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テスト結果

テストが終わり全てのテストが返却された。

今は一人で成績優秀者の名前が貼り出されている廊下にいる。


潮達と勉強会をして以降、僕と潮のアルバイトのシフトが被ることはなかった。

お互いにテスト期間だったこともありシフトを減らしていたので仕方がないのだが、できれば勉強会のことをどう思っているのかを潮から聞きたかった。


潮とは席が隣ということもあって話すこともあるが勉強会をして以降、何故かお互いに緊張してしまって、挨拶と世間話くらいしか話していない。


潮の反応が気になりすぎていつも以上にテスト勉強に身が入らなかったが、動揺していると思われたくなかったので過去最高に勉強をがんばった。


その結果僕の順位は18位。いつもとそれほど変わらない。


この順位なら勉強の調子が悪かったとバレることはないだろう。

実際のところは、いつもの倍は勉強したがこれは僕しか知らないので問題はない。


今回も当然のように光が1位。

光が1位なのは見慣れているが、海原という奴も毎回2位をキープしている。


海原とは一度もクラスが一緒になったことがないのでどんなやつかはしらないが、全国でも有数の進学校である、堀川学園で毎回2位というのはとてつもないことだ。


だが、小さい頃から神童といわれている光がいるため、海原はイマイチ目立っていない。


成績優秀者のメンバーは毎回、変わり栄えしないのだが今回は一人だけ初めてみる名前が僕の上にいた。


1位  日野 光   494点

2位  海原 晶   475点

      ・

      ・

17位  潮 沙羅   422点

18位  月見 朔 420点


潮に負けた……。いや、それよりもいつもは70位くらいだと言っていたはずだ。

あの勉強会ごときで爆発的に成績が伸びるわけが無い。

今回の潮は余程調子が良かったのだろう。


負けたのは悔しいが、久坂朔夜としてではなく、月見朔として潮と話せる話題ができた。



教室に戻り、早速隣の潮に話しかけることにした。


「潮、今回のテスト凄かったね」


「う、うん。ありがと」


「何でいきなり成績上がったの?」


「えーっと、ちょっと色々あって」


潮は少し赤くなって、歯切れも悪い。何か聞かれたくないことだったのだろうか。

テストが悪いなら話しづらいのはわかるが今回の潮の成績はめちゃくちゃ良かったはずだ。


「あんた、相変わらずデリカシー無いね」


僕の背後からいきなり光の声が聞こえ、軽く頭を叩かれた。


「は?僕そんなまずいこと言った?」

「沙羅が勉強してた理由なんて一つしか…」


「光ちゃんはデリカシーがあるよね?」


理由が聞けそうだったのに光の声は潮によってかき消された。

潮の口元は笑っているのに声がいつもより低すぎるのが気になる。


「う、うん、もちろん。そういえば、夏休みどっか遊びに行こうよ」


露骨に話を変えた光だったが、僕もこれ以上聞くのはやばいような気がしたので僕も光の話に乗ることにした。


「うん、早めに言ってくれればいつでもいいよ」


「私も早めに言って貰えればいつでもいいよ」


僕と潮は部活をしていないので、アルバイトのシフトだけ調整すればいつでも遊ぶことができる。


「オッケー、じゃあどこ行く?」


「海とかプールは?」


「私はいいけど朔は嫌なんじゃない?」


光はニヤニヤしながらプールでいいの?と僕に目で訴えかけている。


この顔は全力で僕をからかう時の顔だ。


たしかに潮はスタイルもいいし胸も大きい。水着姿は見たいがそれ以上に他の人に見られたくない。


「そうなの?あんまり泳ぐの得意じゃないとか?」


僕が無言で考えていると、全然ピンと来ていない潮が的外れなことを言ってきた。だがこれにのれば自然とプールじゃなくなるかもしれない。


「うん、実はそうなんだよね。あんまり泳げなくて」


「あんた小学生の時に1500メートル遠泳とかしてたじゃん」


口元を押さえながら光が余計なことを言った。これだから小学生からの腐れ縁は嫌なんだ。


頼むからもう何も言わないでくれ。


「高校生になって全く泳げなくなったんだよ」


「そんなことあるんだね」


今でも軽く一キロ以上は泳げるが、純粋な潮が騙されてくれたので助かった。


「だから、遊園地とかにしようよ」


「まあ、遊園地でもいいけどね。沙羅は絶叫系とか大丈夫?」


「うん、大好きだよ。小学生の時ぶりだからすごく楽しみ」


最近、潮とはちゃんと話せていなかったので潮の楽しそうな顔を見れて良かった。


「じゃあ日にち決まったら連絡するね~。岳にも伝えてくるね」


光は岳の方に向かって行き再び潮と二人きりになった。


「夏休み、楽しみだね」


「うん、学校以外でもみんなと会えるの嬉しい」


言葉通りに嬉しそうな笑顔で話す潮は、見た目以上にかわいく見えた。




夏休みに入り僕と潮は平日の昼もアルバイトをしている。


当然ながら昼食と夕食の間の時間は暇なのでいつものおしゃべりタイムに突入する。


「朔夜ちゃん、久しぶりにバイト一緒になれたし、今日バイト終わったら一緒に遊びに行かない?」


潮からすればアルバイトの女友達をただ誘っただけだが、僕からすると潮からのデートのお誘いだった。



お読み頂きありがとうございます。

次回の話はデート回になります!


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