n006;冒険者ギルド
そして、ベレッタと私は、冒険者ギルドに向かった。
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ここが冒険者ギルド。わりと立派な建物の、中に入る。
見渡す。――内部の様子は下記の通り――
冒険者っぽい装備を付けた者、筋肉質な戦士風の人々、カウンターには受付嬢、掲示板には羊皮紙らしきシートがペタペタ、おまけに酒場が隣接、恰幅のいいママさんが、ガラの悪い男衆も相手に、料理を回している。
横から、やさぐれた風貌の男が、私の頭をつかんでくる。
「お嬢ちゃん、ここがどういう場所か、分かって入ってきたのか?」
すると、向こうの酒場のママさんが、叱りつける。
「やめな! ヤマトネ! バカ!」
私は、頭上の腕を、キュッと握り絞めていた。
「痛い痛い痛え! おおう、ベレッタ……!」
と、やさぐれた風貌の男、ヤマトネは、痛がる途中で、ベレッタに気づく。
「ああ、アンタの連れだったのかい。邪魔したぜ……」
ヤマトネは去る。
「知り合いかい?」とベレッタに尋ねる。
「ああ……、ヤマトネは、だいぶ前から、冒険者を増やしすぎだ、取り分が少なくなる、生活できない、と訴えていてな……。だが、冒険者の需要は、まだまだ多いからな。」
「ん? その話は、いったいどういう関係が?」
「ああ、つまりな、ヤマトネは新人冒険者が増えるのを、快く思ってねえ、というワケだ。」
。。。。。。。。。。。。。。
カウンターにつく。
すると、途端に、受付嬢さんが、元気いっぱいになる。
「ノロ様。聞きましたよ~。化物を相手に一人で叩き伏せたって。そのお歳で、お見事です。そこでです! 冒険者になって稼いでみませんか? ベレッタ聞けば、まだ仕事探しをしているそうですし、ノロ様なら冒険者の素質は十二分にありますし、……どうです?」
よく口が回るものだ。滑舌が違う。しゃべるのが仕事なのだろう。何をしゃべっているか、よく聞き取れる。
「ああ~、金がもらえると聞いて、ホイホイやってきたんだけど、なぁ?」
「ワルザー・ファミリー一味を成敗した件の、報奨金ですね。ちょっとお待ち下さい」
ワルザー何とかは、よくわからない言葉だった。よくわからないセリフは、右耳から左耳に抜けてゆく。
私は、不毛な前世に生きてゆく中で、不毛な言葉を、脳から素通りさせて、無知になるスキルを手に入れていた。これでいつでも、知らぬが仏。
「お待ちしましたぁ~」
先ほどの受付嬢さんが来た。手には麻袋っぽい、渋い入れ物を持っている。ジャラジャラという金属音がする。
「ちなみに、わたしはウグイス・ジョーって言います。ウグイスって呼んでくださいね」
唐突な自己紹介。人の名前と顔を、覚えるのが苦手な私は、忘れるまでは覚えていよう。
ウグイス・ジョー、ウグイス嬢か、なるほど、分かりやすい。
「で、これが今回の報奨金です。内容をお確かめください」
「ヨシ、確かめた」
袋の中をチラッと見た。金色と銀色と銅色があった。硬貨だ貨幣だ。お金は嫌いではない。
「……しっかり、お確かめになりましたか?」
「なりました、なりました」
「まあ……いいでしょう。それと、ノロ様?」
「はい?」
「ノロ様は、おそらく魔術師ですよね? 魔法使い。だから、帯刀していないんですよね?」
「いいやー……。魔術かぁ。使ってみたいもんだねぇ」
ウグイスさんは首を傾げる。
「おやっ? 魔法使いではない? と致しますと、武器はお持ちでないわけですか。不用心ですね~。常に持っていたほうが良いと思いますよ~」
「武器はやっぱり要るか。じゃあ、これから買おうかな」
「へっ……? 武器がないのです? 武器がないのに、どうやって格闘ゾンビたちを相手にしたのでしょうか……。アレ、触れれば、溶けますよね……?」
「それは知らなかった、やっぱりか。私は、石で戦った。あの柔らかな身体には、それで十分」
「石?」……キョトン。「ああ、土属性魔法ということ――」
「石は石。あの洞窟には、石なんて、ごちゃまんと落ちている。それが勝因さ」
「は、はぁ………………」
理解されていない。相手は理解するのを諦めた。
だから私は、投球アクションを見せた。「だから投石ね。こう! こう! こうやった!」
「は、はぁ……」
これでも伝わらないとなると、どこかに価値観・認識のズレがあるのだろうと推測して、私も諦めた。
人間は、同じ言葉を、違う意味でとらえることが、よくある。言葉では分かり合えないのだ。
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ウグイスさんは、表情を一転し、ウキウキ顔に戻る。
ちなみに、バレッタ……じゃないベレッタは、途中から後ろの席で、座っている。
私が手を振ると、手を振り返してくれる。もう帰ってもイイよ、という意味のバイバイだったのだが。
「さて! 女傑ノロ様! いよいよ冒険者登録の時間がやってきました。こちらの検査室にお入りください」
「冒険者登録? するの?」
「ぜひ! ぜひ!」
ウグイスさんは、宝石を見るような目で、迫っている。
私が冒険者になると、ウグイスさんに特別報酬でも入るのだろうか?
「冒険者に登録すると、どういうメリットとデメリットがあるか、教えて欲しい」
一応、説明をしてもらった。ここでは省く、割愛だ。
説明内容を聞く限り、登録しても問題はなさそうだ。
「OK。なろう」
「ではでは、こちらへ入ってください。ノロ様のレベルはいくつかな~」
「入ります」
そこは狭い部屋だった。ブアンブアンという不思議な音響がしている。緑色の輪っか状の光が、右往左往している。魔法的な何か?
「終わりましたよー」と、外からの声。続いて、「ヴェッ!?」という驚きの声。
「壊れたの?」と聞くと、ウグイスさんは、モニターらしきものを見ている。
そのモニターに映っていたものは、以下の通り。
■ステータス
名前:ノロ(〓王の娘)
Lv.∞e∞^∞! HP:-1 MP:-1
STR: &'t%#&onn"de&'%'mo"`*n}a/i"
PER: 124566m3if83oef234rt
END: %wa-oooooowooooowoooooooo
CHR: @><@[@%4$%&#$'':;gd
INT: kgd934534_?[[JIUROE
AGI: ds9343(=_=)NFSDho33sd?(')&'
LCK: %$#(^_^)'45-09KFJ(##$W{}~|~
SKiLL: aLlllllLLLlllLLLLlll
mAgIc: iRoIro'#sUbETE
「う~ん、難しくて分からない。解説をお願い」とウグイスに尋ねる。
「わたしも意味不明瞭ですよ! これは本来、ステータス……つまり、その人の能力の度合いを見るものなんです」
「ふむ。んじゃあ、コレは?→ ”Lv.∞e∞^∞!”」
無限大、∞、無限大、∞、……? 8がズッコケているね。
「Lv.はレベルを表しています。大雑把な、強さの指標ですね。んで、普通なら Lv.7 とか、 Lv.26 とか、数字で表されるのです。ですが、これは……何ともわかりません。STRとかPERとかも……何ですかこれ……」
「名前の横にある、『王の娘』って?」
「ノロ様は、王女様だったのですか?」
「違いますが」
「う~ん………………。試しにわたしが入ってみますね」
謎の部屋にウグイスが入室そして退室。モニターをいじって検査結果を表示。
■ステータス(通常表記)
名前:ウグイス・ジョー(ギルド職員)
Lv.13 HP:90 MP:150
体力:10
耐久:10
魔力:13
速さ:15
魔法: <非表示>
スキル: <非表示>
まるっきり表示が違うようだ?
「うーん、問題ありませんね……」と、ウグイス。
そして私は、今更ながら、「これは前世のゲームに似ているな、ロール・プレイング・ゲーム(RPG)とか、なんとかに」などと、思い出していた。
「私を調べるときにだけ壊れる、粗悪品だ」
「いや、ですから、壊れていないようですし……」
「それはともかく、その検査結果は重要なのかい? それがなきゃ、魔術師だっけ? 冒険者だっけ? には、なれないのかい?」
「えっと、ノロ様は魔術師になりたいのです?」
「興味が多大にある」
「となれば、魔力量を調べてみましょうか。この魔水晶に触れてくださいませ」
と、真っ黒水晶を、ウグイスをさし示す。魔、水晶?
「あ、はい」
ぽてっ、と触れる。そのとき。
――カッ――――!
閃光だ。目がくらむ。視界が真っ白。何も見えん。
たじろいだ私は、手を引っ込める。
光はなくなる。
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■要約
・冒険者ギルドに行った。報奨金をもらった。
・ノロのステータスは異常、バグっている。
・水晶玉に触れると、フラッシュを焚かれた。
◆下記のことを、ご了承ねがいます。
・行頭の空白は入れない文体です。
(空行を多様するため、行頭空白は無用と判断)
・途中で文章表記に揺らぎが生じます。
今は、カギカッコ”「」”内の終端の句点”。”を省略せずに、”「サンプル。」”←こんなふうに書こうかなと思っています。
というのも、もう句点”。”を入れるのはクセになっており、いちいち消すほうが面倒くさくて。それに、(推敲のため)文の前後を入れ替えたりするたびに、句点を書き足したり、消したりするのも面倒で、……という都合です。