奇形
豪雨がナイフのように
容赦なく降り注ぐ真夜中
ある1人の"ナニカ"が
奇形しかない花園にぽつんと立っていた
その花園はもう手入れされてないほど
くたびれてるのに
花だけは立派に咲いていた
世の中から"奇形"と呼ばれ
怖がられたり気持ち悪がられたりしてる
奇形の花たち
だがその実態はただただ立派に咲いてる花だった
そしてその立派に咲いている花たちを
横目に青いナニカは
花園の外れにある
これはまた奇形の桜を見ていた
奇形なはずなのに
真夜中だからなのか普通の桜のように
綺麗に咲いてるように見えた
いつの間にか豪雨は止み
次は優しい雨が降り注いだ
体全体を優しく撫でられるような感触を感じながら
青いナニカはまた
奇形だらけの花園を回る
表情は読み取れない
ただただ存在だけがそこにいるような
だがその青いナニカは笑っている
何も移さない瞳を宿しながら
そしてある奇形の花に目が止まる
その花は葉緑素を持たない
ひときは奇形な花だった
その花ももちろん奇形で
『ユウレイタケ』とも呼ばれている花
青いナニカの目に止まった理由は
その名の通りの白い花で
青いナニカの仲間を連想するから
その時青いナニカは初めて感情を表した
だがその感情はここから出たくない
そう言ってるような感情だった
雨は完全に止み
雲から小望月が顔を出す
小望月は満月になる前
でも満月には届かない欠けた存在
少しだけ青いナニカに似てる存在
そんな存在が雲から少しだけ顔を出した
それを見た青いナニカは
『もうお別れか』
そういい、花園を惜しみながら出る
『また見せてよ』
また来るような言葉を残し
花園を去る
その背中を
奇形しかいない花園にいる花たちは
見送るような暖かい風が吹き
嬉しそうにする
まるで風が吹いたから手が振れた
そんな嬉しさが
花園を
奇形の花たちを
真夜中の雰囲気を
漂わせた
そして青いナニカは、また
奇形しかいない花園にやってくる




