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時田楽人 という男

思いついたので

「めんどくせー」


俺の名前は時田楽人トキタ ラクトめんどくせーが口癖の一般男性だ。両親は楽しい人生を。という意味で楽人と付けたそうだが、今は楽しくない人生を送っている。


そりゃ小さい頃は楽しかった。自分でいうのもなんだが、運動神経、頭脳、感覚、運。すべての要素を持っていた男だった。親も楽しかっただろう。俺は教えればすぐに出来るようになり、教えた事以上の事を学ぶ。


つまり、やればなんでも()()()()()()男だった。俺に出来ないことなど無いとまで言えた。そうすると、何故だろうか、いつからか何も楽しくない人生になってしまった。


それからは早かった。とりあえず金と思い、株に手を出せば一生遊んで暮らせる金を手に入れた。金で出来る事、世界旅行やクルージング、高級車やどの買い物等はすべてやったが、あまり楽しいとは思えなかった。


薬にも手を出したが、すべてを持っている俺からすると、何が楽しいのかわからなかった。体も強かったのでたぶん薬も大して効かなかったのだろう。


何もかもに飽きた俺は自堕落な生活を送っていた。特に何もせず腹が減ったら出前を頼む生活だ。ネットすら見ずにただただ、ボーっとしている。そして寝る。そんな生活を繰り返していた。


死ぬのすらめんどくさかった。


「はあ。めんどくせー」

口癖のめんどくせーを言うと、面倒くさい事が無くなる気がした。自分でもこんな生活をして何が面倒くさいのか分からない。


きっと面倒くさいというのは人間に備えられている機能なのだろう。昔は何も面倒くさい等と思わなかったが。人は楽なほうに進む。俺はたぶん世界一楽な人生を歩んでいる事だろう。ただ、楽しくはないが。


そんな事を珍しく考えていたら急に床が光りだした。


これはいわゆる魔法陣という物だろう。光ってクルクルと回っている。これは、あれだろうか。よく聞く異世界召喚というヤツだろうか。


異世界召喚されて勇者とかいうロールをやらされ、悪の魔王を倒し、世界を平和にとかいう筋書きなのではないか。


もしくは、悪の集団が生贄を集め、世界を混沌に落とそうと企んでいて、異世界から召喚するといった類だろうか。


もしかしたら、「魔法」なるモノがあるかもしれない。そう考えた俺、時田楽人は昔からの癖で少し胸を躍らせるが、これは経験からの考えで、たぶん「魔法」という、この世界には全くない技術でも、俺はきっとすべてを習得してしまうのだろう。


そして、勇者などになって、すぐに戦い方を覚え、敵の特徴、弱点、戦い方を感覚で掴み、順調に魔王討伐へと駆り出されるのであろう。


そんな事を魔法陣が光り続けている中ですぐに思った。そして多分そろそろ召喚されるであろう感覚があり、いつものあの言葉を言うのであった。






「めんどくせー」




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