第六章
仕事を始めると朝のうちは何とか一人でも何とかなってたけど開店を向かえると予想以上だった。
俺が中で仕事をしていると店の方からお客さんが呼んできてレジを対応してまた
戻って中で仕事その繰り返しで目が回りそうになっていた。
何回目かの対応のときにレジに向かおうとしたら懐かしい声が聞こえてきた。
「レジは任せて、颯ちゃんはそっちの仕事に集中して」
「あ、ああわかった」
俺はそう答えると今やっていた仕事に集中して、レジはその子に任せた。
信用していいかと言えば普通なら信用できないだろうが彼女なら心配ない
なぜなら同じパン職人だからだ。
そうして彼女にレジを任せて仕事が一段落すると俺はお礼と久しぶりの挨拶を彼女にすることにした。
「ありがと助かったよ。それとおかえり菜月」
「どういたしまして、ただいま颯ちゃん」
菜月と言うのは本名は相沢菜月この前来ていた材料屋さんの一人娘で
今までは別のパン屋に仕事に行っていたが昨日の夜家に帰ってきたらしい、
俺は気になったので菜月に質問をしてみた。
「なぁ、何でここに来たんだ?」
「何でって言われても昨日帰ってきたからとりあえず久しぶりに
颯ちゃんに会おうと思ったのとちょっとした相談があるからかな」
「相談?」
「うん、あのね私をここで、働かせてもらえないかな?」
「えっとそれは・・・」
「いいでしょ、今だって忙しくてレジまで手が回ってなかったみたいだし
私が入ればもっとスムーズに仕事が出来るよ」
「確かにそうだけど今日は病気で休んでるけどもう一人一緒に仕事をしているやつがいるんだ」
「そうなんだ、あ~だからかな颯ちゃんの感じがどことなく優しくなってるし
話しやすくもなってのは」
「前の俺はそんなに近づきにくかったか?」
「うん。話しかけるなって感じがすごかったよ」
「そうなのか」
俺の昔ってそんな印象だったんだな・・・。ちょっとショックを受けてると菜月が話を戻してきた。
「話を戻すけど私が働けるかどうかはもう一人の人に聞かなきゃわからないってことかな?」
「そういうことになるな」
「なるほどね。了解」
「悪いな」
時間を見るとそろそろ正午になろうとしてた。
時間もちょうどよかったから二階に上がって唯の状態を見てこようと思って菜月に声をかけた
「俺は少し店を閉めてから二階に上がるよ」
「二階?」
「ちょっと用事があってな」
「ふ~ん、わかったわ。そうだ私もついていっていい?」
「え、な、何もないぞそれに昼の休憩を取るだけだぞ」
「それでもいいよ。颯ちゃんがいつもどんな感じで生活しているか気になるからついていくだけだし」
菜月はそう言っていた、と言うかこれは何を言っても聞かない感じだ。
俺は仕方ないと思い菜月に唯がいることを気づかれないようにすることを決めて了解した。
「わかったよ」
「やった。お礼に私がお昼作ってあげるね」
そう言って二階に上がる俺の後ろを菜月はついてきた。