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次の人生では、絶対に死にません。  作者: 真夜中20時


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6/7

悪女系の定番

夜の舞踏会に向けて、家の中はみんな支度でばたばたと忙しかった。

かくいう私も、ドレスだのメイクだので気づけば一時間は軽く過ぎていた。


私の後ろでは、メイドたちが私を着飾るのに必死だ。


「オリビア様。ネックレスなのですが、サファイアかルビー、もしくはパールにいたしましょうか。深緑のドレスですから無難にパールでしょうか。でも自然を思わせるサファイアも……いえ、対比としてルビーも……本来ネックレスとは――」


ミラの話が終わりそうにないので、横から口を挟む。


「無難にパールでいいんじゃない?」


「わかりました! パールにしましょう!」


ミラが私にネックレスをつけてくれる。

鏡に映るオリビアは、やっぱり綺麗だった。端正な顔立ちに、深緑のドレスがよく映える。

私が男だったら真っ先に狙うわ、これは。


「オリビア様、とっても素敵です! きっとユリウス様も褒めてくださいます!」


ユリウス。

セリシア公爵家の長男で、オリビアの婚約者だった男だ。

彼に一目ぼれしたオリビアが無理を言って婚約にこぎつけた。


本来、侯爵家から公爵家へ婚約の申し入れなどできる立場ではない。

けれど“聖女”となれば話は別だ。


聖女は、厄災が現れたときにそれを祓う力を持つ存在。

聖女の血筋は貴族にとって価値が高い。

そのため、聖女の子孫であるオリビアには、それだけの“特別”があった。


「今日は誰にエスコートしてもらう予定ですか? やっぱりいつも通りファビアン兄さん?」


ミラがにやにやしながら聞いてくる。


「いいえ、今日はユリウス様がエスコートのために来るそうですよ。セリシア公爵家のパーティーですし、大切なことを伝えたいとか」


「大切なこと?」


「はい。ユリウス様がそう仰っていたそうです」


大切なこと……何かあったかしら。

思い出そうとしても、どうしても思い出せない。

まあ、なんとかなるでしょ。


一時間後、ユリウスがフェルセン侯爵家に迎えに来た。


「オリビア、迎えに来たよ」


そう言って、彼は手を差し出す。


「ありがとうございます、ユリウス」


私はちょこんとその手を取る。

ユリウスは馬車まで丁寧に案内してくれる。


……こういうときの“淑女扱い”だけは完璧なのよね。

外面だけは。


馬車の扉が閉まると、ユリウスはすぐに私の手を放した。

そして向かいの席に座ると、つないでいた手をハンカチで拭う。


「今日はいっぱい質問してこないんですね」


「ええ、今日は特に気になるところがないので」


手を拭うってことは……私が汚いとでも言いたいのかしら。

やっぱりこの男、嫌い。


馬車は静かに公爵家へと走り出した。


やがて馬車が止まり、公爵家に到着した。


扉が開くと、夜の冷たい空気が肌を撫でる。

けれど胸のあたりのほうが、もっと冷えていた。


ユリウスが手を差し出すが、私はそれを無視して自分でドレスの裾を上げ、静かに降り立った。


会場の入り口からは、煌びやかな光と笑い声が溢れ出している。


そして、舞踏会の中盤。

ユリウスは皆の前に立ち、淡々と言った。


「この場を借りて――フェルセン侯爵令嬢オリビア様との婚約を、ここに解消する」

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