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鉱夫ー兄弟ー

作者: 餓狼尊作

短編小説です。雰囲気を大切にしてみました。イメージは芥川大先生です。

考察や意見をくれたら心から嬉しく思います。

暇さえあれば垣間見てください。



ーーーッ、ーーーーンッ、ーーーカーンッ。


薄紅色の黄昏空に金属の不気味に響く音がする。空には数多の鴉が鳴きながら、旋回していた。木々は風で密かに声をあげて話している。辺りには人がいなく森林に囲まれた山がおどろおどろしく佇んでいた。山の頂上は幽かに雪が降りかかっていた。そんな山の中腹ぐらいであろうか。大人が二人入れる穴があった。それは、小さくて小さくて、まるで、六等星の様に主張が易しかった。


中を覗くと、奥の方で若干光っている小さな灯火とそれに照らされている男がいた。一人は図体が大きく、顔に幾つもの皺を刻んでいてまさしく鉱夫というのが適している様な男。もう一人は図体は同じだが、顔は骸骨の様窪んでおり、いつ死んでも可笑しくない歩く屍の様な男だった。二人は小さい灯火を頼りにつるはしを上げては下げ、上げては下げを繰り返していた。そうする度に耳を刺激する音を響かせる。そこら中にいるミミズやヤモリなどがウネウネと這っていた。洞窟の道の途中には岩の山が積まれ、そこには多種の生き物が群がっており、一つの不気味な生命体が産まれていた。


すると、屍の男が手を止め皺の男に話しかけた。


「兄者。少し賭け事でもせんか?」


見た目以上の低い声が掘り穴に響く。その声は挑発的であったが、弾んでいた。


「おぬし、何巫山戯たこと抜かしとるんじゃ。そんな阿呆なこと土竜にでも食わしとけ。」そう言い、刻まれた皺を寄せていた。つるはしで砕ける岩の量が若干増えていた。またしても、虚静が訪れる。岩の砕ける音以外で。


彼は毎日、そして、ほぼ一日中掘っていた。ただ目指すのは山に一本の小さな穴を通すだけであった。そのためなら、邪魔するものは全て地に返す。自分の命さえも投げ出す。理由など掘ることに必要はない。必要なのはつるはしと己の身体だけである。


「兄者。この山掘ったらどうするんじゃ?」と声を少し高めにしながら投げかける。しかし、兄は「知らん」の一言で終わらせる。そして、つるはしを大きく振りかぶる。足元には蟻の列が成していた。列の途中には一匹、彼が踏んだせいで死んでいた奴がいた。だが、蟻は気にもしないで歩いている。彼はそれを見て若干強くつるはしを振り下ろした。砕けた岩は少し湿っており音が少し聞きづらかった。


彼はその後も只々無心に掘っていた。弟の声などに耳を傾けたりしない。この黄昏空に広がる金属音に自分を繋ぎとめている。


カンッーーー、カンーーー、カーーー、ーーーーッ。

。。。。。

。。。。

。。

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