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SUPER‐LOVE  作者: 黴菌
3/3

未来日記 前編

こんなんあったらいいなって思って書かせていただきました。



『未来日記とは、自分の書いた事が現実に起こってしまう日記。それは選ばれた人になんの前触れもなく突然家に送られてきます。使用方法は普通の…』




「くだらない」



美華がまだ喋り続けそうな勢いだったので、私はその一言で遮った。



「えぇーなんで?だってこれ目茶苦茶欲しくない!?」



目をキラキラ輝かせて美華は言った。


こういうのを信じてしまうのが高倉美華の特徴だ。



「んなもん作り話にきまってんじゃん」


そんな美華に比べて私は冷めてる。


「えぇーもう!愛里ってばそんなん信じないんだから!!だから高校2年にもなって彼氏できないんでしょ!」



少し頬を膨らませて美華はいった。


「できないんじゃなくて作らないのよー」


それは負け犬の遠吠えなんかじゃない。事実、私は誰かと付き合いたいわけではないし無論、好きな人もいない。


「はいはいそうでしたねっ」


呆れぎみで美華はいった。

美華にはたいへんかっこいい彼氏がいる。

美華も人形のように華やかで可愛らしく、二人はお似合いだ。



「松原愛里いる〜?」



昼休みの教室にある男の声が聞こえる。


また来たか。


「いないって言って」

私は美華に隠れて小声でいった。



「ここにいまぁーす!!」


そんな私を無視し、美華はニコッと笑って右手をあげ叫んだ。



「なぁに隠れてんだよ!!」



来た…三国廉。

何故かこいつは毎日昼休みにやってくる。


「そっちこそ何しにきたんだよ!」



私はこいつが苦手。

私はあまり話かけられるのが好きではないし、こいつがいると調子が狂う。


「愛里ちゃぁんに会いにきたんだよーん!」



このテンションもダメ。


「あっそ。んぢゃトイレ行ってくるわ」



そっけなく言って私は教室を出ていった。


三国が来た時はいつもトイレに行くと言って保健室に逃げ込む。


保健室は唯一、私の憩いの場だから。

保健室の一樹先生も話がわかり、よく相談にのってくれるのでかなり人気が高い。



「せんせぇーちょっと置いてぇ」


けだるい声で一樹先生に言う。


「なんでいっつも逃げるのかな君はっ」



そう言って一樹先生は私の頭に軽くチョップする。


「なんか嫌なのぉー」



「三国君いい子じゃない!顔も可愛らしくてねぇ〜おばちゃんあの子タイプやわ」



一樹先生が冗談混じりに笑いながらいう。


「どこが!!先生!私今日元気に早退します!!!」



そう一樹先生に言って私は保健室を飛び出した。

先生まで…私の事からかって……。



でもこんな時、早退を止めない一樹先生に感謝。


私は手ぶらでそのまま家に帰った。

鞄は…美華にメールして持って帰ってもらおう。


そう思ってメールをうちながら2階の自分の部屋へ向かった。




送信:美華



本文:今日早退したから荷物家に持ってかえってきて☆★



そう送った。

こういう事は初めてではないので美華ならわかってくれるはずだ。


その時机の上に置かれた大きめの茶封筒に気付いた。




その茶封筒には何も書かれてはいない。

家族の誰かが置いたものなのだろうかと思って封を切った。




「何…これ?」


その中には鍵がついている一枚のピンク色をしたノート。



「未来日記…?」

そのノートの表紙に可愛らしい文字でそう書かれていた。



それを見て、美華の言葉を思いだした。


『なんの前触れもなく選ばれた者に届くー…』


私はなんだか恐ろしくなってそのノートを落としてしまった。



「痛いっ!もうなんなのよ!?」


少し小さな女の人の声が聞こえてビクっとした。

部屋を見渡してみたがもちろん誰もいない。


聞き違いだと思って深い溜め息をついた。



「どこ見てんのよ!ここここ!下下!!」



明らかに今のは聞こえた。

ゆっくりと…さっき落としたノートに視線をおくる…。



「やっとこっちみたぁ」


ノートが…



ノートが喋ってる。




ノートについた鍵穴をパクパクさせながら…。






「何…これ?」


ますます怖くなってノートと距離をとる。




「『何これ』じゃないわよ!みりゃわかるでしょ??ほらっ私に書かれてるじゃない『未来日記』って」



ノートがバタバタしたながら声を発する。


私は1回深呼吸してノートを手にとった。



「ちょっと落ち着いたみたいね。あなた名前は?」


偉そうな口調でノートは言った。



「愛里…」



「名字は?」



「松原…」



ほんの少しの沈黙が凄く長く感じる。


「登録完了っと!じゃ愛里、この未来日記の使い方とかわかる??」




私は首を横にブンブン振った。




「そっじゃっ説明するわ」




「はい…」



「使い方って程でもないんだけど、ただ日記を書くだけ。でも日付は未来のものにして使うの。今日は5月15日でしょ?だったら明日起こって欲しい事を5月16日の日付で書いて、1週間後に起こって欲しい事は5月22日の日付で日記をつける。それだけ。はい、何か質問ある??」



「…はい」


と言って私は小さく挙手をした。



「はい、何?」


「その日記って…毎日書かなきゃいけないの??」




「そんな事はないわ。でも、毎日書かなかった人はいないと思う」


そう言った日記の声は…どこか寂しそうで悲しそうに聞こえた。



「はいっじゃこのノートの基本ルール!!」




そう思ったけど…やっぱり気のせいだったらしい。



「基本的に書いて24時間経ったらもう取り消しはできないわ。絶対に書いた事は消えない。これは最近できたルールだけど、未来日記は放棄したければいつでもできる。今だって断る事はできるわ。あなたは??」




私には断る必要もないし…実際目の前にいるこの未来日記を試したくなった。



「引き受けます」




すると何故か…沈黙。


私は何かいわなきゃいけない気がした。



「あの…書いてみていい??」



すると未来日記はページを開いた。



「気をつけてね…」


鍵穴が…小さな声でそう言ったのが聞こえた気がした。




しかし…書くと言っても何を書こうか??




私の手は5月16日と書いた所で止まった。



「そうだ!!」




そう一声だしてシャーペンを動かした。




5/16



授業が全部なくなる。




これだけ滅多にない事を書けば、証明できるだろうと思って日記を閉じた。


「とりあえず試用してみるって感じね」


また鍵穴をパクパクさして未来日記は言った。


これにも段々慣れてきた。



「…ねえ…その鍵穴なんのために付いてるの??」



未来日記を指差して言った。



「あぁ…これは私の魂を宿してる場所でもあるし…口でもあるから無かったら困るの。鍵は必要ない。私が認証するだけだから。でも、所有者の使おうとする意思に私達は逆らえない」




へぇ…なんか結構奥がふか…??




「私達って??」



なんで複数系?



「未来日記って1冊だけじゃないのよ。宿せる魂の数だけ日記は存在する。って言っても世界には数十冊しかないけれど」




さっきから魂、魂って言ってるけど…。


彼女って一体何者なんだろう。


彼女は未来日記自身じゃないの?




「ストップっ私が言えるのはこれ位ね」




「えっ!?」



「こっちにもプライベートってもんがあんのよ」


そう言って日記は伏せるようにして向きを変えた。



「えぇーもっと聞きたい」



「んじゃちょっと答えてあげる」




「じゃあ…あなたの正体は?」



そう聞くと、日記は押し黙った。



結構沈黙が長かったので、私から口を開いた。




そう聞くと、日記は押し黙った。



結構沈黙が長かったので、私から口を開いた。





「あの…」



「それは答えられない。別の事を聞くことね」




どうせ同じ事を聞いても答えてくれなさそうだった。


「じゃ…なんで私が選ばれたの?」



「そんなの知らないわよ。私が決めた事じゃないし。日記の最高責任者で製造者でもある人が選んだから」




「ふーん」



最高責任者で製造者…ねえ…。




「わかった?じゃ私寝るから」



「えっあなた眠れるの?」




「私だって魂は普通の人間よ!!ただ魂が入ってるのが日記なだけ」



なんかその魂ってのが負におちないんだよな…。



「じゃあ…あなた名前あるの?」




日記は眠ってしまったのか何も喋らなくなってしまった。


「愛里ー!ご飯よ!!」


下から母さんの呼ぶ声が聞こえたので私は椅子から立ち上がった。




「由香…昔はそう呼ばれてたっけ……」


日記に背を向けた時……そんな日記の切ない呟きが聞こえた。



独り言だったのかもしれないけど…私は彼女を『由香』と呼ぶ事にした。





次の日私は当然のように学校に向かった。


途中で美華にあったから『未来日記』の事を話そうと思ったが…やめた。


美華の事だからたちまちその噂は広まってしまうだろうと思ったから。



それでも、寝ぼけていたせいか、学校に行って授業を受けるのが当然だと思っていたせいか、私は昨日日記に書いた事をすっかり忘れていた。



ホームルームが始まる時間になっても先生はこなかった。



その時、私は日記に書いた事を思い出す。


『授業が全部なくなるー…』



まさか…ね…。


でも…日記が喋るって事自体ありえないし…。


何が起こっても…おかしくない。




その時教室のドアが開いた。


ざわめきがピタッと止まる。


ほら…やっぱりあの日記は嘘だ。


あの日記も何かのおもちゃだろう。



そう思って入ってきた人を見ると……


全校集会とか、何かの行事でしか見掛けない事務の先生だった。



その人はわけのわからない、信じられないと言った動揺の色が隠しきれてなかった。



「えっと…」


と言って手にもっていた紙を読みあげだした。



「担任の山崎先生は今日家庭の都合でこれません。副担任の田中先生は、インフルエンザでお休みです。それから…」



国語の松下先生。

数学の川合先生。

英語の西村先生。

体育の木村先生。

理科の木下先生。

それからー…




と言った感じで事務以外のすべての先生の名前が読上げられた。



「ー…皆、お休みです。今日はもう帰りなさい」




と言って事務の先生は走って教室を出ていった。


教室はすぐに歓喜の声で溢れた。



私はただ呆然とそれを見ていた。


間違いない…あれは……未来日記は本物だ。




家に帰ってすぐに階段を駆け上った。


アルファベットで

「ERI」

と書かれた部屋のドアを勢いよくあける。


そこには昨日と同じ位置に日記がおいてあった。



「驚いた?」


日記の…由香の声がした。



「凄い!!先生みんな休んじゃった!」




「そういう事。この日記は本物だから」


なんだろう…凄くワクワクする。

もっと…この日記を使ってみたい。


もっと…自分の思い通りの世界にしたい……。




「ねぇ!由香もっと書かせて!!」


由香は少し躊躇したが、ページを開いた。



「これって今日の未来の事は書けないの?」


「詳しい時間さえ書けば可能よ」






ふぅーん、と生返事をして時計をみた。



今の時刻は10時37分。



今日は授業がなかったからまだ昼前だ。



私はすこし考えて手を動かした。




5/16

11:00


梶村 菜々子が家にやってくる。






梶村菜々子とは…私の大好きで憧れのたった一人の歌手。

シングルやCDはいつも必ずオリコン1位を取る。


私もその貢献者の一人で、CDの発売日には必ず買いに行く。



私は梶村菜々子に会える事を思うと、興奮してならなかった。




「ベタな願い事…」


由香のその言葉を私は聞きのがさなかった。



「なっ何よ!いいでしょってか勝手に覗かないでよ!!プライバシーの侵害!!」



「はいは‐い。まっいい結果になるとは思えないけど‐」



どこか意味深な由香の声。


それを無視して私は梶村菜々子が家にやってくる事を思い描いた。



梶村菜々子の歌は人を引きつける力をもっていた。

だからいろんなジャンルの人からの人気を集める。

私もその内の一人になる。

しかも梶村菜々子は総統な美人であって、モデルや女優もやっている。


そんな彼女でもまだ18歳!!

私とあまり変わらない年齢だ。





『ピンポーン…』


そんな事を考えているとチャイムがなった。


時計を見るともう11:00。

私は急に早くなった心臓の所な手をあて、1回だけ深呼吸をした。


そして階段を1段跳ばしで駆け降りてドアノブに手をあてた。



そしてゆっくりドアを開く…。



するとそこには…間違いなく梶村菜々子がいた……けど



テレビで見た事もないような不機嫌な顔。


「あんた誰??」


私の目の前で梶村菜々子が言う。



「えっと…松原愛里…です」


「あんた私の知り合いだっけ?」


「いぇっファンなんです!!」



「ふぅ‐‐ん。あっそう」


そう言って梶村菜々子はタバコをくわえた。



私は驚愕した。

だってまだ未成年じゃ…。


「梶村さんって…未成年じゃ…」



「あっ!?何いっちゃってんの?あっそっかぁ…テレビとかネットじゃ18かぁ。いっとくけど私25だから」





25…歳??


若いけど…騙してたの?



「あぁサインしてやるからこの事はだまっといて」


煙を吐いて梶村菜々子は玄関に置いてあった手頃な紙にサインした。



「じゃっなんでここにきたか知らないけど帰るわ」


と言って私にサインを渡して帰っていった。



私は梶村菜々子の背中が消えるまでずっと放心状態でみていた。




「ねっ。そんなもんよ。人は見かけ程できちゃいないの」



私は無意識に部屋に戻っていて、由香にそんな事を言われていた。


私は日記を書く気になれず、布団にもぐった。



ショックが大きかった。

あの人は私の人生の目標だったから……。


布団の中でふけっていると、今はあまり聞きたくない梶村菜々子の着うたが流れた。



着信音かえなきゃ…。


もう…あんな人思いだしたくない。



布団から携帯をとり、開くと美華から着信だ。



「もしもし??」



「あっもしもし?愛里?今から遊ばない??」



正直…そんな気分じゃない…でもまぁ……家にいても暇だし。



「うん…どこで遊ぶ?」





「なんか愛里テンション低いぃ!○○駅で1時に待ち合わせねっ!」


異常に元気な声で美華は言った。



「わかったぁ…。じゃまた駅でね」


と言って私は電話を切った。



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