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NoisyDays 第1話

作者: 禍津

数年前に書いたやつのお試し投稿です



「行ってきまーす」


「行ってらっしゃい」


一般的な家、というには少し大きすぎる家を母に見送られながらいつも通りに出発する。

しかし、いつもとは違う所もある。それは…。


「僕も今日から高校生か…」


そう、僕こと朝霧蒼太あさぎりそうたは今日から高校生なのだ。

僕が通うことになっている高校は、桜花高校という名前で、家からは自転車で三十分くらいの場所にある。


「時間は………よし、これならゆっくりでも間に合う」


現在の時刻は八時四十五分。入学式は九時半に開始だから時間的には余裕がある。

自転車に乗って、朝の爽やかな風を全身で感じる。


「うーん、風が気持ちいい」


たまにはこういうのもいいかもしれない、と思いながら、歩くようなスピードで自転車を漕いでいった。

予定通り、入学式の始まる少し前に学校に着いた。

適当に自転車を停めて、入学式が行われる体育館に行く。


「あ、高明だ。おーい、高明〜」


友人の姿を見つけて、声を掛ける。


「む、蒼太か…おはよう」


「うん、おはよう。よかった〜一人だと少し心細かったんだ」


僕の友人の上木高明かみきたかあきはこの街にあるお寺の子で、僕とは幼なじみ。

高明は男の僕から見ても惚れるくらい(惚れはしないが)にカッコいい。それに加えて、成績優秀、運動神経は抜群というパーフェクトな男だ。


「もうそろそろ式が始まる」


「えっ!?」


慌てて時間を確認する。


「…いや、まだ五分以上あるけど」


「それくらいが丁度いい」


真面目な人間である。

何故こんな完璧人間と僕が友達なのか…世の中不思議なものだ。


「おい、何をしている?行くぞ」


「あ、うん」


入学式、と言っても簡単なもので校長の挨拶と新入生代表のスピーチがあっただけだった。

この学校は少し変わっていて、入学式が終わってからクラス分けの発表がある。

掲示板に張り出された紙にクラスが書いてあるので、その中から自分の名前を探す。


「えーっと……」


周りの人はすぐに見つけているらしく、だんだん人が少なくなってきた。


「………………実は合格してなかったとかいうオチじゃないよな」


洒落にならないことを考えながら探す。


「……………わっ」


「きゃっ」


掲示板に集中しすぎていたせいか女の子とぶつかってしまった。

よそ見をしていたこちらの不注意なので、尻餅をついている女の子に慌てて手を差し伸べる。


「ご、ごめん。大丈夫?」


女の子は整った顔立ちをしていた。肌は透き通るような白で、ハーフなのか瞳の色が青く、肩くらいまで伸びた金髪がとても似合っている。要するに、とても可愛い。


「こっちこそ、ごめんなさい」


「あ、いや……」


彼女は僕が手を差し出しているのに気付き、手を取り立ち上がる。


「ありがとう」


そして、ぺこりと頭を下げ、校舎へ入ってしまった。

可愛い子だったなぁ、なんて思いつつ彼女に握られた手を見る。


「………っと僕も探そう」


彼女に見惚れてしまって動かなくなった頭を活動させる。

で、結局、僕のクラスは一組だった。


「…少し急ごう」


早足で教室に向かう。

教室に入ると番号順(掲示板に張り出されていた)に座る。

席に着くと周囲の人を確認する間も無く、担任が入ってきた。


「このクラスを担当することになった金田八郎かねだはちろうだ。金八先生と呼んでくれても構わないぞ。はっはっはっ」


『………………』


すべり気味なのは置いといて、面白そうな?先生だ。


「今日は特に連絡なし、解散していいぞ。明日は自己紹介を予定しているから一応なんか考えとけよ」


担任が教室から出ていくと急に騒がしくなる。

中学からの友達と雑談する者、帰ろうとしている者といろいろな人がいる。

一応クラスをぐるりと見回す。そこに先ほどぶつかった女の子がいることに気付いた。

彼女も帰ろうとしているらしい。声を掛けようか迷ったが、


「………僕も帰ろう」


ヘタレな僕は結局、帰ることにした。


「蒼太」


「あ、高明」


教室から出たところで高明と出くわした。喋りながら下駄箱に向かう。


「高明とは違うクラスになっちゃったね。ていうか高明って何組?」


「俺は三組だ」


「三組かぁ」


「…しかし困ったものだ、いきなり級長に選ばれてしまった」


高明なら当然だろう。なぜなら彼は………パーフェクトマンだからっ!


「当然断ったが」


「え、断ったの?」


「目立つのは嫌なのでな」


高明なら何もしなくても目立つと思うけどなぁ、と思ったけど口には出さないでおいた。


「………蒼太、ちょっと御守りを見せてくれないか?」


「え?別にいいけど」


御守りとは高明と僕が友達になってすぐの頃、高明が僕にくれたものだ。

小学一年の時に貰ったから、かれこれ十年近く持っていることになる。


「…………何か変わったことはなかったか?」


「いや、ないけど…どうかしたの?」


高明は御守りの中身を取り出して見せてくれる。


「………あ、割れてる」


御守りの中身の木片のようなものが真っ二つに割れていた。


「ふむ、困ったな」


「これって僕の身代わりになってくれるんだっけ」


たしか高明から御守りを貰った時にそう言われた気がする。


「…もしかして、僕って知らないうちに命の危機に晒されてた?」


「いや、この割れかたは違う」


木片の割れかたで分かるらしい。


「…しょうがない、また作り直してくる」


「別にいいよ。高明も面倒でしょ?」


「遠慮するな」


「そう言うならお願いするけど…」


なんだかんだ言って高明んちは由緒正しいお寺だから、こういう御守りでも効く気がするから不思議なものだ。


「それじゃ、僕は自転車だから」


「ああ、また明日」


高明と別れて自転車を取りに行く。…それにしても、御守りが割れてるってよくわかったな高明のヤツ。


「…やっぱりお寺の子だからかな?」


お寺の子は凄いなぁ、と思いながら家に帰る。


「ただいま」


家に入ると、いつもは迎えてくれる母の姿がないことに気が付く。


「………買い物かな」


制服から私服に着替えて、キッチンに食料を調達に行く。高校一年、育ち盛りなのだ。

適当にお菓子を調達して寛ぐべく居間に移動する。


「ん?これ何だろ?」


テーブルの上には封筒らしきものが置いてあった。何だろう?と思って封筒を手に取る。蒼太へ、と書いてあるので中身を確認する。


『ちょっと軽く世界一周旅行に行ってきます。お金はこの封筒の中の通帳から使って下さい。お土産期待しててね。父&母より』


「……………置き手紙?軽く世界一周?」


今はそんなところにつっこんでいる場合じゃない。手紙の意味をよく考え、よく理解する。

そしてフリーズ。


「………………」


読み間違えがないか再度確認。

…よし、読み間違えなし。


「なんでさーーーーーっ!!!」


蒼太の絶叫は広すぎる屋敷のおかげで、近所迷惑にはならなかった。






しかし蒼太はまだ気付かない。手紙には二枚目があることを。


『PS.仕事は旅行中でも出来るから、多分三年くらい帰ってこないと思います。高校三年間、頑張って下さい!』

プロット全部忘れたので次あるか分からん

一応二話まで作成済み

反響あれば練り直します

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