大地の感触
陽キャの男子が家に帰るために必死に努力する、異世界ファンタジーです。
ぶっつけ本番で設定を考えて行くので矛盾点があったら指摘してくれるとありがたいです。
多分直します。
ーー風の音が煩い
鼓膜に響く音の正体は空を貫く自分の音だった。
「あれ? なんで俺飛んでるんだ?」
飛んでいるのではなく落下していることに気づくのは陸が見えてからだった。
左側に栄えた街が見える。
右側には鮮やかな海が見えた。
そして自分が落下するであろう中心には雄大な木々が広がっていた。
何故こうなったのか、時間を少しだけ遡ってみよう。
ーーーー
「眩し!?」
真っ赤な太陽に目を潰されかけた。
呆れるほど清々しい朝に透は深呼吸を挟んだ。
このイケメン高身長コミュ強の人生勝ち組高校生は佐々波 透。
この適当な説明でも分かる通り学校では毎日告白が来るほどにモテモテである。
いつもの様に学校へ行くため駅へ向かっていると、謎の穴がある事に気付いた。
思わず立ち止まり近づいてみると、穴の先には青空が広がっていた。
「こっちの空も快晴で気持ちが良い!」なんて考えていると、突然目眩がしだした。
バランスを崩し前に足を出したとき、そこに足場は無かった。
右足が落ちたのを皮切りに身体を全て持っていかれ、そのまま穴に落下してしまった。
「どうぁぁぁぇぇ!?!?」
混乱の二文字が頭の中を駆け回り、一段落ついた時咄嗟に下を向いてみた。
ここで最初に戻ろう。
トオルは空を派手に落下していたのだ。
どうにか木をクッションにして着地しようと考えていると枯れ葉が集まっている天然のクッションを発見した。
「見つけた! あそこに着地だぁぁ!」
声は風に掻き消されたが、想いは枯れ葉に届いたようだ。
透は完全にクッションに狙いを定めて、吸い込まれるように落下していった。
ーーーー
グシャッと枯れ葉の潰れる音が響いた。
いや骨の砕ける音も共に鳴っていたかもしれない。
透は音の正体を突き止める前に強烈な痛みが足の方に走っていった。
耐え難い激痛には少し懐かしいような雰囲気を持っている。
それは中学生の時、ボウリング場で友達とふざけて球を全力で蹴ってみた時のこと。
「いくぜ! せーの!」
脚を勢いよく振った直後。
鈍い音が響く。
友達は唖然として苦しむ透を見ていた。
その後すぐに店員が気づき救急車を呼んでくれたため、早めに病院に運ばれていった。
そんな苦い思い出を噛み締めつつ自分の足をみると脛がありえない方向に曲がっていた。
「ーーー…」
透は絶望した。
初めて地を踏む環境で自分の足は使い物にならない事を知り何度も絶望した。
透は血の気が引く感覚を生まれて初めて味わった。
自暴自棄になり足に向かって「治れ!」と叫んだ時足を押さえていた手から緑色の光が放たれた。
その光は見ていると安心する。
そんな光だった。
忽ち足は再生していき、完全に元の姿に戻った。
謎の力を使えることを知り手と足を五度見程度繰り返したあと別の問題に気づいた。
これ…どうやって帰るん?