_没a020;摩天楼の戦い
そして上へ登っていくと、広間に出た。
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「な、なんだお前たち? なぜココまでこれた!? 侵入察知用の結界には、何の反応もなかったのに……」
そこで戸惑っているのは、上物の装備で身を固めた少年。
「やはりそうか。丁寧に取り除いたからな。気づかれまい」
「な……そんなこと……」
スッ、っと、デリンジャーが前に出る。
「またお前か。このボクに敵うと思うのかっ? 勇者であり魔法使いである、このボクにっ」
敵さん、いきり立つ。
ブドリが、こちらに注意をうながす。
「気をつけてください。見た目はまだ幼き子どもですが、腐っても勇者召喚で呼ばれた人間。侮ると大変なことに」
「まさに、ノロ殿のようなことですな」と、デリンジャー。
「いや、私は勇者になる気は、さらさらないが」
敵さん、ブツブツ言う。
「下の階の奴らは、何をしているんだ……」
「他の奴らかい? あの世行きだ。アンタもあの世で、仲間と仲良くやればいいさ」
「ま、まさかァ。お前たちだけで、全部倒したっていうのか?」
「そのおかげで、下の階からは、物音一つしないだろう?」
「…………」
「そういうわけだから、アンタには、こちらの要求を聞いてもらいたいもんだねえ」
「ふふっ……」と相手は笑い出す。
「なんだ~、面白い話でも思い出したのか~?」
「いいえ。キミたちは、勇者という存在について、何も分かっていないんだな、と」
「はー、勇者ってのは、そんなに厳かで特別なものなのか~?」
「分かるかい? 勇者は、選ばれし存在なんだよ。普通の人間や魔族には、到底かなわない力……それを、ボクは持って、自由に使うことが出来る」
「バカにハサミじゃないのか~?」
「なに?」
「ここで、口をたくましく動かしたって、仕方あるまい。そちらさんの力を、見せてもらおうじゃないの……!」
私は、指先にエネルギーの塊、すなわち光球を、発生させる。
「!?」
「……!!?」
「ま!!!!!!!」
その瞬間に、皆から距離をとられてしまう。
「な、なんだよ……、その化け物じみた魔力は……」、と勇者、震える。
デリンジャーは、勇者の動きに注意しながら、私に向けて両手でジェスチャー、「待て」をしている。
ブドリは冷静に語る。
「それが……。ミラッガーさんの言っていたことが、ハタリと得心がいきました。ノロさん、そんなものを撃ってしまえば、ここら一帯が吹っ飛びます。どうか、ひっこめて、ひっこめて……」
「………………そうだ!」
私は、エネルギーを戻して、今度は、ワンインチリボルバーを取り出して構えた。
「銃?」
勇者は呆気にとられている。
そして、少し、バカにしたふうに喋りだす。
「ここにきて銃か……っ、ははっ」
「バカみたいに、よく笑うね。笑顔健康法かー?」
「バカはお前だよっ、銃が、なんで初心者用武器だと、この世で言われているか、知らないの?」
「ほーっ、それは、いったい、どーいうことかな? ご教授願いましょ」
「嫌だね。撃ってみれば分かる。さあっ」
勇者は手足を広げて、自ら、広い的となる。
「デリンジャー、ブドリ、私から離れてくれ」と、指示する。
相手に狙いを付けながら、最終警告をする。
「いいんだな? 撃っちゃうぞ?」
「あー、いいとも」
私は引き金を引き、発砲すると同時に、勇者は、自ら当たりにいくように、ものすごい勢いで直進した。
ズドォオォォォオォォォオォオ――
「うごっぼはっ……!!」、勇者、驚愕の顔で、吹っ飛ばされる。
そして、向こうの壁に、叩きつけられる。
「な…ぜ……」
勇者の手元は、魔法的な輝きを放っていたが、やがて消えた。
何らかの策があったが、その策に失敗したことを思わせた。
私は、目に入ったホコリを、水魔法で洗い流していた。
「つまり、この勇者は、単なる、おバカだったと、そういうわけなのか??」
「ノ……ノロさん、いったい? その銃は……?」
「これか? ワンインチリボルバーってやつだ。詳しくはガンタウンの銃器屋に聞けば分かるよ」
「ノロさん、もしかして、ご存じないかもしれないから説明しますが。銃器が初心者向け武器と言われるのは、『固定ダメージ』だからにほかなりません」
「固定ダメージ? それはいったいどういう?」
「使い手のレベルに関係なく、ダメージは大して変化しない、ということです」
「なるほど。それで?」
「そういう銃器に対して、たとえば剣などは、使い手のレベルが上がれば上がるほど、ダメージは増します。……もちろん、剣がそのパワーに耐えられることも大事ですが」
「だから、どうなる」
「高レベル帯になると、使い手の力を乗せられない銃器は、パワー不足になるのが普通なのです。ましてや勇者を相手にするレベルで、使える銃器など、皆無に等しいです」
「銃器屋のオヤジは、そんなこと、説明してくれなかったよ……。でも、そんな武器、ココに一つござぁいますヨ」と、ワンインチリボルバーを提示する。
「…………そんなものを使うのは、ノロさんくらいです」
「なぜだ? カッコイイのに」と言いながら、私は見せびらかすように、リロードのアクションをする。弾、でっかい。
「見ていて分かりましたが、それは使い手も自爆しますよね?」
「するね。目にゴミが入る」
「…………。それで済むくらいのレベルの方なら、そもそも、剣でいいです。飛び道具にしても、もしや投石のほうが、パワーは上ではありませんか?」
「そうかもしれないが、ロマンが」
「それにメンテナンスコストもかかりますし、弾代もかかるでしょう?」
「趣味と実用を兼ねている」
リロードも終わり、崩れ落ちた勇者に狙いを定めていると、「ひえっ」という悲鳴がこぼれる。
「あの勇者、まだ生きているぞ。デリンジャー、あとは頼む」
勇者の処置は、デリンジャーにまかせて、私たちは、奥へ進む。そろそろ親玉が出るはずだ。
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■要約
・ワルザー・ファミリーと手を組む、勇者(魔法使い)クズレと戦う。




