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2023年11月

 目覚まし時計の音が僕の耳をつんざいた。やり方のない怒りを抱きつつ、頭の上に手を伸ばす。枕に顔をこすりながら何とか立ち上がろうとするが、起床と同時に軽い腹痛が僕を襲った。直後、二度目のアラームが無情にも鳴り響いた。「近所迷惑……」と小さく呟いて、アラームを解除する。時刻は深夜1時6分。朝日を浴びて起きる、というような爽やかな目覚めとは程遠い。このまま二度寝をしてやろうか、とも思うのだが、社会はそれを許さない。「畜生が」と小さく呟きながら家を出る準備を始める。

 それにしても寒すぎる。埼玉の11月はこんなにも寒いのか、それともこの一連の味気ない日常がそう感じさせるのか、そんな事を考えながら家の扉を乱暴に開けた。新卒で物流企業に就職して、2年目の浅貝竜馬は今日も憂鬱だった。


 重い腰を上げ、何とか身体を動かす、体温がまだ残っている寝巻を脱いで、歯ブラシに手をかける。毎日、毎日同じルーティンで好きな音楽を近所迷惑にならない程度の音量で鳴らしながらまだ寝ている頭を必死に起こす。いつもの制服に着替えたら、戸締りをして、家を飛び出す。外の空気が冷えていて、11月はもう秋ではなく冬だと教えてくれる。呼吸をすると冷えた空気が肺に染みて少し苦しい。階段を1つ飛ばしで下りながら、自分の車に向かってキーを向けてボタンを押す。車に乗り込み、エンジンをかける。霜が下りてしまっているが、少し温めれば大丈夫だろう。センターまでは約7分。信号にひっかかったとしても9分って所だろう。コンビニに寄りたいから、そこから3分追加で13分になる。現在の時刻が1時40分だから2時前にはセンターに到着できると予想される。エアコンが本調子になったが、まだ出勤時間までは余裕がある為、スマホを開いて、物流管理システムのサイトを開きログインパスワードを入力して、本日の物量を確認した。そこには桁数がいつもより1桁多い。平時の2.5倍の物量が入力されていた。出勤時間を3時間早めたり、仕分け要員のパートさん・派遣さんを増やしたりしても絶望的な数字だった……。

 今から派遣さんを募集したら人はくるのだろうか。淡い期待を抱いても現実は空しくなるばかりなので僕は車を動かした。

 「いらっしゃいませー」僕が入店してから1分後にコンビニ店員の声が店内に響く。深夜バイトは基本やる気がない。学生時代のコンビニバイトしていた自分を思い出しながら品出しやら検品に追われている店員を後目にお目当ての物を探す。エナジードリンク、甘いもの、温かくしたらおいしいやつ……。中毒と化したエナジードリンク、毎朝、世の中の皆様が寝ている時間に起きている自分へのご褒美の甘いもの。もう冬だから暖かい何か。これは自分へのご褒美であり、贅沢である。20万ちょっとの給料で毎朝コンビニ飯は正直、高くつくがこれも自分へのご褒美であり、勤労感謝だ。それと昼のごはんも買っておくことにしよう。どうせ……昼休憩なんてあってないようなものだから……。


 車を走らせていつもの配送センターに着いた。埼玉県さいたま市北区に位置するこのセンターは、市街地から少し離れた郊外にある。大宮センターと呼ばれているが、大宮ときいて真っ先に思いつく首都圏を代表する主要ターミナルとはかけ離れた国道沿いのロードサイドから少し離れた場所にある。今朝、忘れず首からぶら下げたカードキーをかざしてセンターに入った。中規模センターではあるが、この時間帯は僕しかいない。これ以上、大きなセンターになると24時間体制で管理しなくてはいけなくなるらしい。中途半端に大きいので人員も少なく見積もられているせいで忙しい。それでも僕は朝の憂鬱を吹っ飛ばす為、仕事モードに切り替える為、「おはようございます。」と誰もいないセンタ-で無駄に元気良く、言い放った。今日が始まる。時刻は1時50分を指していた。

 センター内には埼玉県川口市、神奈川県川崎市等の日本有数の大規模物流倉庫で仕分けられたさいたま市および上尾市・蓮田市周辺の本日・明日に配達する予定の荷物がどっさり置いてあった。深夜、大型トラックの幹線便が何度も何度も荷下ろしをしていたんだろう。いつもより物量が多くて荷下ろしもするのも大変だっただろうなと荷捌き場を通り過ぎながら、業種は違えど同じ物流従事者に思いを馳せながら、荷捌き場の奥にある僕が会社と呼んでいる事務所に足を運んだ。

 電気・パソコン・エアコンのスイッチを押して、室温を一気に暖かくしたいので、暖房の温度を30度に設定した。先ほど、購入したエナジードリンクをコンビニの袋から出すとちゃんと冷えていて、ただでさえ寒いのであんまり嬉しくなかった。でも徐々に本調子になりそうなエアコンが頑張ってくれる事を期待してエナジードリンクの缶を開けて一気に口に含んだ。炭酸が心地よい。身体が急激に目覚めていくのを感じる。身体に良くないのは承知の上でついつい飲んでしまう。タイムカードを切って、パソコンに向かい、本日の8時から15時までのドライバーが配達する配送リストを作成していく。便利なものでAIでルーティングされていてほとんどは完成している。ただ、ドライバーの体調やスキルに応じて現場がうまく回るように少しだけテコ入れをする。そして、セールに入っていてドライバー1人1人の荷量が増えているので、それも把握していく。60台分の配送リストの確認と、ドライバーとセンター内の仕分けが把握できるように全体の配送リストを作成して印刷して貼り出し、ここまで約30分で片づけた。我ながら早業である。新卒の頃から毎日やっているので、身体に作業が沁みついている。

 

 さて仕分けだ。煙草に火をつけ、気分を入れ替える。エナジードリンクと煙草が口の中で心地良くセッションしている。ブラックコーヒーが飲みたくなったが、一旦エナジードリンクが終わるまでお預けとしよう。煙草の煙が強くなって至高のひと時が終わりを迎える。「戦闘開始だ!」自分を奮い立たせ荷物を引っ張りだす。パートさんたちが来る朝5時半までには3000個は仕分けてみせる。静かなセンターに段ボールがこすれる音とスキャナー音だけが響いていた。


 どのくらい時間が経ったのだろう。軽めの封筒から先に仕分けてたから数はこなせているはず…。カゴ車に入っている荷物をざっと見ると1000くらい。時刻は4時半。「全然ダメじゃん。」と煙草に火をつけて2度目の至高タイムに入る。今度はブラックコーヒーと煙草のセッション。彼女と午後3時に池袋で待ち合わせをしている。いける気がしない。ちょっと大変そうだから2時間くらいずらせる?とLINEを投げておく。勿論、既読はつかない。僕なりの予防線。防衛本能だ。退勤後、制服に着替えて車を大宮駅に捨てて、シャワーも浴びたい。どっちみち間に合わないなら先に言ってよって言われるのは分かってはいるんだから先手を打つのが吉だろう。残りの段ボールたちを仕分けていく、景気付けに音楽を流そう。東京事変でいいかな。「新宿は豪雨…」デートなのに豪雨になってたまるか。と大好きな歌詞にいちゃもんをつける。しょうもない事を考えながら僕は手を動かした。


 「おはよう!浅ちゃん!」1人目のパートさん降臨。この人は原田さん。ていう事は、今は5時15分か。「おはようございます。原田さん。封筒はだいぶ片しましたよ。」と笑う僕。「何時からいるの?相変わらずブラックだねえ。」と原田さん。乾いた笑いがセンターに響く。「とりあえず、皆くるのでワンオペ運用から20人運用にフォーメーション変えますか。今日パートさんが20人、派遣さんが18人、朝の入庫数は1万9000っす。昨日の残りが4000なんで結構やばめっすね。」と状況報告。「狂ってるよ!8時に終わらないよ!」と原田さん。「全然、帰っちゃって大丈夫ですからね。あくまでパートさん・派遣さんは8時までなので…」と僕が言いかけたところで遮るように「いいや。残る。今日は土曜日。本業ないんだよ。」と原田さん。「まじすか。有難うございます。」と僕はいう。ああ…また本社にいる係長に怒られる。パートさんに残業させんなって。


 そこからは一瞬で時間が過ぎた。次から次へとくるパートさん。仕分けをしながら一応全員来ているか確認する。遅刻者なし。OK。あと30分したら派遣さんが押し寄せる。時刻は5時40分。一気にペースが上がり、重量物が次から次へと消えていく。

 6時になり、派遣さん到着。「すいません…今日初めてで」おろおろするおばちゃん1名。「承知しました!主な流れでいいますと、流れてくるお荷物を番号順にカゴ車にいれる作業です。1番がきたら1番に入れるみたいな?簡単なんでやりながら慣れていきましょう!このフロアにいる方ベテランなんで近場の人にご不明点はきいてくださいね!」我ながら軽すぎるOJT。ただこれでいい。それ以上はないんだから。

 8時15分。仕分けが終わった。「浅ちゃん!俺の動き見てたか!終わったぞ!」と原田さん。「流石っす。大宮センターの朝の仕分け生産性、全国1位ですよ多分。」と僕。良かった。本当に良かった。ドライバーさんが続々と入ってくる。次は荷物の引き渡しだ。


 「おはようございます。」を60回はいう。なぜならドライバーさんが60人いるからだ。「アルコールチェックお願いします。」いつものルーティン。世間話をする者。荷物の多さの愚痴をこぼす者。僕のご機嫌伺いをしてくる者。多種多様の人間がいる。「荷物の積み方、悪すぎない?もうちょい動かしても大丈夫なとこに置いてよ。」この人はドライバーの上杉さん。「申し訳ありません。本日はセール開始日で新人も多いところがありまして今後、注意しますので…」と僕。「まあ、浅ちゃんが悪くない事くらい分かっているよ。ただ言いたかっただけ、いってくるわ!」と上杉さん。「いってらしゃい!安全運行で!」と僕はいう。いつも遅い上杉さんが出庫したなら、もういないかな…と倉庫内を眺めると58番目のカゴ車に荷物が沢山、積みあがっていた。「まじかよお…」思わず声が出てしまう。遅刻…。寝坊…。とんだ…?58番のドライバーの名前を見たら最近入った小林さんだった。どうしようもないので協力会社のリーダーに電話をかける。繋がらない。配車チームに電話を掛ける。「お疲れ様です。大宮センター浅貝です。本日、株式会社埼玉カーゴの小林ドライバーが来ていなくて、協力会社にも電話が繋がりません。1台手配ってできますでしょうか。」と僕。「えっ大宮!ドライバーがいないからなあ。分かった。探してみる。浅貝君は引き続き、協力会社に電話してて、繋がったら教えて。」と配車チーム係長の細貝さんは言う。「有難うございます!お願いします!」と電話を切る。あさがい、ほそがい、似てんな…。としょうもない事を考えながら、進捗報告に1台欠車を起こしています。午後便でリカバーする予定です。とそれっぽいことを記入して、全体にメールを投げたら…再度、協力会社に電話してみる。繋がらない。すうっと息を吸い込み、「いくそー!」と意気込んだら、社用のPCと携帯を持って、僕は強くアルコールチェッカーを吹いた。

「戦闘開始だ!」僕以外、誰もいないセンターはシャッターを閉め、僕が軽バンに乗り込んだ事で誰もいなくなった。


 1件目は浦和区高砂…うわ…浦和の駅前のコースか。最悪だ。一方通行が多くて苦手なんだよな。とりあえず、午前中指定の配達をしないと…。時刻は10時ぴったりで交通状況は悪くない。17号バイパスを走って大宮から浦和方面に車を走らせる。

 1件目、不在。幸先が悪い。2件目、手渡し。3件目、置き配。一応、正社員であり管理者だから誤配やトラブルは絶対に許されない。許されないというより、できない。毎日、誤配なく、事故なく、トラブルなく。と口癖のように言っている手前恥ずかしすぎる。4件目、表札のない新築戸建て、合っているはずと信じて置き配。5件目…6、7、8…17件を配達したところで携帯が鳴った埼玉カーゴの社長大久保さんだ。「お世話になっております。大宮センター浅貝です。本日、小林さんがきていなくて、御社で確認と他のドライバー様、手配できますでしょうか。」と開口一番に言う僕。「小林?あっれ川口に行くんじゃなかったっけ?大宮だっけ今日。」と小久保さん。アンタの会社の話だろ…という声を押し殺し、「本日は大宮センターで稼働になってます。川口センターで稼働かは確認しないと分かりませんが、現状として、小林さんが配達するはずだった浦和のコースがまるまる残っております。対応できますでしょうか。」と僕。「分かった。小林に電話してみる。厳しかったら俺が動く。迷惑かけて申し訳ないね。」と大久保さん。配車チームにも電話して、現状報告して僕は18件目の配達に向かった。

 時刻は11時を回った. 終わらない…やばい…配達完了は25件、午前中指定は残り、33…絶望的すぎる。携帯電話が鳴った。「お疲れ、聞いたよ小林のバカが飛んだんだって?今どこにいんの?」その声は上杉さんだった。「今、中浦和駅の近くです。正直きつくて…残り午前中指定が33あります。」と僕。「33?ダメじゃん。仕方がないから助けてやるよ。大久保さんも後からくるらしいよ。今、限りなく浦和に近い与野だからひと段落ついたら、行くわ。」と上杉さん。ひと段落っていつだろうと思ったら5分足らずで合流した。絶対、向かいながら電話してたじゃん…。って心の奥で思ったが言わない事にした。


 時刻は11時半、大久保さんと上杉さんに荷物を渡して、僕はセンターに帰った。センターに帰るとスキャナーの音が鳴り響いていた。

 「藤原さん、来てたんですね」と僕。「当たり前よ!12時まで待ってられるかよ!年に一度のビックセールだぜ!」と藤原さん。この人は僕と同じ会社に勤める藤原さん。とはいっても歳は20は離れている。僕が埼玉の親父って心の奥で読んでいる人物だ。「浅ちゃん、とりあえず携帯貸しな。朝から配達お疲れ様!コーヒー飲んで煙草吸ってから仕分け入りな!午後便も1万2000よ!震えるねえ!」と藤原さん。藤原さんの顔を見たら安心感から疲れが一気に来た感じがした。ブラックコーヒーと煙草のセッションをしたら午後便に備えて仕分けをする事にしよう。


 藤原さんと二人で黙々と仕分けをしている中、「浅ちゃん、12月のシフトはできたかい。」藤原さんが口を開いた「あ、大体、できてますよ。拠点社員の希望休通りに入れてます。あとは自分の希望休と拠点長の希望休を調整して…」と僕が話している事を遮るように「12月はなにがあるか分かるか?」と藤原さん。「11月・12月のセールとクリスマス商戦ですかね。」と僕。「おい!20代の若者が仕事一筋か!クリスマスだよ。ク・リ・ス・マ・ス!」と藤原さん。「いやあ…」と言葉を濁す僕。この会社に入ってから世間様のイベントは他人事だと思っている僕は、なんとも思えない気持ちになった。「いいか、よく聞け。物流現場は365日。さん・ろく・ごだ。クリスマスもお盆も正月もありゃしない。でも浅ちゃん、彼女いただろう。だから24日は休んでいいんだ。」と藤原さん。「24日は?」と僕が藤原さんにきくと、「12月の24日は恋人たちのクリスマス。25日は家族持ちのクリスマスだ!だから25日は遅番にして、23日は早番にしとけ、セックスしすぎんなよ!」と藤原さん。「あざす!」気持ちの良い返事をして彼女にこのことを報告しようとLINEを開くと結論、何時になるの?不機嫌そうな彼女の顔が簡単に思い浮かぶLINEがきていた。そうだった…2時間くらい遅れそうって朝、LINEしたんだっけ。仕事の進捗次第だから、退勤前には連絡する。とLINEをしたら、ミルキーウェイと水族館、一緒にいきたかったのにというLINEがかえって来ていた。ごめんね。とLINEを返すと僕は仕分け作業に没頭した。


 結果としては、彼女とのデート集合時間は15時集合が17時になり、なんなら17時半になりそうだ。仕事が終わったのが16時20分、家に帰りシャワーを5分で入り、髪を整え、そこそこ良い一軍の私服を身にまとう。ここまで15分、大宮駅前の混雑を考え、高崎線の宮原駅に車を停めて、上野東京ラインに滑り込んだ。赤羽で埼京線乗り換えがうまくいけば、後続の湘南新宿ラインに乗るより早く、池袋に着く計算だ。

 池袋東口で彼女は待っていた。小走りで人込みをかき分け、身長154センチ、セミロングの彼女を見つけると大きな声で「まいちゃん!」と叫んだ。一条まいは僕の彼女だ。出会いは同じ大学のゼミで一緒になった事。話しているうちに音楽の話で打ち解け、一緒にフジロックに行った帰り道で僕が告白して交際がスタートした。歳は一個下なので、新卒一年目だ。金融系に就職し、豊島区の支店で銀行員をしている。いつも定時帰りで、土日祝休みなので、僕は心底羨ましい。「まいちゃん。ごめんね。仕事が意外と長引いたのと、電車の接続も悪くて…」と僕が言うと「いつもの事じゃん。」と不機嫌な顔のまいちゃん。それでも僕らは手を繋ぎ、クリスマスのイルミネーションの準備を始めた池袋の街を歩いた。

 ミルキーウェイには行ったけれど、想像以上に混んでいて、「気分が変わった」という彼女の足が動くままに僕らは、池袋西口の梟書茶房に入った。


 どのくらい時間が経ったのだろう。頼んだコーヒーが半分くらいになっていた。まいちゃんから同じ支店に勤める先輩社員の話をきき、仕事を教えてくれて頼りがいがある事、大学までサッカーをやっていて、社内のレクレーションでは大活躍してた事、まいちゃん自身もやけに気に入っている感じから、その先輩にまいちゃんが狙われているんじゃないか。もしかしたら二人はすでにただならぬ関係になっているんじゃないか。と心配しながらも嫉妬めいた事を聞く事によって二人の関係が崩れるのが怖くて、「良い先輩に巡りあえてよかったね。社会人1年目の大事な時期に話しやすい先輩がOJTになったのはいい事。」と心にもない事を僕は口にした。

 予約していたお店に入り、ステーキを食べて、情けない割り勘もしているのに、痛い出費と感じていた。それでも水族館にも行けず、デートの時間も遅れた割にはまいちゃんは楽しそうな表情をしていたので僕は満足だ。

 コンビニに向かって、缶チューハイを買って、二人で乾杯した。まいちゃんはここから先はおうちデートにしようと言ってきたのでまいちゃんの社宅がある板橋駅方面に歩き出した。「電車があるのに歩いていくってなんか贅沢じゃない?」とまいちゃんが言う。「そうだね。歩くペースはゆっくりでいこうか。」と僕が言う。「池袋って新宿・渋谷と並べられがちだけど、駅から離れたらギリ東京みたいな感じだよね。」とまいちゃんが言う。池袋はいつから新宿・渋谷と並べられるようになったが分からないが三大副都心という位置付けでは横並びらしい。そんなだらっとした幸せの中で、今日が終わる。


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