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SUPER‐LOVE  作者: 黴菌
2/3

MEMORY 後編



由佐said



私はいつの間にか眠っていたらしい。



日付がかわっていた。



後三日なんだな…。




そう思うと竜也が気になって竜也の部屋に向かった。



ノックをする。



…が返事はない。




すこしドアをあけて覗いてみると、竜也はベットに座ってこちらに背をむけていた。



「なんだ…いるじゃん」




そう言って中に入ると竜也がこっちを振り向いた。




泣いていた…。



私は竜也が泣いたのを初めてみた。



「なんで…黙ってたんだ」




胸が締め付けられた。



「なんの事…」



もうわかってる…でもしらばっくれた。



「知ってたんだろ?俺の病気の事!!この旅行だって最後の思いで作りなんだろ!?また来る事なんてできねぇんだろ!?」




「…竜也は…どうするの?」



俯いて私は聞いた。



「俺は……」



竜也の言葉が詰まる。




「竜也…記憶を消して」



「…由佐は寂しくねぇのかよ?」




…怖いに決まってるよ。


好きな人に忘れられるのは…。



でも…




「寂しいよ?でも…竜也には生きていて欲しいの…」



「由佐…」




「ごめんね……疲れたでしょ?ゆっくり休んでね」



震える声で言って私は部屋を飛び出した。




そこで竜也の両親とお姉さんに会った。




「なんで…竜也が知ってるんですか?」



息を切らしながら聞いた。




「多分…雨季ちゃんね」



お姉さんが答えた。




雨季ちゃんとは…竜也と仲がいい女の子だ。



「雨季ちゃん…つらかったんだろうな……」



私がボーっと呟く。



竜也は優しいから…。



生きていた方が…いいんだよ。




翌日…



眠らないまま朝がきた。



後二日。




ロビーに行くと竜也の両親とお姉さんがいた。



「明日…記憶を消すから……今日が最後ね」



お母さんが腫れた目をして呟やく。



「そうだな」



無口な竜也のお父さんがいう。



竜也はまだ風邪を引いている。



私は自分の部屋に籠って、竜也から貰った小さなサクラ貝を見ていた。



竜也との思い出がめぐる。



竜也と初めて話したのは入学式の次の日。


「ハンカチ落としたよ」


「ありがとう」



そのやりとりがきっかけで、私達はよく喋るようになった。



夏休みに入る直前に、竜也に告白された。



「本気で好きだから付き合って下さい!」




不器用な竜也の不器用な告白は、嬉し涙がでるほど私に伝わりました。




そんな事も忘れてしまうの?


「由佐…」



ドアの向こうで竜也の声がした。


ドアを開くとそこには案の定竜也がいた。



「竜也…どうしたの?」




「行こう…」



竜也は私の手を握った。



あまりに弱弱しい力で涙がでてくる。




私は竜也のかわりに竜也の手をひいていった。




ロビーで竜也の家族と出会う。




「待って!何処にいくつもり!?竜也は熱があるのよ!?」



竜也のお母さんがいった。




「でも…時間がないんです!これが最後なんです!!」



立ち止まって私は言った。




「でも…」



「母さん…いいんだ。俺も最後の思いでを作りたい。」



その言葉を聞いて、私は竜也の手を握る力を強くして走った。




外はいつの間にか赤く染まっていた。



砂浜に着くと竜也は下を向いて咳き込みながら息を整えていた。




「竜也…大丈夫?顔…あげてみて」



竜也は顔をあげた。




「綺麗…」



目を輝かせて竜也がいった。



海を見ると、ちょうど夕日が隠れる頃で空も海も赤くて綺麗。





「私これ…竜也に見せたかったんだ」



「こんなの…今までみた事ねぇよ。ありがとう!由佐!」




またあの笑顔で竜也は言う。


そんな彼を見るとやっぱり涙が出てきた。


竜也はそれについて何もいわなかった。

竜也なりに気をつかったんだろう。



「竜也!由佐ちゃん!!」


向こうから竜也の家族全員がやってきた。




「竜也!」



「母さん!まだ戻らな…」


竜也がそれを言い終わらない内に竜也のお母さんが竜也を抱き締めた。




「目に…焼き付けなさい」


涙声でそう言いながら…。




空は黒みを増し、星が輝きを放ち始め、夜が訪れた。




「あっ見ろ!流れ星!!」



竜也のお父さんが空を指しながら言った。



「えっ何処何処!?」


竜也のお姉さんが楽しそうに言う。




「ほらあそこ!!」


ー…竜也…竜也はあの日の流れる星に何をお願いした??



私はね……




ー…



次の日、竜也と竜也の家族と病院に行った。



これが…本当に本当の最後になるんだ。




竜也はベットに横になった。



「竜也君…君はどうする?」


竜也の担当医が言った。




「…忘れたくない」


「竜也…」

竜也のお母さんが悲しく囁く。



「でも…俺は…みんなのために生きたい。せっかく貰った命を自分の手で捨てたくない」




「記憶を消すんだね…さぁ…これを飲んで…」



医者が竜也に何かの薬を手渡す。


きっと記憶を抹消するものだろう。



「これって…」


「何も心配する事はないのよ、竜也」



お母さんが竜也に優しくいう。



「ちょっと待って…最後に言いたい事があるんだ」




「母さん…いつも優しくしてくれてありがとう」



竜也のお母さんは泣きながら頷く。




「父さん、俺をいつも楽しくしてくれてありがとう」



竜也のお父さんはもう涙を我慢しなかった。




「姉ちゃん、いつも相談にのってくれてありがとう」




「いいのよ…」


優しい笑顔で竜也のお姉さんは言う。




「それから…由佐…俺はこれからも君以外愛さないから」



「私だってよ」



なるべく元気な声で泣きながら返した。




「俺は幸せだった…。こんな素敵な人の中で生まれる事ができて…」



そういって竜也は医者から貰った薬の蓋をあける。






「さようなら、父さん母さん姉ちゃん、そして由佐……」



「さようなら…竜也」



私がそういうと竜也は一気に薬を飲んで倒れた。




「竜也!」


竜也の家族が叫んだ。



「心配はありません。記憶を消去する時は皆こうやって倒れるのです」



医者が冷静ともいえる態度でいう。



「これが最後なのか…」



竜也のお父さんの…悲しい呟き…。




「最後じゃないよ」



倒れたまま竜也がいった。




「始まりだ…また…俺達は出会うよ」



「でも…竜也に話しかける事はできないのっ!私が…竜也の恋人だって事も…竜也の家族を竜也の家族と言ってあげることも!」



次々溢れてくる涙をごまかすように私は叫んだ。




「いいじゃないか…わからなくても……父さん母さん姉ちゃんは俺の家族で…由佐は…生涯俺が一番愛した人間だったんだから…」




もうみんなは声をあげて泣いた。



「ありがとう……みんな…本当に…みんなに出会えてよか……」



そう言って竜也は眠った。


そして私を知ってた竜也は消えた。




「おやすみ…竜也…私もあなたに出会えてよかった…」




ー…あの後竜也は親戚の家に運ばれていった。


それが…彼をみた最後だった。

そして…竜也がいなくなって…ちょうど5年が経とうとしていた。


そんなある日の事。





「あら!由佐ちゃんじゃない!久しぶり!!」



外を歩いていると懐かしい竜也のお母さんに会った。




「お久しぶりです…。雨季ちゃんのお葬式ですか??」


私は竜也のお母さんの喪服姿を見ていった。



「ええ。竜也の大切な友達だったから…竜也の代わりにね」



「私も…部屋探しが終わり次第行きます」



「わかったわ」


竜也のお母さんは小さく頷いた。



そうして竜也のお母さんは曲がり角へ消えていった。



それと入れ替わりに友達の早紀がやってきた。



「由佐ぁ!!」



「早紀!ゴメンねぇ付き合ってもらっちゃって」



部屋探しを手伝ってくれるよう早紀に頼んだのだ。




「いいのいいの!行こう??」


そうして私と早紀は電車に乗って懐かしい田舎ついた。



「でもさぁ…由佐も変わってるね。こんな田舎に住みたいなんてさぁ…」


早紀が少し笑いながら言う。



「だってここら辺私の好きな場所がいつだって見えるんだもん!!」



「あぁ…海の事ね」


そう…竜也と一緒に来た大好きな海。


流れ星にかけた願いを今でも覚えている自分が阿呆らしい。



「じゃっいこっ!」



「うん!」



そうして歩きだすと向こうから3人の男が歩いてきた。




「次どこ行こうか?」



「うーん…どうする?竜也」



すれ違った時その名前が聞こえて私はつい立ち止まってしまった。



「あっ海で遊ぼうぜぇ!」




そう言った男は私に気が付いて振り替える。




その男の瞳は…なんだか懐かしい。



「どうした?竜也?」



男の友達が心配して聞く。




「由佐…?どうしたの??」



早紀の声に私はやっと目が覚めた。



「ゴメンゴメン。ボーってしてて」



「もぅいっつもなんだからぁ!いこ!!」



そうして私は早紀に手を引かれていった。




その時…後ろから微かに男の声が聞こえた。



「懐かしい人に会った気がした」





私は…あの日流れ星にこんな事をお願いしました。




「竜也の記憶が消えても…微かにでも確かに私の事を覚えててくれますように…」




これで…よかったんだ。



私達はそれぞれに違う道を歩んで、それぞれの幸せを見つけた。


多分…これから先…私が彼の恋人だと明かす事は決してないだろう。


でも私はそれでいいと思う。

竜也が幸せなら…もう話す必要なんてないもの。


ねぇ…そうでしょ竜也…。


あなたに会えて…本当に良かった。




あの日あなたに貰ったサクラ貝は永遠に私の宝石になるでしょう。




さよなら…大好きだよ、竜也…。







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