黒巫女召喚士と十字架の魔女その5
「火奪の太刀」
ネマが刀を振るい、対するアイビスはひらりと避けてナイフを突き出す。
横に体をズラシ躱し、アイビスは横にズレたネマに刃を傾け、スライドさせる。
削ぐ攻撃に対して屈んで躱し、2本の刀をアイビスに向けて突き刺す。
アイビスは後ろに大きく跳び、魔法陣を展開させる。
魔法陣からは半透明な刃が数本連射される。
前、横、前にステップして躱し、跳躍して一気に接近し、刀を振るう。
「氷の太刀」
ナイフで刀を受け止めるが、ナイフが少しづつ凍って行き、ナイフで止められていない方からも刀で攻撃を仕掛ける。
地面から僅かに足を離して後ろに下がるアイビス。
ナイフに手を当てて魔法陣を展開させ、凍っている部分を溶かす。
「貴方はそこまでフラン様の為に戦うのですか?」
発声器官のないスケルトンでは喋る事は不可能だった。
しかし、アイビスは魔法を駆使して言葉をネマに伝える。
「ああ」
そう短い言葉。
それだけでアイビスはネマの思いが伝わったと思い、対するネマもアイビスの思いは伝わっている。
互いに地を蹴り刀とナイフを激突させる。
金属音と火花、火花によって生み出された光が周囲を埋め尽くす。
ナイフで刀を弾かれようが後ろに下がる事はなく、足に力を入れ、廃城の床に少し埋まる。
お構い無しに刀を振るう。
「風断つの太刀」
2本の刀をクロスするように振るい、アイビスはナイフを縦にして防ぐ。
衝撃によって後ろに下がるアイビス。足は地面に埋まって抉りながら下がっていた。
「飛撃の太刀」
斬撃がアイビスに向かって飛翔する。
アイビスは左手を前に突き出して魔法陣を展開させる。
斬撃と魔法陣が衝突し合い火花を散らして霧散する。
霧散し煙が立ち、その奥から影が現れる。
ネマが煙から出て来てアイビスに刀を振るう。
アイビスはネマの懐へと入り、足を上に向けて突き出す。
ギリギリで左の刀を縦のようにしたネマ。
ネマが蹴り上がり天井近くまで行く。
アイビスは跳躍してネマよりも高い場所に行きナイフをネマに向け、振り下げる。
ネマは尻尾を操作して刃と変化してナイフを防ぎ、手を伸ばして刀を突き刺す。
アイビスは若干驚いた様にピクっとしてから刀に力を加えて後ろに跳び、落下して行く。
ネマも合わせて落下し、着地と同時にアイビスに接近する。
「霹靂の太刀」
高速接近の勢いを右の刀に乗せてアイビスへと振るう。
アイビスは屈んで躱したが、尻尾の刃の攻撃は反応出来ず、吹き飛ぶ。
足に力を入れてネマは急停止、スナップにして切り替え、回転斬りを繰り出す。
アイビスはバックステップで距離をとる。
「どうして手加減をしているのですか」
「⋯⋯」
「貴方は生命を殺したく無いのでは無いのですか?」
「⋯⋯」
「応えませんか。フラン様は主様によって死にます」
「⋯⋯!」
「主様は負けませんよ」
「⋯⋯」
静かにナイフを向けるアイビス。
◇
私はフランちゃんへと接近して刀を振るう。
十字架を狙うのは諦めたつもりは無いけど、簡単には狙えない。
十字架以外に攻撃出来る場所はフランちゃん本体に限られる。
それは嫌だ。
戦うと決めても、どうしても踏み切れない物がある。
「【月光蝶輪】」
フランちゃんの頭上に満月が現れる。
この廃城では屋根に所々穴が空いており、月の光が入っている。
そして、今宵は満月。
現在、満月が空と天井にある事になる。
人工的に作られた満月から数十体の蝶が降りて来た。
1匹1匹が月の光のように明るくも落ち着く光を放っていた。
「⋯⋯」
不覚にも綺麗と思い、蝶に見とれてしまった。
結果、蝶の1匹が私の近くに来て、光を増して行く。
「ギャラー!」
マナちゃんの咆哮によって我を取り戻し、マナちゃんは私を吹き飛ばす。
「マナちゃん!」
しくじった! やってしまった! こんな強敵を前に油断した!
マナちゃん!
蝶が爆発してマナちゃんを包み込む。
轟音と共に爆発の煙、爆風が私を押して行く。
「ギャラー!」
マナちゃんが翼を広げて煙を吹き飛ばす。
虹色に輝く大きな怪鳥。
その姿に安堵する暇なんて無く、マナちゃんのHPが半分に成っている事からも1度休んで貰う。
「サトシさん!」
「少し時間を!」
時間を稼げるのだろうか?
今の私は妖術が使えない。
近接で攻撃しても蝶は爆発するだろうし。
斬撃を飛ばすスキルなんて無いし。
「どうしよう⋯⋯」
考えろ。
どうすればいい。
モナはこんな考える事には向いて無い。ナミもフル活動して考えている。
だけど、答えが出て来ない。
どうすればいい。
私の出来る範囲でどうすれば蝶を妨害出来る!
「ここは友達に頼る所じゃない?」
「グリムちゃん!」
「黒翼行くよ。【ブラックフェザ】」
黒い羽が蝶へと接近し蝶を貫き爆発させる。
羽はボロボロに成りながらも帰還して自己修繕しながらグリムちゃんの元へと戻り、違う羽と交代する。
修繕が終わったら再び羽は蝶へと向かって飛んで行き破壊して行く。
「マナが降りて来て何事かと思ったよ」
「グリムちゃん⋯⋯ありがとう」
「良いってことさ」
「でかした! 【セイクリッドバズーカー】」
大きな魔法陣が展開され、純白のレーザーが蝶とフランちゃんを包み込む。
「【シールド】」
レーザーが収まるとフランちゃんだけが生き残っていた。
「スケルトンがだいぶ強く成ってね。第2段階に突入させる事にした」
「そっか。HP1割も減らせて無いけど、それが良いかも」
作戦第2段階。
「ふむ。雑魚が増えたみたいだね。全くうるさいものだ」
サトシさん、私、グリムちゃんの背後に数百と言う数のプレイヤーが飛んで来ている。
皆がみな、同じ腕輪をしていた。
飛翔の腕輪。
耐久値が持つ限り自由飛行可能のマジックアイテム。
だいたい6分飛べる。
私の【飛翔】と同じで体の動きで飛ぶ事の出来る物だ。
片手が塞がれる訳では無い。
メルちゃんとマーリンさんが作った魔道具。
『聖なる光で彼の者を包み込め【セイクリッドアーマーマジック】』
『聖なる光で彼の者の力を上げよ【セイクリッドパワーマジック】』
『焼けろ、爆ぜろ、【エクスプローラー】』
集団高等魔法。
私達の防御力、攻撃力を上げて、広範囲殲滅魔法を使ってくれる。
司法新羅とヴァルハラのコンビネーションである。
「弱い者が増えても意味は無い。【エクスプローラー】」
「そうでも無いぞ!」
エクスプローラーとエクスプローラーがぶつかり合い、フランちゃんの背後に私とサトシさんが周り、他の包囲からは黒色の羽が迫り来る。
「飛天鳥雷流、界雷断鳥」
「【隔絶の剣】」
作「さて、今回は予告通りに」
ムニン、桃▷▶︎▷▶︎主人公モフリ(萌南)の妹双子の姉の方。実は柑の双子の姉である。誕生日か一緒の為に格差は無い。メインで行っているゲームはNewWorldFrontier。時々ゲームの大会にソロで参加しては優勝しているプロゲーマー。ゲームの素質は親譲りなのか、大抵すぐに順応して好成績を収める。少々人懐っこい性格で誰とでもすぐに仲良く成れる性格をしている。だが、ゲームの話になると学校内では桃の話に付いて行けず友達は居ない。教室内で放課も椅子に座ってずっと本を読んでいる誰とも関わらないタイプ。クラスに1人は居るタイプとなっている。友達を作りたいとも思わない桃。小学時代に居た少ない友達は転校して連絡先も知らないので疎遠になっている。今では年上と年下の友達が数人出来ている。柑と共に基本ゲームをプレイする。姉である萌南とも一緒にゲームをやりたいと思う程に姉妹中は良好。寧ろ友達が居ない分姉を本当に尊敬している。しかし、幾らゲームに誘ってもやらない萌南。そんな萌南がプレイするとなり、一緒にゲーム出来ると心の底の底から喜んだ。ムニンのプレイスタイル的にあまり本編で共に行動する事は無いが、実は裏では一緒に遊んでいる。大抵は訓練だ。中学、姉は高校に成っても崩れない姉妹の絆はそこにある。ゲーム内では敏捷特化と速いが貧弱な戦闘スタイルを取っている。しかし、その回避は完璧で被ダメはゼロである。範囲攻撃がとにかく嫌いだが、範囲攻撃は発動に時間が掛かり、その隙を付いて高速で逃げるスタイルを取っている。しかし、どっかの魔女っ子と黒巫女少女、あまつさえ剣士にもフルボッコにされるようだ。ゲーム内全域を巻き込んだイベントを発させた事がある。特に変わった体質は無い。唯一挙げるならゲーマー体質だ。
オレン、柑▷▶︎▷▶︎柑、みかん、オレンジ、オレンと名前を決めた双子姉妹の妹の方。桃と同じようにゲーマーだが、こっちはプロゲーマーでは無いが実力はプロ級である。過去(過去編見てね)に起こった事がきっかけて引きこもりひたすらゲームをしている引きこもり。しかし、大好きな家族のお陰で心が折れる事はなく、家族内なら普通に話している。最近では年上と年下の友達が出来、外に出る程に成長している。実はブログを行っており、最近ではワルフロのモンスターの攻撃の躱し方で良くブログに取り上げている。普通に人気ブロガーである。オレンもムニンと同様で敏捷特化の戦闘スタイルとなっている。平均的なAGIでも躱せるようにきちんと考えている。回避ではオレンの方が上手く、攻撃はムニンの方が上手い。理由は単純にPVPの経験がムニンの方が多くて攻撃が上手くなり、回避のブログをやっているので回避に関してはオレンの方が上手い。範囲攻撃は嫌いである。中身のスペックは桃とほぼ同じ。果物の桃が好物。
ユミル様=GOD「愛を感じる」
作「桃ちゃんと同じような内容になりそうなのと外に基本出ないので柑ちゃんの分量が少ない⋯⋯同じくらいに愛している!」
ユミル様=cute「きっしょ。どうせ柑の方が好きだろ。どっちかと聞かれたらさ。外見に付いては触れないのね」
作「女性主人公なのに外見に付いて具体的に触れるのは良くないかと⋯⋯」
ユミル様=COOL「それって読者様のイメージが強いし、もう外見とか気にしている人いないかもね」
作「仕方ないんですよ。萌南君は中身を見るタイプだから。外見気にする人いるんですかね? 髪型はある程度決まっていますがそれを言葉にしていないので読者様の思うがままの見た目で楽しんでください。それが1番。最後に⋯⋯」
ユミル様=SUPERGOD「それって私の役⋯⋯」
作者「評価★★★★★やブックマークの登録をしてくださると励みになります。感想等も気軽に教えてください。私も確認しておりますが、見落としがあるので誤字がありましたら誤字報告で教えて頂けるとありがたい限りです」




