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【第五話】暗緑色のベルト

劇団エネルジコに所属している記憶喪失で元無職で元遭難者のウェン。

彼は昨日、妙な男を見かけたことを日記に書いていたのだが…

2月28日


驚いた。昨日日記に書き込んでいたフード男の存在を全員が認知していた。

しかも、危険人物のようだ。


今日は主人公役の小生と悪役のヲリーヴが重い空気の中、二人で歌う場面と、劇中で恋敵役である鬼井さんと争うコミカルな場面を練習した。


一つ目の練習が終わって他の団員が練習していて、ヲリーヴと二人でお互いの演技を褒めあっていた。ヲリーヴから美しい低音イケボの歌声が出たことに感動したという話をしていたら、窓の外にまたフード男がいた。

遭難者である可能性があったので伝えようと思い、ヲリーヴを見たら窓の方を見て青ざめた顔をしていた。普段ヘラヘラと笑っている彼女だとは思えない程に怯えた表情をしていて、呼吸が荒くなっていた。


なぜフード男にそこまで怯えているのか気になったのでフード男を見ると、先程より近くに来ていた。こちらに走って来ていた。

フード男を初めて正面から見た。

黒いフードの中から長い薄紫色の髪と、水色の瞳と褐色の肌、首に付けたヲリーヴのものと同じ暗緑色のベルトのようなチョーカーと…

ニタリと笑った不気味な笑顔が見えた。


再びヲリーヴの方を見た。


小生がヲリーヴを見るとヲリーヴも小生を見てきた。そして目が合った瞬間、我に帰ったようにヲリーヴが団長たちがいる舞台の方へ何度か転びそうになりながら走り出した。


何が起こっているのかわからず、2度見するような速さでフード男を見ると後ろ姿だった。何かを諦めたように消えていった。


ヲリーヴを追って急いで舞台へ行くとヲリーヴが泣いていた。

いつも堂々としている団長がオドオドしながらヲリーヴの話を聞いていた。


ヲリーヴの背中をさすっていたハーデンさんからフード男の行方を聞かれたが、去っていったと伝えると、ほんの少しだが空気が和らぐのを感じた。


混乱していると、小歌が事情を説明してくれた。


あの男は良く言えばヲリーヴの大ファン、悪く言えばストーカー行為を繰り返す迷惑客だと。

こういった活動をしていると、そういう奴が出てくるので、それらが邪魔にならないように人気のない雪山で練習しているのだと教えてくれた。



夕飯の時には、何事も無かったかのようにヲリーヴは笑っていて小歌にダル絡みしてたし、いつものように小生に話しかけてきた。

最後の一個の唐揚げを賭けてあっち向いてホイをしようと言って。いつも通りノって、いつも通り小生が勝った、が、あんなことがあった後なので変な理由を付けてヲリーヴに譲った。最初は遠慮していたが、受け取って美味しそうに食べていた。


明日は誰も泣かない日になるといいな

おやすみなさい

最後まで読んでくださってありがとうございます!!!

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