n008;魔術師ギルド
魔術師は置いておいて、冒険者にはなったらしい。
。。。。。。。。。。。。。。。
――だが! 魔術師を諦めたわけでは、ない!
(魔術師なんだか、魔法使いなんだが、分からないが、惹かれる)
という思いを胸に秘めたとき、ウグイスがヌンチャク片手に言った。
「餞別として、コレ、あげますね」
ヌンチャクを手に入れたリー。
「もらえるものなら、もらおう。にしても、そろそろリュックが欲しいね、入れ物が」
「あれ、ノロ様は『次元庫』を使えないのでしょうか?」
「じげん? それはコンバットマグナム片手にぶっ放す、カ~ッコイイおじ様と関係があるかい?」
「何か勘違いされております。コホン。次元庫とは、異空間にアイテムをしまっておける便利スキルです。こんな風に」
と、何もないところから、盾を取り出す。
「手品?」
「次元庫です」
「私にも使える?」
「一朝一夕には習得できませんが、練習すれば出来るかもしれませ――」
「穴が空いた」
私が、いい感じに念じると、ポッカリ、ブラックホールが現れた。
「ひょ!?」
ブラックホールは、周囲のものを吸い込みはじめた。
ヌンチャクが吸い込まれた。
ギルドカードが吸い込まれた。
報奨金が袋ごと吸い込まれた。
私が吸い込まれ、なかった。私が栓になって、吸引が止まった。
「ふううううう……。えらいものを出してくれますね、ノロ様」
「これが次元庫の奥深さなのか? 吸引力の強い、ただ真っ黒な穴だ。――あ、消えた」
ブラックホールは消滅した。
「ちゃんと収納されたかな? もう一回――」
「ストーップ!!!!」
「おぉっ!?」
「また、使う気ですね? やめてください、やめてください、もう勘弁してください」
そこで、ギルドマスター、ギルメンさんが口出し。
「アンタは魔術ギルドに行って、力の制御を覚えたほうがいい。紹介状書いたから、持っていけ。それと、ほらっ、ここが魔術師ギルドだ」
と、地図も頂いた。
「でも、今日は眠いから、またあとで」
私は、帰って、寝た。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
朝。
おなじみベレッタの家。いまだに居候中。
ピンポ~ン! ピンポーン! ピンポ~~ン!
インターホンが鳴っている。その音で目が覚める。
「非科学インターホンの仕組みを、見てみたい」
と、私は音のなる方へ行ったら、玄関だった。
ガバッと玄関ドアを開けると、そこには黒いローブの人たち。
その人たちの肩には、虹色のオウムがいて、「ピンポーン! ハ~イ!」と鳴いていた。便利そうだ。
「白髪、10歳前後の女の子……、キミがノロさんですね?」と、黒ローブさんが言う。
「そう。で、そちらさんは、どなたさんで?」
「我々は、魔術師ギルドのものです。多大なる才能をノロさんがお持ちと、ご紹介されまして、こうしてお出ました、というわけです」
「多大なる才能は、誰にでもあるんじゃないか?」
「ご冗談を」
「おーお、寂しく冷たい世界」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。【古城、魔術師ギルド ハウス】
そして、ここは、魔術師ギルドという、古ぼけた城の中。
「わざわざ出迎えてくれて、悪いね」
「いえいえ。あ、僕はミラッガーと申します。お見知りおきを」
「私はノロ」
「知ってます」
「そっか。偽名でも名乗ろうかな」
「ではサッソクですが、こちらの魔水晶に触れてくださいますか?」
「ギルドでもやったね、それ。あ、冒険者ギルドのほうね。触ったらビカビカ?」
「ええ、景気良く光りますよ。――元々魔術師ギルドの仕事も、冒険者ギルドがやっていましたから。近年になって、ギルドが分割されて、ココ(魔術師ギルド)も出来たといいますか、ハイ」
「なるほど、なるほど、タッチ」
魔水晶に触った。
「――オオッ!」、ミラッガー、感嘆!
案の定、魔水晶は、発火したかのごとく、ギラギラビカビカ白熱フラッシュ。その間、真っ白けっけで、なんにも見えない。まさに太陽の直視。――手を離し、光がおさまる。
「……ありがとうございます。まさか……これほどとは」
今度からサングラスを常備したほうがいいな。雪目になる。
「ご説明を、願おうかい?」
「ええ……。なんと申したらよいか。まず、ですね。少なくともこれで、貴方の魔力値が1万は超えていることが確実です」
「魔力値? それは……磁石の力と何か関係が?」
「いや、関係ないと思いますが」
「磁力と電気は密接な関係なのに、魔力は別なのか。そうかそっか。――続けて」
つい、前世の知識で、物事を見てしまうクセが、はなはだ。
「一応、魔力値の目安をご説明しますとですね。常人が10~20程度でしょうか。魔術師になれば、それが100は行くでしょう」
「ふむふむ、ふむ?」
「で、僕は魔術師ギルドのギルドマスターをやらせてもらってます。それは、魔術師の中でも、割合、高い魔力なのですが、それでも1000を少し超えるくらいですね」
「あ、そちらさん、ギルドマスターというと、ギルトの親分で?」
「えっと……まあ、はい。親分というか、代表ですね」
「見た目、若いのに。魔法で若作りしているとか?」
ミラッガーの見た目は、20代前半くらい。
「むしろ、ノロさんの方が、言動の割に、見た目が幼すぎて、怪しく思うくらいなのですが」
「なに。何歳に見える?」
「ノロさんですか。んーと……、10、いや11歳でしょうか?」
「38歳だ」
「本当に……? んん……ええ、まあ、信じますよ」
「本当は信じてないでしょ!」
「いや、38というなら、38で、信じますとも。と、いうのも、あの尋常ではない魔力ならば、不老の効果くらい、ありそうですから」
「そ、そっか、そか。いや、やっと……やっと、38歳説を信じてくれる人がいたよ~もう」
「38歳説?」
「ん? 38歳だよ」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「それではノロさん、さっそく訓練です。こちらへ」
と、ツカツカ移動するミラッガー。
「ちょっと、ギルド登録とか、なんとかは?」
「もう済ませてあります」
「いつ!? 私、な~んもやってないよ!?」
「冒険者ギルドの方から、書類の手配は色々と」
「本人の了解は?」
「…………」
「うぉん!」
「了解してくださいお願いします。デメリットありませんから。メリットしかないようにしますから。人類の宝ですから」
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
■要約
・なぜかヌンチャクをもらった。
・「次元庫」を覚えた。すなわち、ドザえもんの○次元ポケットだ。非常に、とんでもなく便利な代物。まさに現実化して欲しいチートの1つ。
・魔術師ギルドへ行く。