2/7
02 わたげ
宇宙船がその星、グリーンアートスフィアに降り立ってから数か月。
好奇心の強い原住民の子供達たちが、壊れた外壁から内部へ入った。
「わぁっ、見た事が無いフワフワしたのがたくさんある!」
宇宙船の内部に生えていたのは、無数のタンポポだった。
綿毛となっていたタンポポは、ふわふわとしたわたを揺らしながら、子供達の来訪を歓迎した。
タンポポはあまりにもたくさん生えていたため、宇宙船の内部の鋼鉄の壁や床が見えないほどだった。
宇宙船は近くの町や村で、空から降ってきた不思議な物として噂されていた。
そのため、子供達が興味を持って度胸試しと称してここまでやって来たのだった。
「お母さんとお父さんに見せてあげたいな」
「うちのチビたちが喜びそうだな!」
「おみやげに持って帰ろうよ!」
たくさんある綿毛のタンポポたちは、子供達にいくつか摘まれて、宇宙船の外へと持ち出される事になった。
それがタンポポが聖なる薬草と言われることになるきっかけだった。