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SUPER‐LOVE  作者: 黴菌
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MEMORY 前編

この物語は友達に聞いたものです。

友達が作ったのかはわかりませんが、とても心に残った話だったので、私なりのアレンジを加えてここに書き残します。




竜也に『それ』が手をのばしたのは2年前だった。



ー2年前……


「由佐!!次何乗る?」



高校1年にもなって子供みたいな顔で竜也は言った。


竜也と私は今年付き合い始めて、今日は初めてのデート。


「お化け屋敷はいろうよ!!」


私も竜也のテンションに乗っかって言った。


この日は、最高な1日になるはずだった。



「おっし!じゃあ行こうぜ!!」


竜也が私の腕を強引にひっぱっていった。


「竜也痛いよぉ」



その言葉が届いたのか竜也は止まった。


…のかと思った。

次の瞬間竜也は前のめりになって倒れた。


「竜也!?」

私は焦ってかけよった。


竜也の意識はなかった。

誰かが救急車を呼んでくれて、私は意識のない竜也と一緒に病院へ行った。



連絡を受けたのか、竜也の両親と姉がいた。


「先生!竜也は??」

医者が来ると、すかさず竜也のお母さんが聞いた。



すると…医者から衝撃的な言葉がでてきた。



「そんな…先生…何かの間違いですよね??」

竜也のお母さんが涙声で言った。


竜也のお父さんはずっと下を向いていて、竜也のお姉さんは泣いていた。




私はそれをボーっと見ていた。



「だって…あの子…すごく元気な子で……。」



「お母さん、落ち着いてください」



医者が冷静に言い放つ。



「だって……竜也は一体…どうなるんですか?」




ー2年後…


あの日の事は忘れられるはずがなかった。

竜也とはずっとずっと一緒にいられるってそう思ってたから、今でもあの日は夢だったように思えるんだ。



「由佐?」


聞き慣れた声に顔をあげる。


「部活終わったから、帰るぞ。」



竜也だった。



「うん。」



二人でトボトボと帰った。


「なあ、あさって家族旅行行くんだ。由佐も一緒に行っていいらしいから行こうぜ!!」



その誘いは、ある時が近付いてきている証拠だった。


もう…そんなに経っちゃってたんだ……。



「由佐?」



「あっうん行く行く!!楽しみだなぁ」



そう返したけど…頭の中では全く違う事がくりかえし巡っていた。



竜也の病気の事。



あの日医者はこんな事を言った。



竜也は普段の生活には支障をきたしていないが、脳に障害があるらしい。

それが2年前のあの日に姿を表わしたのだ。


竜也は……記憶を消さないと死んでしまう。


それは今すぐと言う話ではなかった。



それでも、あの日から2年近く経って今、その時がすぐそこまできたのだ。



竜也はまだそれを知らない。


自分の病気の事さえ知らないのだ。

だから……竜也にはまだ

「記憶を消す」

「死ぬ」

かを聞いていない。




「じゃまた明日な」


竜也のその声でもとの世界に引きずりもどされた。



「うん。バイバイ」


そう言うと竜也は去っていった。


私は家に入って、すぐに自分の部屋に閉じこもった。



いつ?


竜也は…いつ…何処へ行ってしまうの??



最近はそればかり。


だからまともに眠れない。

毎日目の下にはクマができていて、私は竜也にバレないようにいつもファンデーションを塗った。



「由佐ー!竜也君のお母さんから電話よ!!」



部屋の外から母さんの声が聞こえた。



私は軽く返事をして、少し緊張しながら電話にでた。


「もしもし…」



「由佐ちゃん?竜也から旅行の件は聞いた??」


やっぱりそうなんだ…。



竜也は…もう…。



「聞きました。竜也…いつなんですか??」


主語のない質問を竜也のお母さんは理解したようだった。


「後一週間なの」



短い。

そんな短い時間で私の決心がつくなんて到底思えなかった。



「お母さんは…どうする気ですか??」



少し間をあけて竜也のお母さんは言った。


「私は…竜也の記憶を消すつもり。親戚に育ててもらう気よ」



「嫌です…。記憶を消したら…竜也にはもう会えないんですか??」



受話器から鼻をすする音が聞こえた。


「また再発する恐れがあるから…それはできないの」




「どうしてですか?なんで竜也の記憶を??」



「そうしないと竜也は死ぬの!!」


そんな事は…わかってる。


でも…素直に受け止められるはずはなかった。



「竜也が生きるためなのよ……」


竜也のお母さんの泣き崩れる音がする。


きっと1番つらいのは…竜也の家族なのに…。



「ごめんなさい…では」



そう言って私は電話を切った。



そして泣き崩れた。


なんで竜也なの??



どうして私の愛した人なの?


その叫び声は私にしか聞こえなくて、私にしか理解できないものだった。





また眠らずに朝が来た。



明日から夏休み。


いつもなら嬉しかった大連休も今では何の意味もない。



でも、これが最後…なんだ。



私は…竜也のために…自分をごまかすために楽しまなくちゃいけない。


そんな事を考えながら学校に向かった。



暑苦しい終業式を終えて、すぐに下校時間となった。


竜也のくる学校も…これで最後なんだろう。



竜也が記憶を消せば、竜也は遠い遠い所へ引っ越す。


竜也と歩く帰り道もとても貴重に思えた。



「明日、朝9時くらいに迎えにいくから」





「うん。楽しみ!」


自分の感情とは裏腹にただそう言っておいた。



「おう!じゃな!!」


そういって右手をあげたまま竜也は帰っていった。



当然眠れるはずもなく、目をあけたまま一夜をあかした。


昨日の夜に用意しておいた荷物を確かめてご飯を食べた。


食欲はわかなかったが、食べないと心配されるし。



あれからもう2日経ってしまってる。



後…5日か……。



そんな事を考えてると、家のチャイムが鳴った。


時計を見ると9時前だった。


私は荷物を持って玄関のドアをあけた。



「おはよー!!」

竜也が満面の笑みでそこに立っていた。


不思議とこっちまで顔が緩んでしまう。



そして私は竜也の家の車に乗った。


「今から何処行くと思う?」


竜也がワクワクした顔で聞いてきた。



そういえば…まだ聞いてないや。



「えぇ何処何処??」



「海!!よく考えたら俺あんま海行った事ねぇから!」


ちょっと意外。

竜也だから遊園地巡りとかするんだと思ってた。



「竜也の事だから遊園地巡りとかだと思ったでしょ??」


竜也のお姉さんが悪戯っぽく聞いてきた。


「ヒデェ!!なんだよそれぇ〜」


竜也がそう言うと車内は笑い声でいっぱいになった。



私も一緒に笑った。




そんなやりとりをする内にいつの間にか目的地に到着。



ホテルに荷物を置いて真っ先に海に向かった。




海には結構人がいた。


私は泳げないので浜辺でお城を作ってみたり、貝を探したりしていた。



「泳がねぇの?」




上を見上げると竜也がいた。


「泳げないの!!」




そう私が言うと、竜也はふぅーん、と言って私の隣りに座った。



「竜也…泳がなくていいの?」



「由佐が泳げないなら俺は別に泳がなくていいよ。無理に泳がせようとも思ってねぇから安心せい」



そう言って竜也はポンと私の頭に手を置いた。




私はそのまま顔を伏せた。



顔が赤くなったし…

なによりも……泣いてしまいそうだったから。




「あっ由佐!!見ろよコレ!」


竜也が子供のような声で言ったので顔をあげた。



竜也の手には小さい小さい綺麗なピンク色の貝殻。



「サクラ…貝?」




「おう!お前にやるよ!!」



竜也は私の掌にその小さな宝石をチョコンと置いた。




「ありがと…」



もう涙をたえる事はできなかった。



「どうした!?」


竜也が目を真ん丸にして言った。


「ううん…砂が目に入ったの」






目をこすって竜也に笑顔をみせた。



上手く笑えてたのかな?




そうして楽しい時間は過ぎた。






次の日になって、竜也との時間が減った。



残り四日……。


竜也は熱を出した。




「ゴメン…せっかくの旅行なのに……」



これはきっと…竜也の病気によるものだろう。



「まだ旅行は四日もあるじゃない!!」



なるべく元気な声で言った。



「そうだな…来ようと思えばまた来れるんだもんな」



その言葉に胸が痛む。



「また来ようねっ!」



今は…きっとそう言うしかない。




その時ドアが開いて竜也のお母さんが入ってきた。


「竜也、病院にいくわよ」



「うん。じゃっ由佐、また後でな」




竜也は弱弱しくそういって竜也のお母さんと一緒に部屋から出ていった。




私は一人で泣いた。



悲しくて。哀しくて。




竜也said



俺は母さんに連れられてよく来る病院に行った。


なんか由佐、元気なかったなぁ。



検査を受け終わって、母さんは

「待ってて」

と言ってどこかへ行ってしまった。




「竜也君?」



振り向くと、昔倒れて入院した時に会った雨季がいた。




「久しぶりぃ」



俺がそういうと、雨季は笑顔で車椅子に乗って俺の横にきた。



「今日はどうしたの?」




「ちょっと風邪ひいたんだ」


笑って俺は言った。




「やっぱり…もうその時がちかいんだね」



雨季が呟いた。



「どういう意味?」



俺が聞くと雨季は目を真ん丸にしてこっちをみた。



「まだ知らないの?」




「うん…?」



「竜也君…病気なんだよ」




…は?




「竜也君は選ばなきゃいけないんだよ」







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