第七章
俺と菜月は二階へと上がり廊下を進んでリビングへと向かっていた。
その途中で菜月が不思議なことを聞いてきた。
「ねぇ、颯ちゃんってこんなに綺麗好きだったっけ
もうちょっと部屋は片付いてない気がしたんだけどな」
「そ、そうか?俺だって掃除くらいはするよさすがに一人で暮らしてるんだからな」
「ふ~ん、そっか。まあそういうことにしておくね」
話をしながら廊下を歩いてリビングに着くと菜月はすぐにキッチンへと行って料理の準備を始めた。
そして隠し通したかったことを当たり前に話してきた。
「さてと、それじゃお昼の準備をするね。
颯ちゃんは向こうの部屋にいる病人さんの様子を見に行くんでしょ」
「な、何のことだ。病人なんていないぞ」
そう言うと菜月は呆れた顔でこういった。
「颯ちゃん本当に隠し通せると思ってたの、玄関の女物の靴があったよ」
「あ・・・」
「油断しすぎ・・・。まあ、いいや私は病人食とお昼の準備するからね」
「わかった。俺は様子を見てくるよ」
話を終えると俺はリビングの奥にあるドアに近づいて
ノックをして部屋に入ると予想外の光景が広がっていた。
「唯、今大丈夫か。入るぞ体調はどうだ・・・」
「え、ちょ、ちょっと待って!」
返事を待たずに入ったのは悪かったとは思うがまさか唯が上半身の服を脱いで汗を拭いてるところだったなんて予想外だった。
二人とも暫くの間何も言えずそのままの状態が続いたが
我に返った俺が慌てて話したのがまずかった唯も冷静になって色々大変なことになった。
「わ、悪い、返事を待たずに入ったのはまさか汗を拭いてるなんて思いもしなかったんだ」
「って言うか颯太さん今の状態わかってますか?」
「今の状態?」
「私まだ服着てないんでしょけどねぇ」
「あ、わ、悪い部屋の外に出てるな」
「早くしてください!」
そう言って唯は色々物を投げてきて俺は逃げるように部屋の外に出たが出た後で前を見ると
今度はその騒動を見ていた菜月が完全に引いた目で話をしてきた。
「颯ちゃん、それはないよ・・・普通女の子の部屋に入るなら返事を待つべきだよね。
それがマナーだよね。なにやってるのよ・・・」
「はい、その通りです・・・・」
「はぁ・・・。とりあえず。こんどこそ確認して謝ってきなさい。
そうじゃなきゃ颯ちゃんのお昼なしだからね」
「わかった」
そう言われてノックして今度こそ返事があったのを確認して部屋に入っていった。
「唯、今大丈夫か?」
「は、はい。入って大丈夫ですよ」
部屋に入ると唯は布団をかぶって顔だけを出した状態でこっちを睨んでいた。
ベットに近づいて俺は謝って話を始めることにした。
「唯さっきは悪かった。返事を待つべきだったよな。唯なら大丈夫かなって思って開けた俺が悪かった」
「私ならって、私も悪かったです、もっと早く声をかけるべきでした。
とりあえずこのことはもう終わりです。思い出さないでくださいね。お互い忘れましょう」
「あ、ああわかった」
そうはいったもののさっきの唯の格好を簡単には忘れられそうになかった。
だって唯って着痩せするタイプだったんだないつもなら胸がないように見えて実際は結構あったし。
そんなことを考えながら眺めてたらせっかく機嫌を直しかけた唯がまたジト目になっていた。
「何を考えているんです?」
「い、いや何も考えてないよ」
「慌てるのが逆に怪しいですね」
「ほんとだって、着痩せするタイプなんだなとか思ってないよ」
失言してしまった俺の言葉を聞いた唯の顔が真っ赤になった瞬間完全に布団をかぶってしまった。
「は、早く部屋を出ってください!」
「い、いやでも体調は?」
「私なら寝てれば大丈夫ですから早く出ってください!」
「わ、わかった。ゆっくり休んでてくれ」
俺はそう言って部屋を出て行った。その後部屋の中で唯が何かを言っていたが
ドアを閉めた後だったので聞こえなかった。
その後菜月が作ってくれたお昼を食べてたがさっきの事で色々と怒られてしまった。