n019;モリナカ町で安宿
「空飛ぶ乗り物として、世話になったからね。殺さずに帰すさ。――んじゃあ、町に案内してちょうだい」
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そして二人に案内され、森のなかに広がる町『モリナカ町』へやってきた。
立て札を読む。
「モリナカ町……か。ガンタウンじゃないのね」
と、こぼすと、ホフリが反応する。
「ガンタウンだって?」
「あア~、私はガンタウン住まいでね。今日は薬草取りに、はるばるここまで出かけてきたんだ~、夜だなもう」
「はっ!? 冗談。そんな1日でこれるような距離じゃないぜ、ノロさん」
「1日じゃなく、1時間でこれる距離だったのかぁ?」
「いやいや、ムリだぜ。ここからガンタウンまで何日もかかる」
……
「そっか。遠いのか。ま、そんなことは、どーでもいいとして、早く町に入りましョ」
町の入口には、お決まりの門番さんがいて、
「身分証を提示」
と言われた。
「これで良いのか?」
空間からギルドカードを出す。(次元庫の利用)
「よし」
OKらしい。
気づいた点について、シャノンが言い及ぶ。
「ノロさんは次元庫を使えるんですねー。うらやましいです」
「え、あ、コレね。珍しいのかー?」
ギルドカードを次元庫にポイしながら答えた。
「時折、使えるヤツは見かけるが、オレたちには使えないからなー。そいつがあれば荷運びに重宝される」と、ホフリ。
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シャノンから聞かれる。
「ノロさん、宿はもう取っていますか?」
「いや、全然。この町に来たのが、はじめてなんだから、宿も店もサッパリさ」
「そうか。オレたちは安宿に泊まってるんだ。あまり立派な宿じゃないが、良ければ案内するぞ?」
「OK。案内してちょうだいな」
宿屋に来ました。
う~ん。安宿と言うだけあって、見るからに質の期待できないオンボロ宿だー。
入ると、宿の人が迎える。
「こんばんは。お泊りで?」
「あァ。ホフリから、あまり立派じゃない安宿と聞いて来たんだけど……、1日いくら?」
ホフリが、気まずそうにした。
宿の人は、簡潔に宿賃を説明したのち、尋ねる。
「1人部屋かい? それとも3人一緒かい?」
それを聞き、私はホフリとシャノンに聞く。
「そういや、二人は相部屋で泊まってるのかい?」
「いえいえ!」と、焦ったようにシャノンが否定。
「オレは別に一緒の部屋でもいいって言ったんだがな、シャノンが嫌だってさ」
「男女が一緒の部屋に、というのは、ちょっと……」とシャノン。
宿の人は、心なしか、頭の上にハテナマークを浮かべている。
「と、すると、男だってのは、気の利いたジョークってわけでもなく、本当に?」
「本当ですってば!」
「じゃあ、私と相部屋ならどうだ?」と提案。
「だから、ダメですってば!」
「ダメか。かわいこちゃんとの相部屋は遠のいた。仕方ない3人3部屋……」
「どうした?」と心配そうにホフリ。
「シャノンがダメなら、ホフリ、一緒に二人部屋とらないか? そうすりゃ宿賃も安くすむ」
「お~いノロさん……。出会ってそうそうの人を、互いに信頼していいのか?」
「ん、ダメかい?」
「いや……、オレは……別に、……いいよ」
「恥ずかしがらないで」
「いや別に! 恥ずかしがって、な、ない」
「というわけで、二人部屋1つ、一人部屋1つで」、契約した。
「あいよ」
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部屋が別なので、シャノンとは別れた。
部屋に入る。
「おーお、やっぱり、お粗末な」
木造らしいが、壁やら床やら、ところどころ、腐りかけている。
当然、断熱材もないだろうし、馬小屋か豚小屋といったところだ。
ベッドすらない。
代わりに、藁束みたいな草の塊に、シート状の布を被せただけのもの。サイズは、二人で寝られるほど。
トイレはない。共用の野外トイレがあるんだったか。発展途上国情緒ですなー。
「まあまあな宿だろ?」とホフリ。
「えっ……?」と、私は苦虫を舐めて吐き出したような顔をした。
「えっ、って。安い割に、ベッドもあるんだから、いいだろっ!」
「ベッド? どこに?」
「それだよ、それ」
と、ホフリは藁束もどきを指差す。
「コレがか!? コレがベッドなのか? 新聞紙を刻んで敷き詰めたほうが、マシじゃないのか!?」
「シンブンシン? なんだ、そりゃ?」
「新聞紙を知らないと? ほら、近々の情報をゴチャマンと書きつづった紙だよ」
「ぬー……分からんなぁ」
「ま、いいさ、その話は。どれどれ。 うわりゃぁ――!?」
パコンッ!
そのベッドもどきにダイブすると、床が抜けた。床板が腐ってやがるぞ!
「あーあ」
私は床下から這い上がる。
「もう、これ、建て替えたほうが、いい……」
「穴、開けちゃって。オレは直せる金、ないぞ」
修理費、弁償代のことを言っているんだな。
「今度からはオンボロ宿に泊まらないようにしよう。壊した弁償代で、むしろ余計に金がかかる」
私は、破壊箇所に手をあてる。
「なーおれー、なーおれー、の、【ヒール】」
床板も、生きていた。砕けた破片を吸収しながら、床板が元通りになる。
「なっ!!??」、ホフリ、驚く。
「ついでだ。オンボロ箇所を、次々強化するぞ」
他の箇所も、壊れる前に、直しておいた。
「おまけ。【浄化】」
浄化という魔法も、最近知った。洗剤いらずで、汚れが取れる魔法だ。
さらにいえば、人間に対しても使えるから、お風呂いらずでもある。
「おまけ、おまけで、さぁ、ホフリも」
ホフリにも、浄化魔法を当てた。清潔になる。
「そして自分にも、クリーン」
自分も清潔になる。白髪がサラサラと流れた。
ぽーっと、こちらを眺めているホフリが、小さくもらす。
「キレイ……」
「当然だ。洗いたてだもの。ピッカピカ」
「……」
。。。。。。。。。。。。。
「それにしても、お前の魔法、どうなってるんだ!?」
「なにか、おかしな点でも?」
「おおありだよっ。おかしな点ばかりだよ!」
「そんなこと言ってると、お菓子食いたいと言ってるみたいに聞こえるなぁ」
「ごまかさないで! だいたい浄化魔法だって? あんなの、国に仕えるくらいの、魔術師様くらい高ランクじゃなきゃあ、湯水の如くホイホイ使えないだろっ!? お前のMPはどうなってるんだ!?」
「MP? というと、モンキー・パンチングさん? なんでだ?」
「ワケが分からないよ。MPは、マジックポイント! 魔法を使うたびに消費するモンだ」
「おお、ゲーム~!」
「いや、ゲームってなんだよ……」
「知らないか? テレビゲーム、コンピュータゲーム」
「知らない、知らない、聞いたこともない」
「わびしいなァ。作ろうかな。いずれ」
「そんなことより、まだ言いたいことがあるぞ。ヒールだ。あれでなぜ、修理までできる? あれは本当にヒールか? 見たことないぞそんな使い方」
「勉強になったろ? そんな使い方もできるんだ」
「…………ワケが、わかんないぜ」
「そういうときやぁ、寝るに限る。おやすみ!」
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■要約
・シャノン&ホフリに案内され、モリナカ町に来た。
・安宿に泊まった。シャノンとノロ&ホフリで。




