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友バレ

潮を駅に送った後も顔の熱が引かず公園で時間を潰していると、僕のスマートフォンが震えだした。


スマートフォンを見ると、光から猫が時計を見て怒っているスタンプだけが送られてきていた。



家に戻ると家の前で光が仁王立ちしていた。


「遅い。沙羅を送るだけで時間かかりすぎでしょ」


「ごめん、公園にいた」


「小学生みたいな言い訳しないで」


公園にいたのは本当だが確かに子供みたいな言い訳だった。


「まあ、それも込みで聞くから、家に入れて」


それから僕は、女装して姉さんの店で潮と一緒にアルバイトをしていること、そこで潮のことを潮ちゃんと呼んでいること。

僕が女装をしていることを潮は気づいていないことを話した。


潮が僕のことを好きだと知ってしまったことや、潮を送った時に話したことは黙っていることにした。


「何かあるとは思っていたけど予想以上に面白いことになってるね。朔乃さんの店ってメイド喫茶みたいなところでしょ。雑誌に載っていたのを見たことある」


「まあ、そうだね」


姉さんはメイド喫茶ではないと否定しているがメイド喫茶と言っても間違いないだろう。


「だから、女装してるって訳ね。あんたならそのままでも男だとバレないと思うけど」


「うっさいな」


「でもこれでなんとなくわかったわ」


「アルバイトの時に沙羅からあんたのことが好きだって聞いたんでしょ」  


なんとなくどころではない。なぜそんなことまでわかるのだろう。

もしかして潮が朔夜に言ったように光にも相談していたのかもしれない。


「何でわかったの?」


「あんた最近沙羅のこと意識してるでしょ。分かりやすすぎて何かあるとは思ってた」


原因は潮じゃなくて僕だったらしい。

光は頭が良いだけじゃなく、人のことを良く見ている。


「しかも、その店でメイド服を着た美少女モードの沙羅を見て惚れたと」


「だれもそんなこと言ってないでしょ」


「でも可愛いと思ったんでしょ?」


「……まぁ」


最初は怖いと思ったが美人だと思ったのも間違いではない。


「沙羅のことが好きならさっさと告白すればいいじゃん。絶対オッケー貰えるんだし」


絶対と言うことはやはり潮が僕のことを好きだと知っているということだろう。


「別に好きなんて言ってない。友達としては好きだし、可愛いとも思っているけど…」


「あんたそれで好きじゃないって無理あるでしょ」


僕が薄々気付いていることをわざわざ言わないでほしい。


「確かに元から潮のことは良い奴だと思っていたけど、僕のことを好きだと言われてから意識するようになった。潮の好意を知っていて自分から告白をして、オッケーをもらうなんてできないよ」


「じゃあ沙羅から告白されたらどうすんの?」


「……付き合う」


「なんでそれは付き合うの?」


光は心底呆れたようにこちらを見ている。


「潮とアルバイトで会わなかったとしても、潮から告白されたら一気に意識して、何日か経ってからオッケーをしてたと思う」

「でも潮が僕のことを、好きだと知らなかったら僕から潮に告白することは多分無かったと思う。だから潮から告白されたら付き合うけど僕から告白することはない」


「意気地無し。理屈臭い。男らしくない」


「ぐっ」


僕が100%悪いがこれ以上は心がもたない。何か話題をそらすしかない。


「そういえば、潮の髪をとかす前に耳打ちしてたけど何て言ってたの?


「ああ、あれね。『朔がピンで留めたほうが良いって言ったのは、岳と私にピアスの穴を見せないようにしたんじゃない?優しいね』って言ったの。でも、今の話聞いてると優しさじゃなくて只の独占欲じゃん、褒めて損した」


どんな話題をしても僕のメンタルがえ

ぐられる仕組みになっている。

しかも、事実なのが更にたちが悪い。


「そんな独占欲の塊の朔は沙羅を送った時に何を話してたの?告白はされていないみたいだけど」


「何にもないよ」


「えー、落ち着くために公園に行ってたのに?」


「何でそんなことまでわかるの」


「さっき公園に行ったって話してたじゃん。だからなんとなくそうかなつて」


前からわかっていたが光には口では絶対勝てないような気がする。


「もう潮に聞いてくれ」


「はいはい。まああんたも油断しないようにね」


「油断って何?」


「沙羅がいつまでもあんたのことを好きだとは限らないってこと。もしかしたらぽっと出のイケメンとかに取られちゃうかもよ。男どもがやってる可愛い女の子ランキングで11位に入っていたし」


そんなことは僕もわかっている。

いや、それよりも男しか知らないはずの可愛い女の子ランキングがなぜばれているんだ。しかも、1位から10位までは大きく載っていたが11以下は小さく書いてあっただけだったのに。


「なんでそのランキングのこと知ってるの」


「私目も良いの。男どもがこっそりランキングの紙を見ていたから全部見えた」


そういえば光の視力は2.0あると小学生の時に聞いた気がする。


「150人くらい投票してるけど、11位なんて1票とかかも知れないじゃん」


僕は潮に入れたしもしたしたらその1票かもしれない。


「1票ならあんただもんね」


もう余計なことは喋らないでおこう。僕の話す言葉が全て蛇足になっている。


「それに2年の男子ほぼ全員が投票しているのに10位が1票ってことはないでしょ。あの姿の沙羅のことを可愛いって見抜いてるなんて、相当沙羅のことをよく見てるやつよ」


「たしかに」


「まああんなランキングあてにならないけどね。私としてはあんたに勝ってたからランキング事態には文句はないけど」


「男に勝っても嬉しくないでしょ…」


「それ他の女の子に言っちゃダメよ。私以外全員あんたに負けてるんだから」


そんなことを言える訳がないがそもそも自分が2位だったことなど言いたくもない。


「わかってるよ。だいたい聞きたいことは聞けただろうしそろそろ帰ったら?」


「もう少しからかいたかったけど後は沙羅に聞いたほうが面白いかもね!」


これ以上は僕の精神が持たなかったので命拾いをしたかもしれない。


「じゃあ送るよ」


「いいって、沙羅に申し訳ないし」


「こんな遅くに一人で帰す方が岳に悪いから送る」


「はぁ、この素直さが沙羅にも出れば良いのに」  


それから光の家に着くまで延々とからかわれ続けた。


お読み頂きありがとうございます!

これで勉強会編は終了です。


この話が面白かった、続きが気になると思ってくださったら感想やブックマークをしてくれるとめちゃめちゃ喜びます!

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