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四狩目 幾時代かがありまして

 茶色い戦争ありました、とかさらっと書けちゃう中原中也はやっぱ天才だったんだなー、としみじみ思う今日この頃。

おはようからお休みまで、あなたを見守らないケアしないツァスタバさんはっさいです。

社会人なら健康管理は自己責任!

 はじめてのおつかいは無事成功したけど、その後が大変でした。主にサコーの父ちゃんが。

もうね、めっちゃ叱られました。こめかみに梅干しグリグリは地味に痛い。

期待以上の成果は出したと思うんですが、凄く……理不尽です……。

 食ったフリして誤魔化すとかあるだろうが何律儀に毒飯食ってんだ、とまずそこから始まって、陽動で騒ぎ起こしたなら今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ帰レ、つーかお前何やらかしたスカウト来たぞ等々、滔々と川の流れのようにお説教喰らいました。解せぬ。

 そうそう、例のハルコネン男爵(仮)、あれ本人でしたわ。まあ、あんなんが何人もいたら嫌だわな、普通に。

大広間に戻ったシグのおっさんに確認お願いしたらビンゴだったので、我ながらいい仕事したなー、と思いました。(小並感)

 転がしただけじゃ体位性窒息にはならそうだったんで、すっごく嫌だったけど下腹踏んで内臓と贅肉上に押し上げて、横隔膜さんに仕事してもらって肺圧迫→窒息コンボ、の筈が逆流した胃の内容物で窒息死とか、むーざんむーざんにでございました。

靴底通して伝わってくるぶよんぐにゃんとした感触がもうね、本気で気持ち悪かったんですよ。白金貨積まれても二度としたくねーです、はい。

 シグのおっさんとの合流前に効果切れしたんで、M仕様のお披露目にはならんかったのですが、面倒なので髪と目は地色に戻すことにしました。

理由? もしかして:めんどくさいですが何か。金銀紫緑赤青紺、浅草線ローズに銀座線オレンジのどたまに比べれば、白鼠しろねずくらい普通じゃろ? つか勿体無いし。アイテムが。

 んでま、ハルコネン男爵(仮)がキッチリ死んだのを確認後は、風呂敷サイズにカットしたテーブルクロスで、せっせと拾った金のカトラリーと銀のカトラリー包んで担いで、シグのおっさんに借りたクナイ片手に、ウロウロしてた人身売買組織の連中サクサク殺りつつ、原隊に復帰。

 組織の連中を根斬り撫で斬りで駆除完了となったところで、事前に用意していた小型船舶で、フギト湖に流れ込むテゲト川を遡上。レリンクォルとウェントスに跨るクイス湖まで出て、ウェントス側の保養地、リームスへ。リームスで船を降り、一旦南下して最寄りのユトまで出たら、押さえておいた馬車で一路北の交易都市スキースを目指し、スキースから進路を西に取って、本拠地(ねじろ)のあるウェントス王国の副王都、オクロースまで一直線の強行軍となりましたが、小型船舶が魔道具(マジックアイテム)の推進機関積んでたおかげで、水上の移動はそうしんどくなかったし、国境越えも、事前の根回しのおかげか楽々でした。正直このザル警備大丈夫なの? と思わなくもなかったけど、それなりに伝手とかコネとか大人の事情があるってことで納得することにした。

 なお、ドナルーテの王都のあの宿は、他国での仕事の際の集合場所的なものの一つなんだそーな。へぇー。

 事件の発端である誘拐された妹ちゃんの身柄も無事回収済みなので、ユトで待機してたお姉さんとその旦那(予定)に引き渡して、めでたしめでたしでございます。

旦那(予定)もユトで仕事の口見付けたとかで、多分一家でユトに移住ってなるんだろうな。リア充爆発しろ(末永くお幸せに)。

 あ? 他の子供? シラネ。こちとら慈善事業やってんじゃねーんだ。どさくさに紛れて逃げるのも、そのまま買い手に飼われるのもそいつの自由だと、先生は思います。

 そんなこんなで二週間強の強行軍の末、やっとかめ到着した副王都オクロースには、ドナルーテで末端の始末してたはずのサコーの父ちゃんが既に待ち構えておりまして、冒頭の梅干しからのお説教コンボが発生したと、そーいうことです。

 まあ、そこまではよかったんですよ、そこまでは。

後は仕事分のおぜぜを頂戴し、あばよとっつぁ~ん、とケツまくる予定だったんです……それが、こんなことになるなんて……。


「おう、しばらくコイツここに置いといてくれや」


 ……ええ、そうです。

冒険者ギルドに依頼完遂の報告を入れに行き、依頼料と一緒に戻ってきたドライゼのおっさんが、本拠地の主――心臓発作起こして倒れて引退宣告された中年レスラー、もしくはロシアの物理学者(物理)っぽいおっさんに、そげなこつを言い出したとですよ。

 なお、本拠地は、違う意味で一見様お断り感が半端ない、世界入りにくい店ベスト50に入ってそうな酒場兼宿っつーか、○ッド○ックスもしくは惑星タ○ゥー○ンですね分かります、でして。ええ。

流石の私も一瞬ゑ、ってなったし。

 じゃなくてだな。

待って。ちょっと待って。すごく待って。

どういうことだってばよ。そんなん聞いてない。マジ聞いてない。聞いてないよォ。

おまえは何を言っているんだ状態になったのは言うまでもない。

 は? みたいな顔してたのはサコーの父ちゃんだけで、ドライゼのおっさんを始め、シグのおっさんもローナーのおっさんも、アストラのおっさんもステアーのおっさんも本拠地の宿のおっさんも、大層人のよろしくないニヤリ顔をしていらっしゃいます。


「ちょっと待てドライゼ。こいつを、ここに置くつもりか?」


 サコーの父ちゃんが微妙な顔になるのも、無理はないと思うんですよ。

子供の教育に、非常に宜しくない環境ですもん。

少なくとも、こげなとこに子供預けるとか言う奴おったら、お気は確か? どころの話じゃねーもん。

 が、そんな蜘蛛の糸を容赦なくぶった切り、


「構わんが、ロハじゃねえぞ。雑用ぐらいはやってもらう。働かざる者食うべからず、だ」


 あー、っちこっち丁稚ですかそうですか。

って待て待て待て待て。納得してどうする。

ここは分け前貰ってカトラリー換金したらサワヤカにアディオス一択だろ自分。

 が、気付いた時には遅かりし由良之助。

がっちり首根っこ押えられて、これ何てデジャヴでございます。

わーい嬉しくねぇー!

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