【5】
ネタ一切無しの柚愛と柚也の説明話ですー
乃奈ちゃんの名前の由来も明らかに!
どうでもいいけどね^p^
その夜、俺達はしばらく話をしていた。
柚也と柚愛は兄弟で柚也が2歳年上。柚也が13歳、柚愛が11歳。
このゲームをやるための機械は、母用と柚也用だったらしいが、母が、外出したとき、柚愛は1時間だけと勝手にかりてきたらしい。父は柚愛が3年生の
とき、家を出ていき、母が1人で2人を育ててきたという。
俺はため息をついて言う。
「2人共大変なんだなぁ…俺とくに何もなく育ってきたから分からないや…」
俺に続き舞姫もため息をつく。
「私はいろいろ大変よ。家の片付けしたり、洗濯物干したり…料理はお兄ちゃんがしてるけどさ。思ってるより大変なんだよ。ま、柚愛ちゃん達より楽だけどさ…」
俺の嫌いな空気だ…なんか重いよ…
「面白い話、1つしてあげる。」
元気よく乃奈が話しはじめる。
「私の名前の由来。すごいんだよ。私の本名、紗綾李 乃奈って言うの。さやいって並び変えると、野菜になるでしょ。野菜っているのは、のなっても読むから、乃奈になったんだって。」
普段聞いたら、へぇー、で終わるような話だったが、こんな非常事態だから、みんな無理してでも笑った。
だが、柚愛だけは笑っていなかった。どうでもいいとでも言うように、下を向いてずっと黙っている。
舞姫が柚愛を心配して立ち上がり、柚愛にかけよる。
「柚愛ちゃん、大丈夫?元気出して!」
「大丈夫です…」
柚愛は一言言うと、立ち上がって上の階へ向かった。
「僕達も…そろそろ寝ましょうか」
蒼が言った言葉を境に、話をやめ、皆で上の階へ向かった。
「そういえば…」
俺は独り言を言いながら、一人で廊下を歩いていた。
「ここだったかな?」
扉を2回叩き、「どうぞ」と言う声を待ち、扉を開け、中にはいる。
「柚愛、本当に大丈夫か?一言も喋んないけど…やっぱりこわい…」
俺の言葉が終わる前に、柚愛が口を開いた。
「怖いです。死ぬのが…怖いです。皆さん、ゲーム慣れてて、お強いんですが、私、ゲーム初めてなんで…
私の親は、昔から柚也お兄ちゃんにだけは優しかったんです。私はゲームなんてやらせてもらえなくて、友達と遊びに行くのも半年に1回くらいしか行かせてもらえず、ずっと勉強させられていました。まだ5年生だったのに、そんな生活、嫌でした。
それにお父さんが反対してくれて、でも喧嘩になっちゃって、離婚したんです。お父さん、私を連れていくって言い張ったんですが、結局お母さんの方が強く、お父さん、一人で出ていっちゃいました。
それから2年たち、お母さんが、このmiracle onlineをやる機械、2個買ってきたんです。私の誕生日だったんでちょっと期待してたんですけど、やっぱり違いました。これはお母さんと柚也の分だから。これ終わったら出してあげる。と言って、誕生日プレゼントをわたし、部屋に閉じ込められちゃいました。誕生日プレゼント、中学3年生用の教材5冊でした」
柚愛は涙声になっていた。
「そっから、5日くらい閉じ込められて、ご飯ももらえず、ずっと勉強する日々でした。
でも、中学3年生のなんて、解けるはずなくて、ずっと悩んでました。このままご飯もらえないで、死んじゃうのかなって怖かったんです。今と同じですね。5日たつと、お母さん、やっと外出しました。そのとき、柚也が部屋の扉を開けられないように積んであった荷物、全部どかしてくれて、ご飯作ってくれて…その日、miracle onlineのサービスが始まる日で、一緒にやろうっていってきてくれたんです。そして、今があります。部屋からでれたのはいいですが、こんどはゲームに閉じ込められるなんて、笑っちゃいますよね」
俺は声がでなかった。柚愛の母がやったことが、あまりにひどすぎた。
「だから、誰よりも怖がってたのか」
柚愛はゆっくりうなずいた。
「このゲームが部屋で、お母さんがこのゲームを作ったひと。柚也お兄ちゃんが霊夜さんみたいですね。霊夜さんは、柚也お兄ちゃんと同じで、近くにいると安心できます。こうして、私を笑わせてくれているんですから」
違った。柚愛は笑っていなかった。誰からみても分かる作り笑いだった。
気づいたら、俺は柚愛を抱いていた。可愛そうだった。いつも大丈夫、といっていたが、今なら分かる。柚愛の大丈夫は、全部嘘だった、と。
「もう…我慢しないでくれ…悲しかったら泣けばいい…怖かったら頼ればいいから…だから…我慢はするな…」
いつのまにか、俺まで泣いていた。
「決めた。決めたぞ。柚愛。俺は…」
俺は、自分のした決意を、柚愛に打ち明けた。
「一人で旅にでて、皆を…柚愛を元の世界に戻す。もし戻れたら、俺の家に、柚也とおいで…」
柚愛は、涙を流し、こくんと頷いた。顔には、笑顔が広がっていた。その笑顔は、心からの笑顔だった。
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