第五章
そのまま唯に耳を引っ張られたまま店の奥まで連れてこられた。
「唯さん、いい加減に離してくれませんかね?」
俺がそう言うと唯はようやく耳から手を離してくれた。
疑問に思ってたので少し唯に話を聞いてみることにした。
「なあ何で私はここまでされたんですかね」
「わからないんですか」
「耳を引っ張られるようなことを私はした覚えがないんですが」
「あれだけ若葉さんにデレデレしてたのに」
「デレデレなんてしてない!むしろ迷惑だったよ!」
「どこがですか、胸が当たって嬉しそうな顔してたくせに」
「だからそんな顔してないって」
「知りません。それより仕事をして下さい忙しいんですからね」
そう言って唯は話を終わらせてレジのほうへと歩いていった。
「何をそんなに怒ってるんだかまあ仕事をしなきゃいけないのは確かだしやるか」
そう言って作業を再開しようとした時昨日頼んでおいた材料が届いて
業者の人の声が裏口のほうから聞こえてきた。
「材料を持ってきましたチェックお願いします」
「わかりました」
俺がチェックを済ませると荷物を片付けながら業者の人が話してきたのだった。
「唯ちゃんと何かあったの?」
「いや、別に何もなったんですけど」
「じゃあ何であんなに怒ってたんだ」
「わからないんですよ。さっき知り合いが来てから機嫌が悪くなって」
「知り合いって女性?」
「はい」
「あ~なるほどね」
「なにかわかったんですか?」
「ある程度はね。とにかく謝るべきだよ」
「まあそういうなら後で謝ります」
「そうするべきだよ。っと話が変わるけど今日の夜菜月が帰ってくるよ」
話を変えて業者の方がそう言った。ちなみにこの方は相沢さんと言って知り合いだったりする。
あと菜月というのは幼馴染で学生時代を一緒に過ごした女性のことだ。
「帰ってくるということは、勉強が終わったんですか?」
「そうだと思うよ。ってわけでたぶん明日あたりここに来ると思うからよろしく。
さて材料片付け終わったから次に行くよ」
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様」
そう言って相沢さんは出て行った。
「よろしくって何をだろ・・・」
不思議に思ったがそのまま今日の仕事終えて謝って機嫌を直した唯と二階へと上がった。
次の日になりいつも通り仕事を始めようと1階の店舗へ降りようとした時リビングで
唯がふらふらと歩いてたから気になって近づいて額に手をやるとかなり熱かった。
「唯、熱があるじゃないか」
「大丈夫ですよ。そこまで悪くないですからちょっとふらついてただけですから」
「それ全然大丈夫じゃないだろ!いいから今日は休め」
「で、でも颯太さん一人じゃお店が大変ですよ」
「何日かくらいなら何とかするから休むこと。って言うかベットまで運んでやる」
「い、いいですよ。ベットまでくらいならいけますから」
「駄目だ心配だから運ぶ」
そう言って俺は唯の体をお姫様抱っこして唯の部屋へと行った。
「こ、これは恥ずかしいですよ」
「誰も見てないだからいいだろ。っとドア開けてはいるぞ」
そう言って俺は唯の部屋へと入っていった。
唯の部屋は小物とかぬいぐるみがあり女の子らしい部屋だった。
「へぇ・・・」
「な、何ですか」
「いや、かわいい部屋だなと思ってさ」
「あまり見ないでください。と言うか早くベットに寝かせくださいよ」
「あ、ああそうだった。っとこれでいいな」
「あ、ありがとうございます」
「とりあえず今日はおとなしくしてること昼にまた様子を見に来るから」
「わかりました」
「それじゃ、俺は仕事をしてくるよ」
そう言うと俺は部屋を出て玄関から一階へと下りて行った。
まあ仕事は大変だろうけど何とかなるだろそう思いながら仕事を始めたのだった。