスは叩き付けられる。
本気となったネマは自分の体を自由自在に操り不規則な攻撃を繰り出せる。
不規則な攻撃に寄ってアイビスは翻弄されまともにネマに攻撃出来ず、逆にダメージを一方的に負っているのだ。
ただ、いくらダメージを与えようがアイビスが倒れる事は無い。
システム的にHPがゼロになろうがアイビスは立ち続けるだろう。
フランを守るのがアイビス、彼の役目なのだから。
「貴方に言いますが、主様はフラン様を殺します。しかし、魂を壊す訳ではありません。解放するのですよ。あの十字架から。私は貴方を解放させます。貴方のしがらみ、貴方が何を思って何を考えているかはあまり分かりませんが、これだけは言います。貴方の大切なフラン様や貴方はもう、安からに眠ってください」
それがネマのちっぽけな思いだった。
この廃城に来て、そして十字架の魔女を見て、そして分かった。
何かが渦巻くフランの姿を。
呪い、この世の未練、それは分からない。
ただ、安からに眠らすだけだ。
「もう、貴方が苦しむ必要は無い」
何年、何十、何百と長い間囚われていたアイビスの心の檻は徐々に崩れて行く。
「もう一度、言います。フラン様も貴方も、もう安らかに眠ってください。清安の希太刀」
首を斬られるアイビス。
その首はゆくっりと落ち、地面を数回バウンドしてコロコロと転がる。
そして、ゆっくりと口を動かす。
薄らったとだが、アイビスの元の姿が映った気がした。
「安心して眠ってください。フラン様は主様、そして我々が解放させます」
──フランさんをどうか、救ってあげてください。
──もう、全てを忘れて。
ネマは動き出した。
主、モフリの元へと。
そして、体が崩れてただの骨へと成って行くスケルトン達。
もう、彼らの役目は終わった。アイビスからの『支配』は終わったのだ。
◇
「邪魔くさいなぁ。【エクスプローラー】」
沢山の人が接近して槍や剣を突き出すが、上昇してそれをヒラヒラと躱して行くフランちゃん。
場所を予測して先回りし、十字架に向かって刀を振るう。
フランちゃんの下に居た人達がレーザーに包まれ消え、私の縦の一閃は横に滑るように移動され躱される。
「【アイアンロール】」
「はぁ!」
鉄の塊が回転しながら接近して来る。
刀で受け止めるが鉄の塊の方が勢いが強く押されそうになる。
刃を上に向けて受け流す!
鉄の塊は私の後ろを通って入口の上辺りに激突する。
空中で1回転して向きをフランちゃんに向けると、既に私の前にフランちゃんが居た。
「【アイスキャノン】」
「ぐうぅ」
近距離から撃たれた魔法を諸に受ける。
凄い勢いでHPが減って行く。イサちゃんのスキルがなければすぐにHPゼロになっていただろう。
他にもバフやデバフによるバフが無ければここまで耐えられない。
ベルゼブブ戦と同じだ。
バフで強化して強敵と渡り合う。そして、沢山の人と協力して倒す。
『【セイクリッドショット】』
「はぁ、無駄だとどうして分からない。どうして学ばない。くだらない。【バーニングローテーション】」
渦巻く炎のビームが集団に向かって突き進む。
すぐにその集団は旋回してバラバラの方向へ避難してやり過ごす。
「魔法を使っている間は魔法は使えないよな! 【過雑の剣】」
「ぐ」
まともに十字架に攻撃が入った瞬間だった。
確かに1つの魔法をサポートして強化する魔法は同時に使っていた。
だけど、攻撃の魔法は連続して撃って来ていない。
『いや、普通に同時に使えるぞ、防御魔法だって二重で使っているだろ! それに、魔法生物兵器を二体生産して戦わせている状態での魔法だ!』
『つまり⋯⋯』
「『狙いはサトシ(さん)!』」
「【ダークネス・ノア】」
作「3月2日」
ユミル様「それが?」
作「1番PV数が多かった日だ! それでも5500やったけど! 100話越えてようやくの1日5000越えだよ! 目標の総合ユニークPV数10万までまだ、5万近くあるよ!」
ユミル様「まぁ、かなり話数が増えて初めての人が入り難いんでしょね。読むのめんどくせーってなるヤツ」
作「なんかこの後書きメタ発言やって一気に評価伸びてさ、天狗になってさ、そして評価の増えが止まった」
ユミル様「しゃーない。グダグダしてつまらんもん。誤字脱字も多いしな。お前小説向いてないんだよ」
作「うわぁぁ! なんか自分で言って自分で貶してる感がある」
ユミル様「それに休載の話はどうなった?」
作「受験近いし小説書く暇ないかもしれないから⋯⋯」
ユミル様「確かに、もう1週間も無いのにノート10ページ分の勉強量でさ、やった内容も全然覚えてないのに受⋯⋯」
作「はいストップ! これ以上は読者様が本当に居なくなってしまう! あ、これちゃんと読んでいる奇特な方が居るとも思わないけど。と、最後に恒例の挨拶をば」
サナ「評価やブックマークをしてくれると嬉しいぞ!」
ユミル様「私の出番を本編でバッリバリに出てキャラ無い奴がとるなぁ!」
マナス、それは設定上はあるが特に本編であまり出て来ない活かせても無い可哀想な存在。
次回、ゲストはアラネ。これは大きなネタバレだ。