n013;デリンジャーvsノロ
私は、ミラッガーと握手しながら、ブルンブルン振った。ミラッガーの上体も、元気よくはずんだ。
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今日も天気が良い日。
私は、魔術師ギルドの庭にある、野外用イスに座って、くつろいでいた。日が……温かい。ぬくっと、ぬくい。
そこへ、誰かが来て、日光を遮ってしまう。
「……影になる。」
そう言うと、デリンジャーは会釈して、退く。
「は、これは。」
しばらく、二人とも、何も言わず。デリンジャーは、まっすぐ立ったまま、こちらを直視するばかりだった。
こちらから言葉をかけないと、いけないのだろうか、と思い、話す。
「要件があるのかい?」
「ええ、少し、ヌシに聞きたいことが。」
「私はノロ。ヌシじゃない。」
「ノロ殿。某には、貴殿…いや、失礼、貴女に――」
”貴殿”という言葉は、本来、男性向けに言うらしい。デリンジャーは、そこまで配慮したのだろう。魔族は人間より知識・知能・知性が低いわけでは、全然ないようだ。
「いいよ、そっちが、話しやすいように、話せば」
「かたじけなし。某の家系は、魔族でも、古臭い部類のため、某の語り……言葉の選び方までもが、時代に伴わないものと、なってしまった。なるべく、平易に云うよう、努めるが……、某は不器用だ。」
「ちょっと前は、普通に話していたじゃないか?」
「そのときは、一口間違えば、あわや……という状況。普通に話すことを、トコトンまで頑張りすぎました。のち、頭から湯気が出る始末ゆえで」
「わかった、わかったよ、理解を示すよ」
魔族が言語学習する苦労というものを、推し量ることができない。
もしかしたら、相手は相当、苦労して会話能力を得たのかもしれない。
私は、息を吐くように、言葉を発せるが、……誰しもそれが当たり前じゃあ、ないだろうな。
「かたじけない。ゆくゆくは、普通に、話せるよう、学習するので、いまは、いまば」
「でー? なにか聞きたいことがあったんだろ~?」
「ある! 貴殿は、いったい、何者なのか・・・? 某、相手の力を見抜く鑑定には、自信を持っておりゆえに。その常人、平平のキッする部類の超え。並大抵の存在じゃありますまい?」
「何者か? ……か。ふーん……」
「……今は申せぬ、と、そういう意思表示であらせられるか?」
「いや、そうじゃない。んじゃあ、たとえばさ。私から聞くとする――『アンタは、何者?』と」
「某ですか? 某は、デリンジャー。辺境の魔族の一人。――と、こう答えますが」
「ならば、私だって、名前はノロで、人間で――と、そういう自己紹介さ。こんなんで満足のいく解答なのかー?」
「で……ですれば、そのノロ殿、人間離れし、魔族離れした、その尋常ならざる力は、いったい……?」
「さぁねぇ……。あいにく、物忘れが激しくて。覚えているのは、神に健康体を願ったことかなぁ」
「んんんー……」
「どうかしたのか~」
「ノロ殿、折り入ってお願いがあります。某のお願いを、1つ、聞いてはくださいませぬか?」
「内容も聞かずに、ハイOK、とは、いかないね」
「某と、戦ってくだされ!」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。【荒野】
デリンジャーは、私を抱きかかえると、町ガンタウンを出て、荒野まで走った。
随分、アクティブかつアウトドアな魔族だった。
「そーんなに戦いが好きなのか~っ? 魔族というのは?」
「ノロ殿、ここならキレイさっぱり何もなし、存分に戦えますぞ」
「デリンジャー、少しずつ口調が変わってる?」
「勉強してますので」
「まあいい」
遠く、ガンタウンの方を見ると、町の高台から、こちらを注視している人が見える。
ベレッタ……だろうか。そういえば、町を守る仕事をしているとか、だったか。町の周囲を監視中か。
「ノロ殿、準備はよろしいか? 本気で行きますぞ!?」
現在、2者は、間合い取って離れている。
「あぁ~、お手柔らかに頼むよ」
成り行き任せで始まったバトル。
先手必勝、とばかりに、突っ込むデリンジャー。その姿は、目の前で急転換し、私の側面にいた。
明らかに、今まで見た何者よりも、早い動きを見せる。驚き。
デリンジャーの手刀が、私の脇腹に叩き込まれる。まずは爪を使わず、打撃を試したらしい。
その重い衝撃で、私の片足が埋まるが、吹っ飛ばされない。
「・・・!?」、デリンジャー驚愕の表情。
そのまま、デリンジャーの手刀を、つかみ、ひねりつつ持ち上げる。それは、デリンジャーの体ごと、持ってかれる勢い。で、顔から地面に叩きつけた。
「そぉーーりゃぁあッ」
地盤沈下が起きる。地面から、唸るような重低音がとどろき、ズズリズズリと、地が沈んでゆく。
デリンジャーが動かなくなってしまった。
仰向けにすると、頭蓋骨がボロボロになっており、死の危険があった。
「まずい……」
私は、以前にブドリが回復魔法で、人々を癒やしているのを目撃している。あれを真似ようと思う。
デリンジャーの顔に、両手をあてがい、自然治癒……、壊れたものは、あるべき形に復活をとげるというイメージで、エネルギーを動かした。
それなりの時間はかかったが、回復魔法らしきもの、たしかに発動したらしい。温かな光が、つつんでいたのだから。
それと、腕の方も、もう少しで千切れ取れるところだったから、それも治した。完璧だ。
デリンジャーは、何事もなかったかのように、起き上がる。顔も軽症の傷だけとなった。
「それ、某は…いったい……?」
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徐々に記憶が復活したデリンジャーは、試合の続きを辞退した。
死闘より、生命が大事だと、気づかされたらしい。
私も力加減を学んだので、良かった。
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■要約
・デリンジャーはノロに何者かと尋ねての雑談。
・デリンジャー vs ノロ。それは勝負というものではなかった。
◆文章作法、少し変えた。
迷っている。カギカッコ最後の点(。)の有無をどうするかを。
◆デリンジャーのセリフは、日本語体系から逸脱しているかもしれないのは、仕様です。カンで読んでネ。




