_没a019;ワルザー・ファミリー
光が収縮し、人形になって、落ち着いた。
そこには、ブドリがいた。
頭上には、ドーナツ形の蛍光管が浮いている。いや、天使の輪っか、か……。
。。。。。。。。。。。。。。。
天使となった模様のブドリは、健康体になれたらしい。良かった良かった。
なんと、記憶も受け継いでいるらしい。良かった良かった。
「また死んでも、生き返られるね」と言うと、
「いいや……」と言うブドリ。
「?」
ブドリが続ける、
「ミラッガー、君の持ってきた琥珀――」
「僕の? えっと、ミヌヌクのゴールデンボールでしたっけ?」
ではないが、あの覚えづらい名前の、謎の材料。
「あれは、二度と手にはいらないような……そんな気がする」
「そうですね。朝起きたら手の中に見知らぬボールが! という展開は、今の人生、まだ一度しかありませんでしたから」
。。。。。。。。。。。。。。。。
さあて、デリンジャーとブドリが合流した。
ミラッガーは帰っていった。「天使創造」を文献にまとめなきゃ、と言っていた。
私たち三人は、デリンジャーが囚われていたという所に向かっていた。
ブドリの馬車で。
「ブドリは領主だったのかー。……領主って何?」
「手っ取り早く言えば、ここらへんの管理者ですな。領地を治めているんです。まあ、領主といっても、ガバメント家の領地を、父から譲り受けたものですが」
知らない名前が出てきたが、いちいち尋ねてはキリがないので、聞き流した。
「親父さんは、まだ健在?」
「ええ……」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。【摩天楼】
摩天楼――
大きく高く、無骨な建物がある。
たまに中から、叫び声が聞こえる。
「ここか」
「ええ。ワルザー・ファミリーの本拠地と思われるところです」
「ワルザ……なんだって?」
「人身売買をメインにする、非合法グループですな」
「儲かるのか?」
「それはよくわかりませんが」
「さて、どうしよう? ボスだけ殺して、乗っ取るのが良いか? 全部、壊滅させるのが良いか?」
「私としては、囚われている者は救い出し、組織のメンバーは、殺すなり罰するなりしたいのですが」
ずーっと押し黙っているデリンジャーを見ると……涙を流していた。
「ど、どしたんだよ?」
「え……。はは……、これは……」
代わりにブドリが説明する。
「デリンジャーさんの探していた友人は、ここに捕らえられていたそうです」
「そうか。じゃあ、それも救わないと、だねー」
「いえ…………その、もう……」
「…………死んだ。いない。もう」と、デリンジャー。
「そうか――。ならば、今、生きている者だけでも、救っとかないと」
「そうですね。しかし、ここまで来てなんですが、3人だけでどうしましょう?」
「隠密には少人数が良いんだ。3人で侵入し、敵に見つかったら、即、殺すか無力化だ。幸い、内部の構造もわかっている」
「それでは、牢の近くの抜け道から行きましょう。そして、なるべくなら、全て救出後、敵を叩く、ということに?」
「ああ」
デリンジャーも頷く。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
遠くから見ると立派な摩天楼の建物でも、近くから見ると、そうでもない。
この建物の外壁には、大きな亀裂が地面に続く箇所があった。
そこを掘り返してみると、侵入経路の出来上がり。さあ行こう。
「ストップ」
と、私は停止を指示。
「どうしました?」と、ブドリ。デリンジャーは基本的に寡黙らしい、何も言わない。
「ここに、結界のようなものがあるようだが」
スーッと手を触れて、優しく押しのけると、結界? にも通り道が出来た。
「もしかすると、侵入を感知する仕掛けかもしれませんね」
「だが、優しく触れる分には、大丈夫らしい。さあ、先へ行こう」
そして、最短経路で、牢までたどり着く。
私は、機転を利かす。風属性魔法で、空気を操り、見えない防音壁のようなものを、何重にも設置した。
多分、これで、爆発が起きても、敵さんは気づかずにお眠りできるんじゃないかな。
弱っていた人には、即、回復魔法をかけ、駆け足で移動できるようにした。
そうして逃している間に、敵さんの巡回時間が来たらしい。予定通り、サクッと、無音で、あの世に行ってもらった。ついでに、即死魔法が人間に使えること、実験できた。
「殺して……しまったのですか?」と、ブドリ。
「あァ。生け捕りにするまでの技術は、持ち合わせていないんでね」
生かすより、殺す方が楽なのだ。生かして無力化するのは難易度が高い。
「ノロ様、これで全ての捕虜は、脱出させました」と、デリンジャー。今のデリンジャーは、忠実な部下のような振る舞いだ。
「ありがとさん。じゃあ、あとは楽だね。他、全部、皆殺しにすれば、いいだけなんだから」
「ノロさん……?」
「この建物ごと、全てを気化させる。多分、可能だ」
「気化といいますと?」
「消滅だ」
「それはちょっと待って下さい」
「なぜ?」
「この犯罪組織は、国や貴族とのつながりが疑われています。その証拠をつかみたい」
「んじゃあ、散策しましょうか。そうすれば、何かしら見つかるかな?」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
この摩天楼ごと昇華させるという、手っ取り早い方法は却下された。
建物内、3人で、警戒しながらも、ブラブラ歩いている。
監視カメラのたぐいは……なし。そういうものは、ないようだ。
そして、敵さんは、発見次第、即死させている。なるべく苦しませずに、あの世に行かせている。
部屋も1つ1つ確認して、見落とした敵がいないか、しっかり見ている。
途中、異様に魔力の詰まった装置? らしきものを数個、見つける。建物の柱付近にあったので、もしかして、時限爆弾かな? と思った私は、とりあえず、魔力を吸い取った。
そして上へ登っていくと、広間に出た。
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■要約
・ワルザー・ファミリー本拠地である摩天楼に突入。
◆1話あたりの字数、もっと多くなっても良いでしょうか。




